追い越し注意! バスを2台つなげたような「連節バス」が静岡市に登場 静岡県内では初めての導入

静岡市に本社を置くバス会社・しずてつジャストラインは、静岡県内では初となる「連節バス」を4月から導入します。「連節バス」は通常の1.5倍の輸送力を誇り、混雑緩和の他様々な効果が期待されています。(取材・文=三浦徹)

連節バスは、通常のバスを2台つなげたようなバスで、日本では1985年のつくば万博が最初といわれています。

今回、しずてつジャストラインが導入するのは2台。バスの全長は約18m(通常のバスは約11m)で乗車定員は111人。(通常のバスは70~80人)通常のバスの1.5倍の輸送力を誇ります。

●しずてつジャストライン運行企画部 森田淳課長:
「一度に大量の人を運ぶことができるのが特徴。座席数は37席で、実は通常のバスとそれほど変わりません。より多くの人を運ぶという目的なので、立って乗車する人の数が多くなります」

4月から導入される連節バス
4月から導入される連節バス

バスの内部を見てみると、当然ながら通常のバスより車内が広く感じますが、そのほかにも連節バスならではの特徴がいくつか見られます。

連節部の車内はこのような感じ
連節部の車内はこのような感じ

車内には通常のバスでは見られない、後ろ向きに座る座席が。座席の配置場所に限りがあるため、このような座席ができてしまうことがあるそうです。

通常のバスでは見られない進行方向と逆向きの座席も
通常のバスでは見られない進行方向と逆向きの座席も

何かあった時に、運転手まで声が届かないケースがあることも想定し、後部車室には非常ブレーキとSOSを告げる非常電話が設置されていました。

後部車室には非常電話が…
後部車室には非常電話が…

運転席には後部車室の車内や、バスの側部を確認するモニターが付いています。

運転席には後部車室などを確認するモニターも
運転席には後部車室などを確認するモニターも

外に出てみると、バスの後部には後続車に向け「追い越し注意」と書かれた注意書きがありました。

連節バスが導入されるのは静岡駅前~静岡大学図書館前(美和大谷線)と東静岡駅南口~英和学院大学(日本平線)の2路線。両路線とも途中のバス停に止まらないノンストップの運行です。(美和大谷線の一部のバスは三菱電機前にも停車)。連節バスの運行には事前に「特殊車両通行許可」が必要で、許可を得たコースしか走ることができません。

バスの後部には後続車に向けた注意書き
バスの後部には後続車に向けた注意書き

この路線で連節バスを導入する理由は?

●しずてつジャストライン運行企画部 森田淳課長:
「大学に通学する人は講義の時間に合わせて学校に行くので、同じ時間に人が集中します。バスだけでなく、駅のロータリーも混雑します。静岡大学は曜日により1限に多くの人が履修する科目があるようで、朝の混雑は特にひどい。乗り切れずに次のバスを待ってもらうこともあります。その時間帯の混雑緩和が一番の理由です。これにより、静岡大学に通学する人はもちろん、沿線にお住まいの方をはじめ多くの人が、快適にバスをご利用いただけるようになると考えております」

静岡駅のバスターミナル 朝は学生たちで大混雑
静岡駅のバスターミナル 朝は学生たちで大混雑

これまで静岡大学行のバスは大学前の道路のバス停が終点でした。しかし、もっと便利に使ってほしいことと、連節バスが向きを変えるスペースが必要なことから、新たに大学の構内にバス停「静岡大学図書館前」が設置されました。

静岡大学は校舎が坂の上にあるため、これまでバスを降りた学生たちは徒歩で坂をのぼって通学していました。新しいバス停は構内にあるため、学生たちは坂をのぼらなくてもよくなりました。

朝の時間帯は静岡大学行き(東大谷行きも含む)のバスが突出して多い
朝の時間帯は静岡大学行き(東大谷行きも含む)のバスが突出して多い

連節バスはこれまで千葉県や福岡県、新潟県など全国で導入されていますが静岡県内では今回が初めてです。静岡県でこれまで導入されていなかった理由は?

●しずてつジャストライン運行企画部 森田淳課長:
「導入されているのは道路が広い地域が多く、道路が広くない静岡市とは条件が異なっています。いままではみんな広い道路じゃないと連節バスは走れないという認識をもっていました。しかし、今回の導入に当たり、他のバス会社から連節バスを借りて市内を走らせて見た結果、静岡市でも走れることが分かりました。また、ここ数年で国産の連節バスが開発され、導入のハードルが下がりました」

通常の位置だと見えないので、後部車室にも料金表を設置
通常の位置だと見えないので、後部車室にも料金表を設置

しずてつジャストラインでは4月からの導入に備え、準備を進めています。普通のバスと動きが違うため、運転には教習が欠かせないといいます。

●しずてつジャストライン運行企画部 森田淳課長:
「乗務員の教習を2025年の12月からやっています。連節バスは通常のバスと動きが異なり、特にバックが難しく、ハンドルを切った方向と逆に進みます。プロの運転士でもいきなり運転するのは無理で、十分な訓練が必要です」

しずてつジャストラインでは、Jリーグ開催時に清水駅東口から日本平球技場まで運行されているシャトルバスについても、連節バスの導入を検討しているということです。

また、今回導入されるのは2台ですが、結果を見ながら、来年以降バスを増やすことも検討するということです。

連節バスの導入は静鉄グループの「持続可能な公共交通の実現」にむけた取り組みの一つで、脱炭素社会の実現や昨今の全国的な乗務員不足といった課題への解決手段の一つと位置付けられています。

静岡市内では路上教習中の連節バスを見かけることも…
静岡市内では路上教習中の連節バスを見かけることも…