絶滅したはずの伊豆半島にクマ…2年前にも捕獲、今年も目撃証言 町民「まさか…」 観光関係者は影響を懸念 静岡・河津町

 鋭い爪をこちらに向け、口を大きく開けて威嚇する、ツキノワグマ。このクマは20日、静岡県河津町の国有林に仕掛けられた罠にかかっているのを、パトロールをしていた環境省の職員らによって発見されました。

 現場に駆け付けたという河津町の体感型動物園イズーの職員は…。

捕獲されたクマ
提供:iZoo

体感型動物園iZoo 飼育員 渡部那智さん:「クマが何かに引っかかって山の中にいるという情報を聞いて、iZooの職員と学校の職員やジビエ処理施設の職員が向かった。実際に行ってみると、シカを捕獲するためのくくり罠に間違って捕獲された状態でした」

 イズーの職員によると、クマはオスのツキノワグマで、体長はおよそ120センチ。捕獲された時、大きなけがはなかったといいます。麻酔で眠らされたあと、罠から外され、山に戻されたということです。

体感型動物園iZoo 飼育員 渡部那智さん:「野生動物は基本的に人が怖いので、人からすぐに離れようとした形で、今回に限ってのことなので、最終的にはクマが里に下りてきて悪さをすることもないと思うので、人にも動物にもいい結果になったと思う」

町民・観光客は

 河津町でクマが捕獲されたことに町民や観光客は…。

河津町民:「河津にもいるのかな。まさか自分の住んでいる河津で出るとは思っていなかった」

神奈川からの観光客:「きのう小田原から来たが、スマホのニュースで見た。びっくりした。私たちが泊まっているホテルも、ちょっと山を上ったところだったので、クマが出たと言われて、ここら辺じゃないよなとびっくりした」

捕獲されたクマ
提供:iZoo

観光への影響を懸念する声も

 捕獲された場所は人里離れた山林ということですが、観光への影響を心配する声も…。

河津七滝温泉ホテルの女将:「これからのシーズン、ハイキングをする人がいるので、被害がなければいいかなと」

 今回発見されたクマによる人的被害は今のところありませんが、全国ではクマによる被害が相次いでいます。

 19日、秋田県北秋田市では、クマに襲われ男女5人がけがをしました。また、岐阜県飛騨市では22日、80代の男性がクマに襲われてけがをするなどしています。環境省によると、今年4月から9月までに、全国でクマに襲われるなどの被害にあった人は、昨年度の75人をすでに上回る109人に上っているということです。

いないはずの伊豆半島で、なぜ

 一方、伊豆半島には、これまでクマは生息していないとされていました。しかし、おととし7月には同じ伊豆半島の西伊豆町で体長135センチ、体重43キロのオスのツキノワグマが捕獲されています。さらに、9月8日には南伊豆町でクマと見られる動物の目撃情報もありました。

 今回、河津町で見つかったクマはどこから来たのか、分かっていませんが、今後、県内でも注意が必要になってきそうです。

2年前、西伊豆町でもクマが
提供:西伊豆町