【深刻】「せき止め薬」不足…薬局も悲鳴「在庫がない」 そんな中のインフルエンザ猛威…静岡県西部は警報レベル

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 インフルエンザが猛威をふるう中、静岡県内でも薬不足が深刻な状況です。その背景を取材しました。

 静岡県内でも感染者数が増え続けているインフルエンザ。最新の調査結果(10月23日~29日)では、定点あたりの報告数が22.64人と前の週に比べて増加。地域別では県西部が警報レベルの30人を超えています(33.17人)。

インフルエンザ感染者
インフルエンザ感染者

薬局では…

 そうした患者に処方されるのが、せきの症状を和らげる「せき止め薬」。ところが、この薬をめぐって、薬局では今、ある異変が起きています。

あおば薬局呉服町店 立原いずみ管理薬剤師:「こちらがせき止めの薬だが、こちらはもう在庫がない状態で、こちらも残りわずかになってしまっている。後はたん切りの薬だが、こちらも当店では在庫がない状態」

 今、薬局を中心に全国的に問題となっているのが、深刻な「せき止薬の不足」です。

「せき止め薬」残りわずか
「せき止め薬」残りわずか

あおば薬局呉服町店 立原いずみ管理薬剤師:「(せき止め薬の)メジコンとかアストミンという薬は、かなり入りが悪くなっている状態。薬が揃わなくて、患者にお断りしてしまったりとか、処方病院の先生と相談して、(薬の)量や種類を調節していただいたりということが、ここ1カ月で増えてきている」

 こちらの薬局では、せき止め薬の発注をかけても、すでに1カ月以上、薬が入って来ない状況が続いています。現在は、病院側へせき止め薬の在庫がないことを知らせる文書を送っていて、処方する薬を減らしてもらう呼び掛けをしたり、他の系列店舗から薬を譲ってもらうなど、工夫しながら対応しているといいます。

あおば薬局呉服町店 立原いずみ管理薬剤師:「一番困るのは患者自身、希望通りの薬が手に入らないということで、(患者に対し)こちらも断らざるを得ない状況もあったりして、大変申し訳ないと思いながら、日々仕事をしている」

立原いずみ管理薬剤師
立原いずみ管理薬剤師

せき止め薬不足の原因は

 一体なぜ、ここまでせき止め薬が不足となっているのでしょうか。

あおば薬局呉服町店 立原いずみ管理薬剤師:「発端はジェネリックメーカーのいわゆる不祥事と呼ばれるところで、行政処分とかで出荷が滞ったりというところが主な大元」

 せき止め不足の原因は、数年前から相次いでいるジェネリック医薬品の品質不正問題です。業務停止命令などで、多くの医薬品の製造が停止したことで、供給不足に陥っています。10月23日には、ジェネリック医薬品最大手の沢井製薬が不正を公表。実際に使うカプセルとは別のカプセルに粉末を移し替えて、品質試験を行っていたことを明らかにしました。

 また、これに追い打ちをかけているのがインフルエンザの流行です。患者が急増し、薬の需要が高まったことで薬不足に拍車がかかっているのです。

せき止め薬不足の原因は
せき止め薬不足の原因は

医療現場も「せき止め薬不足」に悩み

 同じような状況は医療現場でも…

木村秀平ディレクター:「静岡市内のクリニックです。こちらでは薬の在庫がこのように並べられているのですが、こちらのアンブロキソールというたん切りの薬とこちらの解熱鎮痛剤の入荷がいま、難航しているということです」

東静岡クリニック 白川京佐院長:「せき止めの薬が足りないということで、医療の資源が乏しくなってきて、本来できるような医療ができてない」

 静岡市駿河区にあるこちらの内科でも、慢性的に続くせき止め薬の不足に頭を悩ませていて、現在は漢方薬など、代替品の薬などを処方することで、なんとか対応していると言います。

木村秀平ディレクター
木村秀平ディレクター

見通せない薬不足の解消

 今後、この状況はいつまで続くのでしょうか?

あおば薬局呉服町店 立原いずみ管理薬剤師:「物によっては潤沢に出せるのが2年先というものも、今知らせが出ているものであったり、なかなかすぐに解消するような問題ではなさそうかなと」

 季節外れのインフルエンザの流行。年末に向けて、さらにこの数は増える可能性があります。薬不足の解消が見通せない中、感染症対策を徹底することが再び求められそうです。

東静岡クリニック 白川京佐院長:「やはり一般的に予防が大事かなと思うので、免疫力を落とさないように睡眠とか栄養を十分とって、手洗いうがいをするというような基本的な対応を継続してやっていくしかない」

白川京佐院長
白川京佐院長