世界一のチョコレートを「チョコなし」で表現? 後輩育成には『くま』? 藁科雅喜さん「来年も挑戦したい」 /今年の静岡 世界が認めた味③

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 今年10月、清水区と富士市に店舗を持つ洋菓子店が本場フランス・パリで開催された、世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で金賞を受賞。世界一に輝いたのです。

「キャトルエピス」藁科雅喜さん:「久しぶりに、もうカーッ!とやりましたね、ガッツポーズ出ちゃいましたね」

「世界一のチョコ」製作の現場は

 世界一のチョコレートとは、どんなものなのか。つくったのは、創業19年の洋菓子店「キャトルエピス」です。店内には毎朝つくられる色鮮やかなケーキやタルト。そして自慢のチョコレート。製作の現場にお邪魔すると…。

藁科さん:「いまもちょっとチョコレートいろいろ作業をしているんですけど」

伊地健治アナウンサー「ここがチョコ作りの工房ですか。作業していらっしゃるかたがいますが、すごい、いっぱい宝石のような粒が並んでいます」

世界一のチョコレートを「チョコなし」で表現? 後輩育成には『くま』? 藁科雅喜さん「来年も挑戦したい」 /今年の静岡 世界が認めた味③

 2020年から本格的にチョコレートの専門部署を設置。原料であるカカオ豆からチョコレートづくりをしています。滑らかさに影響がでるため「温度管理」を徹底しています。わずかな温度変化も無視できません。

藁科さん:「少しだけドライヤーで温めて使います」

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世界一のチョコのお味は

 ち密な計算と技でつくりあげたチョコレートで世界に挑みました。

藁科さん:「バターだったりフルーツだったり、香りをつけていくようなフランス料理の一皿ってあるじゃないですか。その一皿をひとつのチョコレートにギュッと詰めてみたいなと」

 それがこちら、日本の四季をイメージして作ったという「エピス・ジャポン」。日本の香りというタイトルがつけられています。

「エピス・ジャポン」
「エピス・ジャポン」

伊地アナ「ドキドキします、どんな味なのか。爽やかなかんきつの香りも味もします。後から感じる生姜がビター、大人の感じ。おいしい」

試食する伊地アナ
試食する伊地アナ

藁科さん:「ちょっと面白くないですか?」
伊地アナ「イチゴの甘酸っぱさ、あとからほんのりよもぎ。おいしいこれ、チョコを食べているんですけど和菓子を食べているような」
藁科さん:「そういう感覚にもなりますね」
伊地アナ「これが世界一、金賞のチョコレートなんですね」
藁科さん:「ありがとうございます」

試食する伊地アナ
試食する伊地アナ

チョコを使わずに「世界一の味」を表現

 金賞の受賞からおよそ2か月たった今週。藁科さんがお客さんのために、ユニークな報告会を行うというので、行ってみると…。

藁科さん:「今回受賞をとったチョコレートをデザートとして出します。チョコレート自体は出さない」

 エピスジャポンの味わいをチョコを使わずに表現。今回は4品のデザートで楽しませるといいます。集まったお客さんたちも、何がでるかわからないドキドキを楽しんでいるようです。

 例えば、ヨモギのジュレにイチゴとバラのエキスを使用した生チョコは、ヨモギのアイスをフレッシュなイチゴの上にのせたタルトに。食べたお客さんも、ち密な味の組み合わせに納得の表情。

 報告会は、藁科さんがデザートをつくりながら進んでいきます。

藁科さん:「パリの方はすごいゆずが好き。ゆずで名前が通る」

 報告会はおよそ1時間半。贅沢なデザートコースをお客さんは堪能していました。

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お客さん「見た目も素晴らしいし、味はもちろん素晴らしいの一言」

お客さん「藁科さんがここにたどり着くまでの熱い思いというか、色んな流れを聞けて、よりおいしさに深まりが出たというか」

お客さん「サロン・ドュ・ショコラに出られると以前から聞いていて、その流れも知っていたので勝手に一緒に喜んでいる」

 一方、藁科さんも…

藁科さん:「刺激になりますよ。なので、1回1回ちゃんと心をこめてつくろう、お客さんとも向き合おうということは決めてますね」

バレンタインは10月から準備

 クリスマスまで1週間をきったこの日。店内は、クリスマス商戦にそなえて忙しくなっていました。

藁科さん:「菓子屋は年の中でここが一番忙しいので、そろそろスポンジを焼くとかタルトを焼き上げるとか、事前にやる仕事はピークになる」

 それだけではありませんでした。チョコレート工房を訪ねると…

藁科さん:「年明けから出す仕込みをしています」

チョコレート部 磯野芙実さん:「部署によってなんですけど、チョコレートの方は10月の頃からバレンタインの準備を毎年すすめていくので」

 すでにバレンタインの準備が始まっていました。現在、チョコレート部には3人の作り手がいますが…。

チョコレート部 成生ひかる主任:「めちゃめちゃ大変ですよ。出来る限りやりますけど、という感じ。1月末からバレンタイン当日までに100体…」

後輩育成は「くま」

 勤続9年目の主任、成生さんが手掛けている物。「チョコレートのくま」。創業当初からある人気の商品で、バレンタインなどのイベント時には特に売れるのだとか。

 ひとつひとつのパーツを組んでつくる「くま」は完成までに最短でも3日かかるそう。

成生さん:「くろくまだけで100体。ピンクのくまもいる。それが50体。ピンクなんて店頭にも出てない。もう時間がない」

 今年はじめてくまをつくる磯野さん。先輩から基礎を教わります。

「コンパクトな動きで広げて混ぜる」
「上にたまったものは…」

 簡単そうに見えて難しいこの作業。磯野さん、慣れない道具に悪戦苦闘のようです。

成生さん:「(何度も)やっていって、うまくなっていくと思うんで」

世界一のチョコレートを「チョコなし」で表現? 後輩育成には『くま』? 藁科雅喜さん「来年も挑戦したい」 /今年の静岡 世界が認めた味③

 藁科さんはこのくまづくりが後輩たちの育成に一役買っているといいます。

藁科さん:「チョコレートの温度帯を勉強するということ、それを立体的に組み立てることの技術の基礎も入ってるので、いろんな基礎が入ってる。クマが一体できるというのは、すごく大事なこと」

 世界一に輝いた藁科さんの元で、若いスタッフが育っていました。そして、藁科さんは…

藁科さん:「来年もチャンスがあれば パリのサロン・ドュ・ショコラに出たいなと思うんですけど、世界に向けて静岡からもの作りの発信ができるかなと思っている」

藁科さん
藁科さん