世界遺産の隣に世界一のビール(前) 醸造長は31歳「腕の見せ所はホップの選択」 静岡・伊豆の国市 /ニュースの現場

 黄金色に輝くおいしそうなビール。静岡から世界一のクラフトビールが誕生しました。

客:「やっぱりおいしいですね」
客:「サッパリしてレモンの香りがビールにあってると思います」

店員:「すごい飲みやすくってサッパリしてて…一気に飲めちゃうぐらいで」

ビール製造者:「伝統的なものなんですけど、新しい要素も取り入れたという形であります」

 イギリスで8月行われた世界最大級のビール品評会で金賞を受賞した反射炉ビヤ。

 今週のニュースの現場は、県内で世界一のビールが誕生、その味に迫ります。

韮山反射炉のもとで作られたビール

伊地健治アナウンサー:「伊豆の国市の韮山反射炉にきています。2015年に世界遺産に登録されて8年、周りはビジターセンターも整備されて、すっかりきれいになっていますね。そしてコチラ!韮山反射炉です、いつ見ても神々しいというか、かっこいいですよね。そして、この反射炉のもとで作られたクラフトビールです。これが世界一に輝いたんです」

伊地健治アナウンサー

 韮山代官だった江川太郎左衛門英龍が手がけ、幕末に造られた大砲鋳造施設。2015年に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界文化遺産に登録されました。

伊地アナ:「川のせせらぎも本当に気持ちのいい場所ですけどね。ここですね、反射炉物産館「蔵屋鳴沢」ってありますね。こんにちはー、静岡朝日テレビの伊地と申します」

稲村浩宣社長「稲村でございます。よろしくお願いいたします」

 こちらが、その世界一のクラフトビールを作った会社の社長・稲村浩宣さん。

江川太郎左衛門英龍

 ここ蔵屋鳴沢は明治のころ造り酒屋をしていました。一度事業が傾き、観光業やお茶製造販売などを経て、クラフトビール醸造へと歩んできました。

伊地アナ:お土産屋さんの隣に醸造所があるというんです。

稲村社長:「醸造長の山田でございます。今回の受賞ビールは彼が仕事して作ってくれました」

山田隼平さん:「よろしくお願いします」

 醸造長の山田さんは現在31歳。8年前に入社。2019年から反射炉ビヤの醸造長となりリーダーとしてビールを製造してきました。

明治のころは造り酒屋

ビール好きが集まって

伊地アナ:「こういった若い人たちにビールづくりを担ってもらう。どういうお考えで?」

稲村社長:「醸造担当で来てくれるみんなは、本当にビール好き。それをやりたいと。クラフトビールの世界が広がっている中で、それをやりたい、参加したいと。そういう強い思いで醸造に携わってくれている。いい意味で製品に反映させてくれてると思います」

伊地アナ:「世界一になったというのが、このビールですか?」

山田さん:「こちらが『World Beer Awards』というイギリスで毎年開催されている、世界最大級の国際ビール品評会の中で、ケルシュ部門で世界最高金賞を受賞させていただきました」

 ケルシュとは、ドイツのケルン地方で伝統的に醸造されているビールスタイルのこと。その伝統のスタイルに…。

世界一になったビール

山田さん:「このニューワールドホップという最新のホップを使っているという所が、大きなポイントとなっております。ホップは毎年毎年品種が作られているので、どのホップを選択していくかが腕の見せ所という形になっていきます」

ホップ

 実は、これが「反射炉ビヤ」のコンセプト。伝統的な醸造に新しい要素を加えます。

稲村社長:「江川坦庵(英龍)さんがですね、革新的な人だったという事とココにはそういう歴史があるという事で、「伝統と革新」をビールのテーマとして進めていきたいとしてやってました」

 「伝統と革新」、まさにそこにこだわり、作り上げたビールが世界一に輝いたのです。

ホップと麦芽のお味は

 これがニューワールドと呼ばれる新しいホップです。このホップがビールの香りや苦みを出す大事な要素になります。

伊地アナ:凄い! 強い香りがします! ハーブのような苦い感じもしますし、さわやかでいい香りですね。

山田さん:「ちょっと苦みが強いという形ですけど、このまま使う事も出来るんですが、弊社では凝縮したペレット状のものを使っています」

 醸造するために使いやすくしたものがコチラ。さわやかないい香り、ちょっと、頂いてみました。

伊地アナ:苦い

山田さん:「めちゃくちゃ苦いんです。お口直しにこちら。ビール原料の麦芽なんですね」

ホップを味見する伊地アナ

 これもビール作りに欠かせない麦芽。本場、ドイツから取り寄せているものです。

伊地アナ:これ甘い。おいしい。香ばしくて、麦芽ってビールのおつまみになりそう。

    (後編に続く)

麦芽