藤井聡太八冠が「大盤解説」…自らへの挑戦権かけたA級順位戦 全国からファン集結…対局見れなくても「空気感じたい」 静岡市
伊地健治アナウンサー:「JR静岡駅からほど近い場所にある浮月楼です。こちらでは先ほど午前9時から将棋のA級順位戦の最終局が行われています。藤井聡太名人への挑戦権を得るのはいったい誰になるのか、対局はこのあと深夜午前0時近くにまで及ぶとみられています」
2月29日に静岡市で行われた、年に1度の「将棋界の一番長い日」。藤井聡太八冠の「名人タイトル」への挑戦権をかけて10人の棋士が争います。持ち時間はそれぞれ6時間。1日で勝敗を決めるため「将棋界の一番長い日」と言われているのです。
藤井八冠は大きなパネルを用いて、この対局の状況を伝えつつ戦局を解説する「大盤解説」のため、静岡市にやってきました。
A級順位戦が静岡市の浮月楼で行われるのは7年連続。将棋の「名人戦」のルーツは晩年を静岡で過ごした徳川家康にあるといいます。家康は将棋・囲碁に深い関心を示し、時の実力者たちを駿府城に招き御前で対局を行わせたとされています。
その「名人戦」の挑戦者争いの舞台が、徳川最後の将軍、徳川慶喜が暮らした屋敷跡地にある浮月楼なのです。
対局会場には「空気館味わいたい」と多くの将棋ファンが
伊地アナ:「会場となっている浮月楼の前では、この熱い戦いの空気感を少しでも味わいたいと、一般の人は入ることが出来ないんですけれど、その様子を写真におさめようと将棋ファンが引っ切りなしにきています」
男性2人(千葉・東京):「ここで対局してる。雰囲気がよく厳かな感じで良い感じですよね。中で指してるんだなーって」
女性2人(東京・神奈川)
伊地アナ:やっぱり中は見られないじゃないですか、それでもここへ来ようと思ったわけはどうして?
A.「この空気感を、中の熱い空気をちょっとでも近くで感じようかなと思いまして」
伊地アナ:熱い空気は感じられましたか?
A.「感じられました」
将棋ファンにとっても注目の戦い。でも今回のお目当ては。
女性2人(東京・神奈川):「聡太先生が解説をするので、それを目当てに」
やっぱり藤井八冠の大盤解説。キャリーケースを引きながら来ていた、こちらの2人は。
女性2人(名古屋・香川)
伊地アナ:きょうはだいぶ遠くからいらっしゃったんですか?
A.「私は香川県から」「名古屋から」
伊地アナ:お2人はどういうご関係ですか?
A.「将棋を通してSNSで知り合った。聡友っていうんですけど」
藤井聡太さんを通じて友達になった「聡友」。今回の大盤解説を楽しみに来たそうです。
女性2人(名古屋・香川):「こんなの作ってきて、手作りで」
伊地アナ:聡太さんうちわ、わーかわいい! これご自身で作られたんですか
A.「そうです。対局じゃないので、こういう持って。対局の時は出来ないので」
名古屋から来た女性は、藤井さんの出身・愛知県瀬戸市のお土産を聡友に渡すために持って来ていました。
女性2人(名古屋・香川)
伊地アナ:宗田かつおの削り節で聡太勝つ
A.「そうです。あとは瀬戸で出しているカプセルトイがあるんですけど、こういうのをお土産に持ってまいりました」
伊地アナ:「香川から、いらっしゃって、藤井さんのどんなところを見たいと思いますか?」
A.「名人になられて初めて解説されるので、名人らしい的確な解説を期待しています」
大盤解説に藤井八冠が
その大盤解説の会場には事前申込の抽選に当ったおよそ500人が入ることが出来ます。
伊地健治アナウンサー:「将棋界の一番長い日と書かれています。ここ静岡市民文化会館では大盤解説会がこの後行われるんですが、会が始まる1時間前、扉が開きますと多くの将棋ファンが会場に入っていきます」
藤井八冠の大盤解説が始まりました。
藤井聡太八冠:「菅井八段、この先手中飛車を採用されていたので、本命といえる選択だったかなと思います」
聞き手:A級順位戦となると、0時を越す対局もたくさんあったと思うんですけど、眠くなったりはしないですか?
藤井八冠:「順位戦で指してるときは気にならないんですけど、終わって帰るときになると、時計を見て愕然とする」
全国から集まった将棋ファンは、時折自分の経験も交えながらの藤井さんの解説に聞き入っていました。
女性(大阪)
Q.藤井さんの解説聞かれてみていかがでしたか?
A.「すごく分かりやすかったです。テレビで見ると、ものすごく高速に棋譜をいうので、あんな感じかなと思ってたら、すごく丁寧で分かりやすくて、初心者にもありがたい解説で意外でした」
大学生男性(東京):「読みの精度が凄いなと思って、いわれる手がどんどん指されるので見てて、感動しました」
和田佳代子記者:「午後9時過ぎの大盤解説会場です。今、藤井聡太八冠が解説をしているのですが、まだ多くの観客が残っていて、真剣な表情で解説を聞く姿が見られます」
浮月楼で行われていた最終局は午後11時すぎ、首位に立つ豊島将之九段が勝利し、名人タイトルを持つ藤井聡太八冠への挑戦権を獲得しました。
豊島将之九段:「自分なりに全力を尽くしたいということと、作戦をしっかり考えて良い内容の将棋を指せればと思います」
「将棋界の長い一日」は大盛況のうちに幕を閉じました。