運行開始から50年! 静岡鉄道「1000形」がラストラン 運行はA3000形のみに

運行開始から50年!

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 およそ半世紀にわたり乗客を運び続けた静岡鉄道の1000形がその歴史に幕を下ろしました。

船引とわ記者:
「午後2時前の新静岡駅のホームです。乗客の方以外にも最後にその勇姿を一目見ようとたくさんの人がホームに詰めかけています」

 6月30日、静鉄の1008号引退に伴うラストランイベントが開催され、大勢の人が新静岡駅に詰めかけました。
 
 1000形は1973年から、静岡鉄道の新静岡駅と新清水駅を結ぶ静岡清水線を走る電車として導入され、以来およそ50年間、静岡に住む人々の生活の一部としてなくてはならない存在になりました。

 1000形の特徴である銀色はステンレスの色。導入当時、オールステンレスの電車は珍しく、戦後最も高い強度を誇る電車として、1970年代後半の大量輸送時代を支えました。また、ほぼ全面といっても過言ではない大きな窓は、当時は画期的で近代的なデザインだったといいます。しかし、12編成導入されていた1000形も老朽化などの影響で2023年7月、ついに1008号のみとなりました。そんな1008号の車内を覗いてみると…

 1008号の車中は特別仕様になり、静鉄の社員が撮った1008号を含む、1000形の写真がずらり。乗客だけではなく社員にも愛されていたことがうかがえます。

「(一番初めに運転したのは)1000形です。初めの7~8年はずっと1000形だけでした。」

 そう語るのは入社18年目の鈴木運転士。

「色々教えてもらった時の苦しい思い出が一番の思い出です。なくなってしまうのはやっぱりさみしいです。」

 そして今回、ラストランの運転を任されたのはなんと、入社4年目の若手運転士長谷川さん。幼少期から静鉄といえばやっぱり1000形、というイメージがあったと言います

長谷川運転士:
「チャンスがあるのであればぜひ挑戦したいなと。記憶だったり記録をしっかりと今後何年何十年と残せるよう感謝の気持ちを込めながら最後送り出したい」

 そして迎えたラストラン当日。ラストラン専用の切符は200枚で先着予約制でしたが、その日のうちに売り切れてしまったといいます。

鉄道ファン:
「色々ありますけどモーター音ですかね。なんていえばいいんですかね、なんか俺は頑張ってるんだぞ!みたいなごおおおお!っていう」

鉄道ファン:
「昨日夜中の12時まで一生懸命書いて今日電車乗っているときに乗っているほかの人たちとかあと僕の今ここにいる仲間たちに書くの手伝ってもらって。ほぼ完成の状態」

 ホームにはこの人の姿も。

長谷川運転士:
「緊張してますけど、最後皆さん笑顔で(1008号と)さよならできるように頑張りたいと思います。」

 ラストランの前に行われたセレモニー。モニターに映し出されるのは1000形の歴史です。セレモニーが終わると、切符を手にした人は車内に乗り込み、見送る人々はカメラを構えます。運転席を覗いてみると、そこには先ほどのメッセージボードが。

 2024年6月30日午後2時、ついにその時がやってきました。たくさんのありがとうに背中を押されながら、誇らしげに、悠々とレールの上を進んでいった1008号。そんな最後を見送った人々は

鉄道ファン:
「ちょっと寂しいんですけど、最後走ってくれてありがとうという気持ちで見送りました」

鉄道ファン:
「普段の静鉄とは思えないほどの人がいたので、やはり多くの人から僕も含め愛されていたんだなと思いました。」

静岡鉄道 川井社長:
「やはり電車は走り続けます。ですからこの1000形が作ってくれた希望のレールといいますか、そういったものを私共はずっと走り続けてゆく。それが使命だという風に心得ております。」

 1000形が切り開いた希望のレールは確かに、次の世代へと引き継がれました。