全国で静岡市にしかない「プラモデル大学」って何を学ぶの? 受講生はどんな人? 

静岡市は出荷額が全国の80%を占める「プラモデルのまち」です。そんな静岡市ならではの「静岡プラモデル大学」が7月に開講しました。(取材・文=三浦徹)

「静岡プラモデル大学」は静岡市が進める「プラモデル計画」における人材づくりの一環として始めた取り組みで、今回が5回目です。これまでは「ものづくりプラモデル大学」でしたが今回から改名しました。

●静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長:
「プラモデルの一大産地の静岡市では、プラモデルを生かしたまちづくりをすすめていますので、よりプラモデルに特化した名前に変えました」

ーー「プラモデル大学」というと、プラモデルの作り方を学ぶ学校というイメージですが…。

●静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長:
「製作体験もあるんですけど、プラモデルの技術や知識だけじゃなくて、メーカーや業界の方々、我々行政と一緒に『プラモデルのまち静岡』を一緒に盛り上げていただける人材を育成したいというのが目的です」

ーー具体的にどんな活動をするのでしょうか?

●静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長:
「なぜ静岡でプラモデルが盛んなのかというところを学んでいただいて、どうしたらプラモデルの魅力を伝えられるかを考えていく。そのために自分が作ったものをきれいに見せる技術を学んだり、イベントなどの企画の立て方も学んでいただく。受講生には実際に製作体験のイベントを企画してもらいたいと思います」

今回の受講生は26人でそのうち3人が女性です。受講するのはどのような人なのでしょうか? 静岡市内には模型メーカーが数多くありますが、そこから派遣されるということもあるのでしょうか?

●静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長:
「メーカーから派遣されるとか、そういったものはありません。プラモデルをいつも作っていてもっと体系的に学びたいと参加される方もいますし、子どもの頃は作っていたけど、最近作っていないので作り方も含めて広く知りたいと言う方もいます。また自分が今やっていることに対して、もっとプラモデルを活用できないかと参加する方もいらっしゃいます」

ーー「プラモデル大学」は全国で静岡だけ?

「正式には調べていないですけどそうだと思います。やはりこれだけメーカーが集積していて、歴史も含めてプラモデル文化を研究している方もいる。やはり静岡がプラモデルのまちとしてだからこそできる事業だと思っています」

7月12日に行われた第1回目の講義では、静岡大学の芳賀正之教授が「模型の世界首都」を掲げる静岡市の背景や歴史について講演を行いました。

続いて、プラモデルメーカー・青島文化教材社の青嶋大輔社長がプラモデル産業の現状とこれから業界に求められる人材像について講演しました。

静岡ホビースクエア
静岡ホビースクエア

質疑応答の時間では、受講生たちが熱心に質問する姿が見られました。初回の講義を終えた受講生たちは…。

●受講生
・40代女性(静岡市・韓国籍): 
「語学教室で韓国語を教えています。以前、ホビースクエア※の発信をしたら、韓国の人がすごく興味をもってみてくださいました。インスタで静岡のいいところを発信していますが、私がもっと静岡のことをわかったうえで発信したいという思いで参加しました」

・50歳男性 (静岡市):
「金型の製造をしています。自動車が多いですがたまにプラモデルの金型を作ることもあります。ホビーショーを見て、自分も静岡が推しているプラモデル産業になにかしらの形で貢献できたらと思って参加しました。講義を進めていく中で、プラモデルの展示の見せ方も学べるというので、私が金型で展示会に出るときになにか生かせるかなと言う思いもあります」

・60代男性(藤枝市)
「今は引退しましたけど、これまで特別支援に関わる子どもたちの担当をしていました。そういうお子さんたちが実際に作ったり、お互いにほめあったり、人間関係を学ぶ教材として、プラモデルを使わせていただきました。対人関係に苦労されている方は大人の方もいます。そういう人たちにプラモデルを通して対人関係のトラブルを解決するような場を提供できでばと思います」

これまで卒業生はおよそ120人ということですが、卒業した人はどのようにプラモデルに関わっているのでしょうか?

●静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長:
「卒業生でPTAの役員をしているかたがいらっしゃって、PTAの事業として大規模なプラモデルの体験会『親子模型フェス』を21日に行います。大学を学んだことをきっかけに、大きなプラモデル体験会のイベントを企画したり、模型喫茶をやっている方もいます。趣味としてやるだけではなくて、自らプラモデルの魅力を発信してもらうのが目的なので、そういった方をどんどん増やしていきたい」

「プラモデル大学」はこの後は12月まで計7回にわたって講義を行い、実際にプラモデルを作るほか、模型イベントの企画、情報発信などについても学ぶということです。

※静岡ホビースクエア 
静岡市の模型メーカーが集結してプラモデルの魅力を伝える「模型ファンの聖地」。常設展示やワークショップもある。

静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長
静岡市産業振興課 プラモデル振興係 杉村一行係長