「酷暑」も珍しくない時代に? 「異常気象」のメカニズム解明へ洋上で観測調査 原因は〝黒潮〟?
静岡を襲った、6月としては“異例”のダブル台風。「線状降水帯」の発生に、静岡市でも、最高気温40℃を超えた「酷暑」など、異常気象が、もはや珍しくない時代に…。こうした「異常気象」のメカニズムを解明するため、6月29日始まったのが、海の上での観測調査です。観測を取りまとめるのは、異常気象研究の第一人者、三重大学大学院の立花義裕教授。
立花教授は静岡県で発生する「異常気象」について、ある「海流」との関係を指摘します。
三重大学大学院 立花義裕教授:「静岡県のすぐ南には黒潮が流れている。黒潮の影響を受けた大気が南風になって入ってくるので、黒潮の影響に伴って、竜巻の発生確率が上がっているかもしれないし、あるいは近年、静岡県は非常に豪雨が増えている。その豪雨の一因は黒潮かもしれない。あるいは猛暑、静岡や浜松は最近40℃超えが多い。それに黒潮が暖かいことの影響がどれぐらいあるか、客観的なデータを取りに行く」
世界で最も強く最大規模の海流の一つと言われる、「黒潮」。
この黒潮と異常気象との関係性を調べることも、今回の航海の目的のひとつです。
調査に使うのが、こちらの観測船。
三重大学大学院 立花義裕教授:「これが、我々が今度航海に行く三重大学の勢水丸という船です」
全長50.9メートル、三重大学が所有する「勢水丸」。運航に関わるスタッフと、立花教授や学生らの研究メンバー、およそ40人が乗船します。
三重大学大学院 立花義裕教授:「これが学生や我々がご飯を食べる食堂で、食事をしていない時には、ここで観測データに関する打合せや議論をする部屋でもある」
Q:そんなに揺れない?
「揺れますよ、例えばこれが揺れると、飛んでいきます、吹っ飛びます」
12日間、学生たちは2段ベッドの4人部屋で過ごします。船内には、真水の湯船がついた浴室や洗濯機も…。
そして、甲板には、さまざまな観測機器が…。
三重大学大学院 立花義裕教授:「こちらが水蒸気を連続的に測る機械で「マイクロ放射計」。上空から海面の近くまで、どれぐらい大気中に水蒸気量があるか調べる測器、水蒸気がどれぐらい上空にあるかは、豪雨がどれぐらい降るかにとって非常に大事。特に海の上は誰も測っていないから、このデータを我々が取って、いろんな気象予測に生かしていく」
「これが超ハイテクノロジーだが、人気がない。いまだかつて一度もテレビに出たことがない(笑)」
こちらは、黒潮の観測に欠かせない測定機器(CTDオクトパスシステム)。ケーブルをつなぎ、水深数千メートルまで沈めることもあるといいます。
三重大学大学院 立花義裕教授:「これを使うと、海の温度・塩分・酸素がどれぐらいあるか、3種類分かる。黒潮かどうかは、まず海水の温度が大事で、黒潮は高温で、塩分濃度が高い。水温と塩分が、どちらも黒潮の水だと判断できるのは、水深100メートルから200メートルもあると、黒潮だということが分かる」
人工衛星からも行えるようになった黒潮の観測ですが、立花教授は、海での観測が重要だと指摘します。
三重大学大学院 立花義裕教授:「静岡県の沖合でも、どの海域に行っても、実際行ってみた水温や海流と、人工衛星で見ているものは違うので、現地に行ってみて海の温暖化の影響がどれぐらい日本の様々な気象に影響があるか、静岡県に影響が及ぶかを調べる」