「襲ってやる」女性運転手に暴言・脅迫…スマホ投げつけ、車内カメラが捉えた恐怖の30分 「おそらく全運転手が経験している」タクシー業界を悩ますカスハラ
客「早くしろ(椅子をける)。おい、おい(身を乗り出す)この野郎」
これは県内のタクシー会社の車内カメラが記録したカスタマーハラスメント、「カスハラ」の一部です。乗客の男性は、酒に酔った状態で乗車。
女性「何丁目?」
客「100丁目」
運転手「お客さん、あんまり泥酔されていると乗せられないんですよ」
客「うるせーな、てめー」
こちらのタクシー会社では、乗客が泥酔して目的地を伝えられないなど、意思の疎通が難しい場合は安全運行のため乗車を断ることがあります。しかし、男性はその後、駅に向かうよう伝えたため乗車することに。
しばらく走行すると、女性運転手に暴言を吐き始めます。
客「てめーのことを襲ってやる」
運転手「私のことを襲っても・・・」
客「お前が調子こいているからよ」
運転手「調子こいてないですよ」
客「お前が乗車拒否みたいなことをしているからよ」
運転手は努めて冷静に対応しますが、男性の言動は次第にエスカレートしていきます。
客「おめーはどこに住んでんだよ、あ?」
運転手「それは個人情報なのでお答えできません」
客「おい、おい(身を乗り出す)このやろー」
男性は走行中にもかかわらず、防犯用のアクリル板を押しのけ、運転手に詰め寄る場面も。その後、危険を感じた運転手が車を止めると、男性はさらに怒りをあらわにします。
客「は?これのどこが(助手席を殴る)どういう…」
さらに、男性は運転手に責任者と会話したいと要求。運転手が会社に連絡し、男性にスマートフォンを手渡すと…。
客「あ?おい、繋がんねーんだよ(スマホを投げる)」
男性は運転手に向かってスマートフォンを投げつけます。
客「早くしろ(助手席を蹴って暴れる)」
その後、配車センターを通じて警察に通報。男性は、乗車してから警察が到着するまでのおよそ30分間、カスハラを行い続けました。運転手にけがはなかったと言いますが…。
静鉄タクシー本社営業所 松原宏之所長:「だいぶ精神的にショックを受けてしまったようで、その辺は面談をして、ケアを特別にしてという時間を設けるなどの対応をした。車は運転席のところにアクリル板が
装着してあるが、これが破損してしまった」
ここまでの深刻なケースは数年に1度ほどだといいます。しかし、タクシー会社が問題視しているのはこうした極端なケースだけではありません。
客「飛ばしていいよ。もっと飛ばして。のろのろ行かなくていいよ」
運転手「危ないですよ」
客「危なくないよ」
運転手「勘弁してください。危ないんですよ。人が出てきたらどうするんですか」
客「バカじゃねーのか」
運転手「いい加減にしてください」
客「おめーだこの野郎」
実際にカスハラを受けたことのある運転手は…。
静鉄タクシー増田千秋さん:「遠回りをしたとか新幹線の時間に間に合わないとか、言いがかりではないが、過剰なクレームを受けたことがある。おそらくすべての運転手が受けている、受けた経験があるんじゃないかなというふうに思っている。密室で行われている仕事ですから、その場で頼れる人がいないとやはり恐怖感を覚える」
こうしたカスハラはタクシーの車内だけで起きているわけではありません。配車の依頼を受ける「配車センター」にも、無理な要求や暴言が寄せられています。カスハラが社会問題化する中、去年、法改正が行われ、10月から全ての事業主に対してカスハラ防止のための対策を講じることが義務化されます。静鉄タクシーでも10月以降、カスハラ防止の啓発に関する掲示物のサイズを大きくしたり、従業員向けの研修を行ったりするなど、対策を強化する方針です。
また、タクシー運転手は歩合制のため、カスハラへの対応で運行できない時間が増えれば、その分収入にも影響します。そのため、被害を受けても我慢してしまう運転手がいると言います。これを防ごうと、会社ではカスハラ対応によって運行できなかった時間の賃金を保障するなど、被害を訴えやすい環境づくりも検討しています。
静鉄タクシー本社営業所 松原宏之所長:「企業として運転手を守るというのは大前提かなと思っているので、今まで泣く泣くやむなく対応している部分もあったから、そういうことがないように、運転手が働きやすい職場環境づくりにも努めていかなければいけない」