「写真があると涙が出る…」亡き夫との50年の思い出を手放す決断 数万点集まる“写真供養”に密着 浜松市
浜松市の葬儀場「浜松葬儀」で行われた写真供養感謝祭。会場にはアルバムや遺影など、思い出の詰まった写真を手放そうとする人たちが次々と訪れていました。
「この人、誰かわからない…」大量の写真に悩む家族
紙袋いっぱいの写真を持参した女性。亡き義母が残した写真の中には、家族にも誰だかわからない人物が数多く写っていました。
浜松市民60代:「娘や孫に残しても見ることはないと思う」
思い出があるからこそ簡単には捨てられない。その葛藤を抱える人は少なくありません。
ここで初めて写真の供養が行われたのは今年5月。およそ1500人が訪れ数万点もの写真が集まるほどの大きな反響を呼び、今回2度目の開催となりました。手放す理由は人それぞれ。続いて出会ったのは、「額縁」を持ち込んだ夫婦です。
「少しコンパクトになろうね」亡き両親の遺影を手放す娘の決断
会場に遺影を持ち込んだ今井さん。44年前に亡くなった父と13年前に亡くなった母。大切に飾ってきた遺影でしたが、子どもたちへの負担も考え、整理を決意しました。
今井優子さん(68):「お家に飾っていたんですけど、子どもたちに引き継ぐにしても大きすぎるので、私の気持ちの中で、二人にも「これからあなた達二人のことを大事にしていきたいので、息子たちに見てもらうためにも少しコンパクトになろうね、良いよね」って」
遺影のデジタル化や小型化が進む中、同じ悩みを抱える人は増えています。
「写真があると見てしまうから…」亡き夫を思い涙
段ボール箱を持ち込んだ松本さん。手放すのは、11年前に亡くなった、最愛の夫・安晴さんとの思い出の写真です。そこには結婚式や新婚旅行、海外旅行など、50年にわたる夫婦の思い出が詰まっていました。
松本増子さん(76):「優しい人でした」
写真を見返しながら語る思い出。しかし整理を決めたのは、残される家族のためだけではありませんでした。
「泣いてばかりではいられない」前を向くための写真供養
松本増子さん(76):「写真があると見てしまうから」
そう話しながら涙を流した松本さん。供養を終えた後は、「これから強くなって生きていかないと」と前を向きます。
写真供養は、単なる処分ではなく、大切な人との思い出に区切りをつけ、新たな一歩を踏み出すための時間でもありました。
数万点が集まる反響 求められる「思い出の整理」
初開催から大きな反響を呼んだ写真供養感謝祭。主催者には「引き取ってくれてうれしい」「定期的にやってほしい」といった声が寄せられています。捨てるのではなく、感謝を込めて送り出す。写真供養は、超高齢社会の中で広がる新たな弔いの形なのかもしれません。