コロナ禍の巣ごもり需要で急成長の「冷凍食品市場」 お肉やスイーツの24時間販売も 静岡
コロナ禍で外出を控える人が増えたことで拡大した「巣ごもり需要」。中でも「冷凍食品市場」は急成長し、家庭で2台目の冷凍庫を持つ「セカンド冷凍庫」という言葉も注目を集めました。
国内の冷凍食品生産量を見ても、ここ2年は、「家庭用の冷凍食品の生産額」が「業務用」を上回るなど、家庭での冷凍食品の需要は年々増すばかりです。
24時間営業の無人販売店も続々
栗田麻理アナウンサー:「その需要の高まりと共に全国的に増えたのが、24時間営業で冷凍食品を販売する無人販売店や自販機。県内では今年に入っても、続々と無人販売店がオープンしています。そのひとつがこちらのホルモン直売所。肉専門の無人販売店です」
冷凍食品の無人販売店が増える中で、県内でも圧倒的に多いのが「ギョーザ」を扱う店舗です。しかし、だんだんと、そのジャンルも多様化してきています。
栗田アナ:「清潔感がある店内。壁にはズラッと肉の写真が貼られている。ショーケースにはギッシリ肉がつまっている。そして、こちらが料金箱なんですね。この中に現金を入れることもできるし、バーコード決済もできる」
JR静岡駅から徒歩20分ほどの場所にある24時間無人販売店。今年の1月にオープンしました。この店では国産和牛や豚肉など30種類以上を販売していて、お肉は一律1000円、タレは500円です。
24h無人ホルモン直売所 静岡大工町店 岡田準平オーナー:「餃子の無人販売はあったが、肉の無人販売はなかったので、静岡市の中で一番初めにできれば、ちょっと目立てるんじゃないかということで」
一番人気は「牛ホルモン」。店の大元となっているのは、岩手県にある焼肉専門店ということもあり、お店さながらの本格的な味が家で楽しめます。
オープン後の反響はオーナーの想像以上で、1カ月でおよそ120万円を売り上げる月もあったといいます。
中心街に比べ人通りが少ない場所で、消費者から高評を得ている理由。そこには「オーナーの本業」が大きく関係しています。
オーナーの本業は新聞配達…“地の利”生かして出店地をリサーチ
24h無人ホルモン直売所 静岡大工町店 岡田準平オーナー:「本業は新聞の配達をやっています。(静岡市)葵区と駿河区の用宗・丸子の地域の配達をやっているので、そこはだいたい回ったことがあって詳しいと思う。(この辺りは)ひとり暮らしの人が多い。飲み屋も多いので、飲むのが好きな人が多いのではということで、“おつまみ”みたいな要素でも使っていただけたら、うれしいと思って」
オーナーは、本業の新聞配達で培った“地の利”を生かして出店地をリサーチ。付近に住む人の特徴や、街の雰囲気などを考慮し、場所を選定しました。
低コストで経営できる無人販売を“副業”に選ぶケースも増えているようです。
24h無人ホルモン直売所 静岡大工町店 岡田準平オーナー:「無人販売は、作業している時間は1日1時間ぐらいでできるので、家賃などが抑えられれば、多店舗展開などをしたときにもひとりで5店舗とかできるイメージがあるので、そういうところはいい」
「ホルモン直売所」の店舗は、去年4月のフランチャイズ化から1年が経たないうちに全国150店舗にまで急増。県内では、今年1月にオープンした三島店のほか、新たに、3店舗目となる「袋井店」が12月にオープン予定です。
リンゴ飴やみたらし団子も冷凍…スイーツ無人販売店
栗田アナ:「さらに9月、県東部、沼津市と裾野市に2店舗同時にオープンした無人販売店があります。そのお店がこちら、スイーツ専門の無人販売店です」
栗田アナ:「広い。ネオンの装飾がかわいらしい。リンゴ飴がある、これも冷凍、初めて見た。反対には福井県のみたらし団子。でもこの冷凍庫、全部売り切れ」
店頭に並ぶのは、全国津々浦々、かわいらしいパッケージのスイーツ。全国各地の人気スイーツを販売する24時間無人販売店が、9月裾野市にオープンしました。JR裾野駅からは徒歩およそ30分。駅からは少し距離があります。ただ、オープン以来、毎日たくさんの客が訪れているため、商品の供給が追い付かず、空の冷凍庫もあるほどの人気ぶりです。
客(御殿場市民 2回目の来店):「前回は高知県名物のアイスを孫に頼まれて買ってきて、好評で「もう一回買ってきて」と言われてきょう来た」
Q.スイーツの無人販売店どうですか?
A.「それが珍しくて、来てみようと思った理由のひとつ」
客(裾野市民 3回目の来店):「近所に住んでいて、(中学生の)娘がこういう“映え”が大好きなので、初め、娘と来て主人と来て、今回またもう一回来て、インターネットなどで取り扱っているのが置いてあるので、でもネットだと(一個単位で)買えないじゃないですか。ここだとひとつ買って試せるのでいい」
オーナー「想定以上に来店いただいている」
店内ではおよそ100種類のスイーツを販売。インターネットで販売されているものをお試し感覚で買えたり、現地に行かなくても全国のスイーツを楽しめる手軽さが評判です。
オーナーはこの反響ぶりをどのように感じているのでしょうか。
スイーツ無人販売所オーナー:「9月16日にオープンしたところなので、まだおよそ2週間だが、正直、想定以上にお客様にご来店いただいて、おそらくオープンから3日間で2000人ぐらい来た。その影響もあって商品の供給とメーカーの製造が追いついていない」
商品はタッチパネルで選択。支払いに関しては現金と電子決済がどちらも可能となっていて、こうしたレジのハイテク化も人気の要因のひとつです。
スイーツ無人販売所オーナー:「人手不足になっていく中で、今までなかったような新しいサービスをやっていく上では無人販売はこれから当たり前になっていくスタイルのひとつだと思うので、今ある課題は改善しながら、新しいお店を造っていけたらと思う」
同じ日にオープンした沼津店のほか、11月上旬には浜松市内で県内3店舗目がオープン予定です。
いわゆる2024年問題など、今後も人手不足に悩む企業が多い中、24時間中営業ができて、人件費もかからない無人販売店。餃子に始まり、肉やスイーツなど、今後はもっと幅広いジャンルで、県内にも増えていくかもしれません。