【記者解説】袴田事件再審初公判 ひで子さんの様子は? 公判の注目点、今後の予定は?
石田和外アナウンサー:「では、裁判を取材した社会部キャップの難波記者に聞きます。よろしくお願いします。注目の裁判、傍聴希望者もかなりの数だったようですが始まる前はどんな様子だったんですか?」
難波記者:「私は傍聴整理券が配られる午前8時半より30分以上前には地裁の前にいたのですが、その時点ですでに多くの支援者やマスコミが集まっていました。今回、静岡地裁は、500人ほどが集まる想定で警備員を配置していました。実際は280人と想定よりは少なかったのですが、若い学生の姿もあるなど注目度の高さが現れていました」
石田アナ「きょうの公判は、どんなことが行われたんでしょうか?」
難波記者:「きょうは最初に地裁の國井恒志裁判長が再審に至った経緯を時系列に沿って説明しました。その後、袴田さん本人の出廷を免除した理由を、実際に袴田さんと面会した際の様子も踏まえた上で「拘禁反応があり意思疎通をはかることは困難。心神喪失の状態で回復の見込みはない」と説明しました。
そして、通常の刑事裁判と同じように、検察官が起訴状を読み上げ、検察、弁護側双方がそれぞれの主張を述べました。
石田アナ:「ひで子さんの様子は?」
難波記者:「ひで子さんは検察官が起訴状を読み上げている間、姿勢を崩すことなく時折、書類に目を落としたり、検察官を方をまっすぐ見つめたりいていました。
そして罪状認否ではひで子さんは最初証言台に座りましたが、「立っていいですか?」と裁判長に質問をして、裁判長に「立たれますか?」と確認されると、「はい」と一言だけ答え静かに立ち上がりました。
いつも我々の取材などでもさばさばしているような印象があったんですが、この時ばかりはひで子さんも若干緊張いているように見えました。涙ぐんでいたのでしょうか、少し鼻声で「弟に真の自由をお与え下さい」と訴えると、弁護団や傍聴人の中にも涙を流している人もいました」
石田アナ:「初公判の内容としては予定通り?」
難波記者:「きょうは大きなトラブルなどもなく、裁判所から示されていたスケジュール通りの進行でした。主に検察側の有罪立証に沿った陳述が行なわれました」
石田アナ:「今後の予定、注目点は?」
難波記者:「今後も確定審、つまり死刑判決となった争点についての証拠調べ手続きが行なわれます。注目すべきは再審で最大の争点となっている5点の衣類に関する証人尋問です。衣類に付着した血痕の色について鑑定した法医学者らの尋問を弁護側は請求しています。検察側もこの色について別の法医学者の尋問を予定しています。この証人尋問は当初の予定より1カ月ほど遅れると見られていて
2月ごろになる見通しです。
再審請求審で5点の衣類は捜査機関ねつ造と指摘されているので、予定されている法医学者の証人尋問は大きな意味を持つと言えます」