一部の井戸から国の指針値の26倍もの濃度のPFASを検出 静岡市が調査結果を公表
静岡市は有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFASに関する調査結果を公表しました。一部の井戸水から国の指針値の26倍もの濃度が検出されました。
静岡市 難波喬司市長:
「市による地下水の調査結果です。10月17日から20日に、当該工場の敷地境界から500メートル以内の井戸。その5カ所で調査をいたしました」
有害性も指摘されている有機フッ素化合物、PFAS(ピーファス)と呼ばれる化学物質が、静岡市清水区の化学工場周辺で検出された問題。
先週、静岡市は、工場前の水路で採取した水から、国の指針値の5倍を倍を超える濃度のPFASが検出されたことを発表しました。
さらに、市が工場周辺で水質調査を実施したところ、井戸水から検出された濃度は、指針値の25倍を超えていたことが分かりました。
静岡市 難波喬司市長:
「工場の敷地外では、PFASの使用履歴がないことから、工場敷地内のPFASが地下水に溶出し、地下水中の移流・拡散により、工場敷地以外の地下水にも暫定目標値を超える濃度で広がっているものと推定されます。
PFASとは
そもそもPFASとは水や油をはじく性質を持っていて、フライパンのコーティングや、防水加工の衣類など、日常的に使う物にも広く使われています。
清水区の工場では、フライパンのコーティングとしても知られる「テフロン」などのフッ素樹脂を生産していて、PFASの一種、PFOA(ピーフォア)を2013年まで使用していました。
ただ、清水区で使用されていたこの化学物質は人体への有害性が指摘されていて、2008年から2010年の間に工場の従業員24人の血液検査が行われた際には検査を行った全員から高濃度の化学物質が検出されました。
中には、アメリカで健康へのリスクがあるとされる指標の418倍の数値が検出されていた従業員もいたということです。
三保地区の自治会長は
有機物質が、工場の敷地外からも検出されたことについて
三保地区の自治会長は・・・
清水区三保地区連合自治会 櫻田芳宏会長:
「(暫定指針値の)5倍が果たしてどの程度のものなのか、正直理解できないし分からない。近隣住民で特別な病気やがんが増えているとか、いろんな何かが発生しているというデータは全くないし、そういうことは聞いていないので、今すぐどうのこうのという心配は私自身は今のところ持っていない」
7日時点で、地域住民から自治会に対し、問い合わせなどはないといいますが自治会長は、一刻も早く現状を把握し、地域住民に説明したいと話しました。
清水区三保地区連合自治会 櫻田芳宏会長
「自治会としては地域の皆さんの健康、あるいは作物に影響があるのかないのか、あるとしたらどの程度の影響なのか、ある程度知りたい。それを皆さんに知らせたい」
静岡市は今後
8日、明らかになった井戸水の調査結果。
静岡市では、10月17日から20日にかけて、工場周辺の井戸、5カ所で、水質調査を実施しました。
静岡市 難波喬司市長
「1カ所は50ng/Lを下回る7.4ng/Lでしたが残りの4カ所については、暫定目標値の7~26倍、350~1300ng/Lという値となりました」
難波市長は、井戸水の取り扱いについても言及しました。
静岡市 難波喬司市長
「今回調査した5カ所の井戸水は、すべて散水として使われているので、少なくとも当該井戸の水の飲用による健康被害は発生していないと推定されます。しかし、工場の周辺には調査対象以外の井戸、今回の5カ所以外の井戸が存在するので、当面の措置として市は、三保地区の井戸について、当分の間は飲用を控えてくださいという注意喚起をします」
静岡市は、今回の調査結果を受け、水質検査を実施する範囲を拡大する方針です。