亡き妻のためにつくったバラ園が竜巻とみられる突風で…思い出が詰まったバラ園を前に84歳の男性は 浜松市
先週、浜松市で発生した竜巻とみられる突風は付近にあるバラ園にも被害をもたらしました。妻を亡くした男性が供養のためにと造った施設でした。
ばらの都苑 天野和幸さん(84)
「残念。手がつけられないです」
先週木曜、浜松市で発生した突風の被害。
浜松市などの現地調査の結果、被害は少なくとも40件にのぼっています。
齋藤諒アナウンサー
「浜松市の突風発生から4日間がたちました。こちらのバラ園でも、事務所が風で飛ばされるなどの被害にあい、きょうも朝から片付け作業が進められています。」
浜松市中央区花川町にある「ばらの都苑」でも、プレハブの建物や、テントが飛ばされるなどの被害を受けました。
こちらは、去年5月に番組が取材したときの映像です。
およそ2700平方メートルにもわたる敷地には、300種類、1500株以上のバラが植えられています。
このバラ園を24年前につくったのは、天野和幸さん、84歳。
ばらの都苑 天野和幸さん:
「28年間連れ添った女房を急に亡くしてしまって供養として始めました。花で思いっきり供養をしましょうと、それば僕の一番の原点だったんです」
1998年、妻・都さんは、肺がんのため、49歳で亡くなりました。
ばらの都苑 天野和幸さん:
「肺がんの宣告を受けたときに、じゃあ何か動けるうちにどこか行きたいとこあるかねって聞いたら、2人で何度か行った島田のバラ園にもう一度行きたいということで、島田のバラ園に行ってきて、すぐに再入院してしまったので、家内が好きだったバラを植えて供養しましょうというのが一番最初の思いつきの計画でした」
「竜巻とみられる」突風は、天野さんの手掛けるバラ園にも、大きな被害をもたらしました。
「これは小さいんだけど、こういうつぼみがたくさんあったんだけど」
「それが飛ばされてしまった?」
「はい。今年はいつもより、夏の暑さで、正直育ちが悪かったんですよ」
Q:ただでさえ暑さで育ちが悪かったのに、風で飛ばされてしまって?
「もうダブルパンチです」
突風の影響で、根元から折れてしまったバラや、つぼみが飛んでしまったバラがある中で、特に天野さんがショックだったというのが…。
「そこの屋根がここまで、飛んで来ていたんですよ。ここまでね」
これは、おととい取材に伺った時の映像です。
飛ばされてしまった建物のガレキが、バラ園に散乱しているのが分かります。
「バラは、植え替えができるから」と、前向きに話す天野さんですが、「思い出の品」を失ってしまうことに、ショックを受けています。
「20年間の…」
「ずっと大切にしていた写真なんですね?」
「そうです、皆さん撮って持って来てくれるんです」
「濡れてしまった写真はどうするんですか?」
「もう再生できませんし」
「とっておくこともできない?」
「ねえ、正直困ったなあと思って、悩んでいます」
ただ、天野さんは、亡き妻・都さんとの思い出がつまったこのバラ園を、来年5月までには再開させたいと言います。
ばらの都苑 天野和幸さん(84)
「やります!やらなきゃいけないんです、もう5月だけで1万人ほどの方が見えますから、私1人でもうやめたということはできないですよ。もう入園料もなしに、よくもここまでやるねってほめてくれるんだけど、それが男の意地じゃないですか」