あこがれの市民クラウンに 長年の夢をかなえた女性の思い 静岡市の大道芸ワールドカップがもうじき開幕
静岡市の秋の風物詩「大道芸ワールドカップ」が11月1日に開幕します。2024年市民クラウンとして初めて参加するある女性の思いに迫りました。
大道芸ワールドカップを盛り上げる、市民クラウンのボランティア。この日は、大会のPRで街に繰り出しました。2024年は、18人の新人クラウンが誕生しました。
その内の一人、愛知県豊川市に住む高木とも子さん。62歳。市民クラウンに挑戦するのは長年の夢でした。
●高木さん:
「人を笑顔にしたりとか楽しませてあげたりとか癒やしたりとか、いつかチャンスがあったらやってみたいなと」
2004年、当時4歳だった次男克弥さんが、難治性ネフローゼ症候群という体が腫れてしまう難病で入院しました。その3カ月前には夫の昌孝さんを亡くしたばかりの高木さん。
●高木さん:
「心が立ち直ってない中で息子が発病したので結構心がというか折れまくっていた」
失意の中、3年が経ち、病院で出会ったのがクラウンだったのです。
●髙木さん:
「どんな病気の子にも自然に上手に接していて、とにかくあったかくなる感じ」
このときの体験をきっかけに、髙木さんはクラウンに憧れを持つようになりました。しかし、女手ひとつで2人の子どもを育てる毎日。市民クラウンに応募する余裕は無かったといいます。
●高木さん:
「仕事も結構帰りが遅かったり、自分の好きなことをやるっていう時間もなかった」
2人の息子は、現在26歳と24歳に。克弥さんは中学を卒業したころに退院。そして、社会人となり一人暮らしを始めたこの春。
●高木さん:
「自由というかそうなったので、『今だ』みたいな」
思い切って大道芸ワールドカップの市民クラウンに応募。17年越しの夢が実現しました。
いよいよ憧れの市民クラウンに変身です。
●髙木さん:
「今からメイクをします。何とか作ってみたいと思います」
1時間半後、、、
高木さんのクラウン名はトントンです。
●大場舞桜アナウンサー:
Qこのメイクのコンセプトは?
●トントン:
「一応キュートなクラウンっていう」
さあ、街に出ます。「トントン」は街の人に受け入れてもらえるでしょうか。
●トントン:
「こちらから声をかけると、手を振ってくださったりしてうれしい。夢のようですね」
先輩クラウンもトントンの様子を見守っていました。
無事にクラウンデビューを果たした高木さんに、ある映像を見てもらいました。
17年前、高木さん親子が愛知県で出会ったホスピタルクラウンを、当時、静岡朝日テレビも静岡県内の病院で取材していたのです。
クラウンに会えて、子どもたちが手をたたいて喜んでいます。
●高木さん:
「そうこんな顔しとったじゃんね~こんな」
当時、病室からなかなか出られず落ち込んでいた克弥さん。クラウンと触れ合うことで、徐々に笑顔を取り戻していったと言います。克弥さんにもバルーンを届けてくれた思い出が蘇りました。
●高木さん:
「親も病気のこともあり、暗い気持ちというか心配もあるけど、その瞬間だけでもホッとするほっこりっていうかそれがすごい」
クラウンに救われたあの時の思い・・・
●高木さん:
「本当にいろんな方に助けていただいて今があるので、世の中になんかこう少しでもお役に立てるような
ことができたら」
17年前のクラウンに抱いた感謝を今度は市民クラウンとして大勢の方に返したい。高木さんが登場する大道芸ワールドカップは、11月1日に幕を開けます。