屋根塗装詐欺の被害者が語る 人をだます巧みな話術と手口そして背後には暴力団が

去年12月、裾野市の男性がリフォーム業者を名乗る男らのグル-プに、屋根の修理名目で現金をだまし取られる事件が起きました。被害に遭った男性が語る事件の実態とは。

詐欺被害者 裾野市 大村寛さん:
「ええって感じで、驚きですよね。慎重に生きてきたつもりでいたがタイミングといろんなものが合っちゃいました」

 裾野市に住む会社員の大村寛さん62歳。

 屋根の修理を巡って詐欺被害にあいました。

 去年12月上旬、ある日の夕方、大村さんが仕事から帰宅すると突然若い男が訪ねてきました。

 男は塗装工事もするリフォーム業者を名乗ります。

「屋根の金具が風で曲がっているのが見えました。そのままにしていると雨漏りするので、早く修理した方がいいです。
一応見積もり取らせてください」

詐欺被害者 大村寛さん:
「ここの家が15年くらい前に塗装をやっているので、「将来的に雨漏りする」「早めに処置した方がいい」ってことで
見積もりを取ってもらった。20過ぎくらいの方で後から業者の親方が来ますって話で、じゃあお願いしますと」

 すると、男は車からはしごを持ってきて、屋根に上り点検を始めます。

詐欺被害者 大村寛さん:
「(金具が)曲がっている写真と薄い瓦のそれが割れていましたって下に降りてきた。去年台風などで「風や雨が強いときがあってそのときにいっちゃったのかな」って感じで、でも瓦って普通割れないよなって上からなんかの衝撃がない限り割れないよなとは思ってはいたが」

 男はリフォーム会社の社長を名乗る男を連れて来て、工事の見積り書を提示します。

 そこに書かれた金額は「40万円」。

屋根塗装詐欺の被害者が語る 人をだます巧みな話術と手口そして背後には暴力団が

工事当日は

詐欺被害者 裾野市 大村寛さん:
「60万円くらいかとは思っていたんですが、それよりか全然安かったので、乗ってしまいました。

 前回の塗装から15年ほど経っていたこと。

 見積もり額が予想よりも安かったこと。

 そして、塗装工事を考えていたこともあり、大村さんは男らのことを信じ、契約してしまったといいます。

 工事は契約の翌日に始まり、2日で終了しました。

詐欺被害者 裾野市 大村寛さん:
「工事が終わったよってときも全部「これが道路側だよ」「これが川側だよって」説明は受けた。「工事終わりました」って領収書持ってきたときには、一応手には塗装の跡もついていたんでやったんだなと」

 大村さんはその場で現金40万円を手渡しました。

 男たちを疑うことはなかったのか。

現金40万円を手渡す
現金40万円を手渡す

不審な点は

 振り返ると不審な点が2つあったと言います。

 まず工事初日のこと・・・

詐欺被害者 大村寛さん:
「自分仕事から帰ってきたときに、玄関の入り口のここに
ビールの缶が2つあったんですよ。忘れ物でもおかしいな、変だなと思いながらいて。普通じゃお客さんのところにビールなんて持って来ないので。暑い日にジュースなら分かるが「ビール?ん?」ってちょっと不審には思った。」

 また2日目。

 大村さんは仕事で日中不在にしていましたが、息子がたまたま日中に帰宅すると仮設の足場がなかったといいます。

詐欺被害者 裾野市 大村寛さん:
「本来塗装をするってなると、だいたい足場組んで。それをやってなかったっていうのさ、「あれ?」って思ったんだけど。こんだけ高さもあるので階段的な足場組んで上るような形だと思っていたんで」

仮設の足場がなかった
仮設の足場がなかった

詐欺と判明、立件

 大村さんが詐欺だったと知るのは5カ月後のことでした。

詐欺被害者 裾野市 大村寛さん: 
「おまわりさんの方から電話がかかってきて塗装工事をしました?って言うから「しました」(と答えた)実はこうこうで詐欺に遭っていると思われる」

 大村さんの自宅は実際、屋根の工事は必要なかったとみられます。

 男らは自ら屋根の一部を壊し、工事が必要だとみせかけ40万円をだまし取ったということです。

 9月最初に訪問してきた若い男と社長を名乗る男を含めた5人が、詐欺と特定商取引に関する法律違反の疑いで逮捕されました。

 そのうち、この2人を含めた3人は起訴されています。

 うその説明をして、必要のない屋根の修理費用をだまし取った罪です。

 犯行を主導していたのは、

社長を名乗った東京都の建設業の男(33)とみられています。

 警察などによりますと、三島市や裾野市で5人の犯行とみられる被害が10件以上確認されていて、被害総額は500万円以上に上るということです。

 うち、大村さんの件を含め2件が立件されています。

「初めて気が付いた、聞いて分かった。自分は(詐欺に)遭わないと思っていたけど遭っちゃいました。本当にタイミングとかが合っちゃうと簡単に詐欺に遭ってしまうので」

 9月、警察は神奈川県藤沢市にある稲川会十一代目堀井一家の事務所を家宅捜索。

 5人が得た利益が暴力団に流れていたとみて調べを続けています。

 静岡県によりますと今年4月から11月5日までに屋根の工事に関する相談が160件寄せられているということです。

暴力団事務所を家宅捜索
暴力団事務所を家宅捜索