ザワつく富士山「登山規制」の行方は?入山管理料4000円は適正か?
国内外から毎年20万人近くが訪れる世界遺産・富士山。
今年はそんな富士山にまつわるニュースが静岡県内をにぎわせました。
石田和外アナウンサー:
「山岳遭難救助隊が確認できました。午後1時15分です。富士山の山頂静岡県側の火口付近です」
富士山の開山を目前に控えた6月、火口付近で3人の遺体が発見されるというショッキングなニュースが流れました。
静岡県警によりますと、7月1日から8月末までに富士山では5人が亡くなり、去年の同じ時期の1人から大幅に
増加しました。
十分な休息を取らずに夜通し登山をする弾丸登山」や、装備が不十分なまま登る「軽装登山」は、富士登山が人気になるにつれ増加し、以前から問題となっていました。
9月には早朝から富士山に登りその日のうちに下山する予定だった弾丸登山と見られる50代の男性が、山頂付近で意識を失いその後死亡しました。
山梨県では登山規制で効果が
こうした状況の中、富士山を挟んだお隣山梨県は今年の夏から登山人数の制限や夜間の登山道閉鎖、1人2000円の通行料の徴収などの新たなルールを設けました。
山梨県によりますと、この新ルールによって弾丸登山が疑われる夜間登山者数は、去年の1万4469人から708人に激減したということです。
一方、静岡側では山小屋の予約がない登山者に対して、登山口で登山自粛を呼び掛けるなどの対応に留まっていましたが…
鈴木知事:
「基本的には3登山口での取り組みを実施したい」
静岡県は規制に向け、職員が富士山5合目の現地を視察するなど規制内容について検討を重ねてきました。
議論の中心は4000円という入山管理料
そして…
静岡県 都築直哉スポーツ・文化観光部長:
「入山者に対しルール・マナーの事前学習の修了や午後2時以降の入山は山小屋の宿泊予約。4000円の入山料の納付などを課す内容で条例の骨子案をとりまとめました」
静岡県は先週の県議会文化観光委員会で規制の骨子案を公表しました。
それによりますと、新たに1人4000円の入山管理料を徴収し、山小屋への宿泊を予約していない登山者は3つの登山口全てで午後2時以降の入山を禁止する方針です。
来年から全員が支払うことになる入山料。
議論の中心となったのは、4000円という金額をめぐってです。
鈴木唯記子委員:
「将来の安全性の担保や保全の担保などをしっかり検討していくためにも、(入山料)3案あるなら5000円というのもしっかり考えるべきだと思う」
河原崎聖委員:
「山梨とお客の取り合い、競争の面もあると思う。(入山料を)1000円くらい下げてやるってことも考えられると思う」
土屋源由委員:
「中に入ってけがしようが、病気になろうが、金を払ったところが全部面倒を見なきゃならないわけ。私は1万円でも何でも取るべきだと思っているんです」
富士山の山小屋関係者は
こうした静岡県の規制案について、富士山の山小屋関係者は…
表富士宮口登山組合・池田組合長:
「富士登山の観光っていいますと、他の観光地と違って
(閉山期の)10か月は休んでますので、再開ってなったときにね、どんな状況になっているのかっていうことがなかなか不透明で。4千円っていう額が適正なのかどうなのか、ずっとやってる観光地なら多いとか少ないとかわかるんですけど、10か月空いちゃうってなるとなかなか難しいですよね。決めたからにはずっとやるとかっていうわけではなくて、その年その年が終わったら臨機応変にね、ちょっとこれはやりすぎだとか、うまく柔軟性を持って対応していってもらいたいなとは思っています」
静岡県は条例案について意見を募るパブリックコメントを、24日まで行ったうえで、2025年2月の県議会に
条例案を提出する方針です。