発酵の力が引き出す素材の本気 「37 cafe」で心をほどく 浜松市
「野菜だけで、こんなに満たされるのか」。それが、浜松市中央区若林町の「37 cafe」で最初に抱く感想だ。営業は土、日、月の週に3日。だが、その短い開店時間を目指して訪れる常連が絶えない。全ての料理に使われるのは自家製発酵調味料。塩麹、醤油麹、梅味噌、甘酒、酒粕、そして黒麹。発酵の力で、食材の持ち味を引き出す。看板は「おにぎりサラダプレート」。主食のおにぎりは2種。ひとつは3日間寝かせた発酵玄米。もう一つはトウモロコシと塩麹の炊き込みごはん。どちらも米の甘みが際立ち、口の中でじんわりと広がる。

副菜も多彩だ。柿酢のもろみで仕上げたキャロットラペは、甘酸っぱく、爽やか。トマトとスナップエンドウのサラダには、クエン酸を生む黒麹を使い、酸味と旨みのバランスを絶妙に保っている。

日替わりの冷製ポタージュは、取材で訪ねたこの日はスイカとトマト。まるでジュースのように軽やかだが、野菜の旨みが密やかに効いている。飲み物にも麹を使い、発酵の力がすみずみにまで宿っている。

3日間煮込んだ豆と野菜のカレーも人気。動物性不使用ながら、たまり醤油や塩麹のコクで、満足感がしっかりある。

パスタにもこだわりが。しそとレモン汁、塩こうじ、オイルで作るオリジナルソースに、ビワの自然な甘みを添えた一皿は、香り高く、軽やかで、まるで初夏の風のような味がする。プラス330円で、キッシュを添えた野菜増しになるのも嬉しい。

「37 cafeの料理」には、体に優しいだけでない、“野菜の強さ”がある。調味料を重ねず、引き算で旨みを描く。その繊細な手仕事に、食べ終えたあと、少し背筋が伸びる気がした。

37 cafe
浜松市中央区若林町2826‐7
TEL 053-452-3885
営 土・日・月11:30~15:00(L.O.14:00)
休 火~金曜日
Pあり
※小学生未満入店お断り