出汁の底力、蕎麦と丼の至福 静岡市「もり竹」
静岡市駿河区豊田にある27年続く蕎麦処「もり竹」。昼は手打ち蕎麦と丼のランチ、夜は一品料理とお酒でくつろげる地元の名店だ。平日のランチは、選べる小さい丼と蕎麦のセットで1,200円。蕎麦は北海道産の蕎麦粉を7割、小麦粉3割で打ち、更科粉をブレンド。のど越しが心地よくカツオや昆布などの出汁がきいたつゆに浸せば箸が止まらない。ざる蕎麦とともに供される天丼は、創業以来継ぎ足しの天ダレが味の決め手。エビ2本にナス、ピーマンを添えて、小ぶりながらも満足感の高い一杯に仕上がっている。タレは甘さ控えめながらキレがあり、衣とご飯を一体にまとめあげる。食べ飽きないというよりまた食べたくなる味だ。

もうひとつの定番、カツ丼にも工夫がある。天ダレと蕎麦つゆをブレンドし、出汁の香りをしっかり利かせた味付け。卵でとじると程よくふわりと仕上がり、肉はジューシーで歯切れがいい。

夏になると登場する「冷したぬきそば」は、素揚げしたネギ、わかめ、揚げ玉をトッピングした涼やかな一杯。出汁の輪郭が最もはっきり感じられる、常連に人気の夏そばだ。

パラパラに揚げたサクラエビを贅沢に盛った「桜えび天おろし蕎麦」も好評。県外から来る観光客に喜ばれるという。香ばしさと甘みがツユに溶け込み、口に入れた瞬間、サクラエビの香りが鼻を抜けていく。

もうひとつの夏の風物詩が「みょうが薬味そば」。ミョウガ、カイワレ、玉ねぎなどを山盛りにし、冷たい蕎麦にたっぷり乗せた逸品。シャキシャキとした歯触りと清涼感が、この季節にぴったりの一皿だ。

もり竹は地元の常連に支えられながら、変わらぬ味と、変わらぬまなざしで、きょうも満点の料理を提供してくれる。

もり竹
静岡市駿河区豊田1-9-33
TEL 054-283-1850
営 11:30~14:00/17:30~20:30※日・祝の夜は17:00~20:00
休 月曜日※※祝日の場合はランチのみ営業、翌火曜日休み