家庭でも災害に備えよう! 静岡・伊豆の国市の「チーム防災いずのくに」が訴える自助の必要性

いつ起こるかわからない災害に対し、家庭でも自分たちで備えをしようという動きが広まっています。いわゆる「自助」の手助けをしようと活動しているのが、2020年に静岡県伊豆の国市で結成された市民団体「チーム防災いずのくに」です。(取材・文=三浦徹)

7日、函南町西部コミュニティセンターで行われた「夏休み親子防災教室」。函南町社会福祉協議会が開いたこの防災教室には、大人6人、子ども12人の計18人が参加しました。

講師を務めるのが市民団体「チーム防災いずのくに」。2019年に伊豆半島を襲った台風をきっかけに、翌年、伊豆の国市の有志で結成され、現在は15人のメンバーが活動しています。

今回の教材に使われたのが、「チーム防災いずのくに」が制作した「防災かるた」です。

●チーム防災いずのくに 渡辺末美さん:
「2019年の台風19号の時にたくさんの方が避難を体験したわけですけども、そのときに避難場所に何を持っていけばよかったのか、避難場所が思っていたのと違うとか、そういう意見がたくさんあることがわかりました。それを集計して、防災に備えるようなことができないかなというところから、スタートしました」

かるたには、災害時に役に立つ知識がいっぱいです。

・「レンジ・お湯、あると思うな避難先」
・「配布飲料もらうとき、水筒あればわけあえる」
・「上履きやスリッパ持って避難しよう」
・「自助・共助・公助に加えて近助(きんじょ)もね」

防災かるたで学ぼう!
防災かるたで学ぼう!

この日、講習が行われたホールの気温は33度。冷房がないため、大型の扇風機が用意されましたが、かなりの暑さです。施設内には、冷房がある部屋もありますが、避難所には冷房がないケースもあるということから、あえてここを会場にしたということです。

会場には大きな扇風機が
会場には大きな扇風機が

その後は「チーム防災いずのくに」が作った防災用ふろしき「ittoki(いっとき)」を使った講習が行われました。「ふろしき」は90センチ四方で、避難所でも目立つように黄色になっています。避難に必要な物がイラストで分かりやすく書かれているほか、いろいろな使い方ができるすぐれものです。

撥水加工がされているため、結んで袋状にすれば、バケツとして水を運ぶこともできます。

講習は気温が高かったため、予定より早く終了しました。参加した人は…。

●お母さん(30代):
「夏休みということもあって、子供たちと防災について学べる機会なので、ぜひ行ってみたいと思って参加しました。難しいこともありましたが、わかりやすく解説してもらって、とても学びになりました。自助とか公助とか共助とかあまり理解してなかったんですけど、今回でよくわかりました」

●子ども(小5男子):
「かるたが楽しかった」

ーー勉強になったことは?
「アイマスクが寝るときに使えるとは思わなかった」

●子ども(小4女子):
「避難については学校の避難訓練の時くらいしか考えたことがなかった。もし避難することになったら、ここで教わったことをいかしたいと思いました」

●祖母(70代):
「2019年の台風で家が浸水しました。何かあった時のために、一応避難用の荷物は用意しています。今回『透明なビニールの袋に入れると中身が分かりやすい』というのを教えていただきました。家に帰ったら入れ替えてみようとおもいました。勉強になりました」

●孫(小学校4年生)「たくさん荷物をもちすぎないほうがいいとか、逆に少なすぎてもダメとかわかりました」

講師となった「チーム防災いずのくに」はこのような講座をこれまで60回以上実施し、参加者はのべおよそ2000人にのぼるということです。これまで活動を5年以上続けてきましたが、参加者の意識にも変化を感じるということです。

防災用ふろしき「ittoki」
防災用ふろしき「ittoki」

●チーム防災いずのくに 渡辺末美さん:
「みなさん今まで以上に積極的になっています。自助という言葉を知っている方が増えました。学校にも講習に行きますが、子どもたちも備えに前向きになってきています。子どもたちが一所懸命やると、家庭に帰って親も影響されるので、家族で備えに対して意識がだいぶ高まっている」

一方で、まだよく理解されていない部分もあると渡辺さんは感じています。

●チーム防災いずのくに 渡辺末美さん:
「台風の備えと地震の備えの違いが分かっていない方もいます。この2つは避難する時間の長さが違うので、地震の時は必要でも短時間の台風の時は必要ないものもあります。また、持っていくものは同じでも、量がちがったりすることもあります」

ーー非常時に持ち出すものをまとめている人も多いと思いますが…

「避難リュックも性能のいいものがあるんですけど、どちらかというと地震がメインです。地震だと家が被害をうけたりすることもあるので、避難するとなかなかと戻ってこられないケースも多い。台風の場合はそこまでの被害がないので、うちに帰ってこられる。だったら持ってこなくてもいいものも避難リュックのなかにはあるんですね。その辺の選別なんかも、台風と地震の違いを知るとできると思っています」

ーー避難リュックの中に、場合によっては不要なものが入っているケースもあるんですね。

「地震は1分1秒を争うので、そのままリュックを持っていきますが、台風の場合は事前にいつ来るか予測ができるので、あわてずにリュックの中から不必要なもの、もっていかなくてもいいようなものを出せばより身軽になる。その分早く避難することができます」

チーム防災いずのくに 渡辺末美さん
チーム防災いずのくに 渡辺末美さん