ミシュラン3つ星、京都仕込みの技が織りなす「江戸駒」の秋味 静岡市
静岡市駿河区南安倍。日本庭園を眺めることのできる日本料理店「四季の幸 江戸駒」は、創業47年を数える老舗だ。落ち着いた空間には個室も備えられ、家族や接待の場としても親しまれている。厨房を任されるのは二代目の大村健太さん。京都の名門料亭「祇園さゝ木」で10年間修業を積み、ミシュラン三ツ星の技を学んだ人物である。大村さんの料理は、京都で磨いた技と静岡の食材が見事に調和する。昼は気軽なランチ、夜は本格的な会席と、シーンに応じた楽しみ方ができるのも魅力のひとつだ。その中で話題を呼んでいるのが、平日ランチ限定で提供される「はもと松茸ラーメン」だ。旬の終わりを迎えるハモと、旬の始まりを告げる松茸。出会いものの贅沢な組み合わせを土瓶蒸しに見立て、一杯に凝縮した。麺は京都の老舗製麺所「麺屋棣鄂」特注の細麺ストレート。スープをまといやすく、噛めば「パツッ」と切れる歯切れの良さが心地よい。ベースは、オーブンで焼いたハモから引き出した香ばしい出汁に、一番出汁を合わせたもの。松茸の香りが重なり、すっきりとしながら深い余韻を残す。飲み干した後はご飯を加えて雑炊風に味わうのも一興だ。

もちろん、江戸駒の真骨頂はラーメンだけではない。ランチの御膳は和の粋が詰まっている。「自家製豆腐」は大豆の香りを活かした滋味あふれる味わい。「お造り」にはヒラメと南マグロの赤身を、「お寿司」にはフジマス漬けとサンマ藁焼きを用意。季節ごとに替わる土瓶蒸しも見逃せない。揚げ物は「季節の八寸」。さらに藤枝市内で有機栽培された新米「にこまる」を、1合ずつ土鍋で炊き上げる。炊き立ての香りと甘みが、旬の料理をいっそう引き立てる。




秋の味覚を存分に楽しめる「秋の牛鍋膳」では、数種のきのこをふんだんに使い、牛肉の脂と旨みを合わせた贅沢な鍋に仕立てた。ご飯がすすむ力強い一品だ。

さらに「新米と秋の静岡ハンバーグ」も人気を集める。静岡県産の牛肉と豚肉の合い挽きに自然薯を練り込み、ふっくらと焼き上げた220グラムの大判サイズ。自家製きのこソースで煮込み、旨みをぎゅっと閉じ込めたハンバーグは、濃厚でありながら口当たりは驚くほど軽やかだ。

持ち帰り用には「四季のお弁当(秋)」を用意。自宅でも本格料亭の味を堪能できると評判だ。

京都で学んだ技を礎に、静岡の食材を活かしながら新しい挑戦を続ける大村さん。「これまでの伝統を守りつつ、日本料理の枠を広げていきたい」と語るその言葉には、江戸駒の未来が映し出されている。秋の恵みを余すところなく盛り込んだ一皿一皿に、確かな技と遊び心が息づく。ここでしか味わえない四季の幸に、心ゆくまで浸りたい。

四季の幸 江戸駒
静岡市駿河区南安倍3丁目24-17
電話番号:054-284-0108
定休日: 月曜日・不定休
営業時間:昼:11:00~14:00( L.O.13:00)※土 日 祝はコースのみ
夜:17:00~21:00 ※要予約 コース料理のみ
Pあり