地産地消の心意気でつくる本格四川 浜松市「新中国料理ムーラン」
浜松市中央区雄踏町、地元客に長年親しまれている「新中国料理ムーラン」。四川まで足を運ぶほど本場の味にこだわるオーナーシェフ・内田祥三さんが振るう料理は、古典的な技法を大切にしつつ、地産地消の素材を活かした“新しい中国料理”を掲げる。まず注目したいのが、前菜からデザートまで付くお粥ランチ。長野産の米「風さやか」を丁寧に炊き上げ、鶏肉やネギ、ショウガの旨みを閉じ込めた滋味深い一杯だ。シンプルで優しい味わいながら、繰り返しおかわりしたくなると評判。無料で追加できるのも嬉しいところだ。前菜には四川風のスパイスを効かせた料理が並ぶ。豆鼓を使った手羽先の柔らかな旨みや、蒸し鶏をスイートチリソースで仕立てた一皿など、バリエーション豊かな前菜が並び、食べ進めるうちに次の料理への期待が高まっていく。

店の代表作といえるのが「五目炒飯」。白身と黄身の火の通り方の違いを利用し、白身に火が入った瞬間にごはんを投入する。こうして黄身とごはんが自然に混ざり合い、卵の風味が際立つ仕上がりになるという。チャーシューは五香粉で味付けし、独特の香りをまとわせているのもポイント。さらにザーサイの食感や香りが加わり、奥行きのある一皿に仕上がる。仕上げにレタスを軽く炒めてトッピングすれば、香ばしさとシャキッとした歯ざわりが加わり、食欲を一層刺激する。

気軽に店の味を試せる「お試しランチ」も新たに登場。静岡豚の肩ロースを香辛料とともに3時間煮込み、八角やシナモンの香りが柔らかく肉に染み込む。リーズナブルにムーランの真髄に触れられるとあって、常連客からも好評だ。

四川料理で外せないのが「麻婆豆腐」。内田さんは「世界で2番目にうまい」と謙遜するが、その実力は確か。自家製のラー油と4種類の豆板醤を使い、味を幾重にも重ねて深みを出す。ひと口目は鋭い辛さが走るが、次第に複雑な旨みが広がり、再びスプーンを運びたくなる。山椒をひと振りすれば、香りと刺激が一層際立つ。ごはんにかければ、カレーライスのように辛さが和らぎ、また違った魅力が楽しめる。

四川の技法を基盤に、日本の食材を生かした新しい中華の世界。お粥の滋味深さからチャーハンの妙技、スパイス香る麻婆豆腐まで、食べるたびに新鮮な発見がある。

新中国料理ムーラン
浜松市中央区雄踏町宇布見4863-178
電話番号:053-596-3939
定休日: 月・火曜日
営業時間:11:30-15:00 L.O.14:00/18:00-20:00 L.O.
※ディナーは前日までの完全予約制
Pあり