300℃の鉄板が呼び覚ます袋井のごちそう肉劇場 「TAO」

 袋井市諸井に扉を開けば一気に食欲のスイッチが入る店がある。「TAO ステーキ&ハンバーグ」。2006年創業、昨年店主が代替わりし、今もなお上質な肉を主役に据えた一皿を届け続けている。店の象徴は、300℃に熱した鉄板。客の目の前に湯気が立ちのぼり、肉の焼ける音が小気味よく響く。黒毛和牛はA4〜A5等級のメス牛のみを仕入れるというから期待が自然と高まる。
 まず味わいたいのは、サーロインと松阪牛100%のハンバーグが一度に楽しめる「極」。生の状態で鉄板へ置かれ、じっくりと火が入り、表面に艶が宿る。口に入れればサーロインはすっと溶け、脂の甘さが広がる。ハンバーグはふくよかな肉感が際立ち、黒毛和牛とは方向の違う旨みを放つ。岩塩、ガーリックソース、長野県産の粗切りワサビ。味を重ねるごとに表情が変わり、皿の前から離れがたい。

極は豪華なコンビだ
極は豪華なコンビだ

 平日のランチで最も人気なのは、合い挽きのハンバーグを使った「ハンバーグランチ」。特製デミグラスソースには赤ワインが忍び、奥行きのある香りが漂う。鉄板は熱々のまま。焦げ付かないよう敷かれたタマネギが甘みを増し、脇役のはずがしっかり存在感を示す。割った卵黄をからめれば、全体がとろんとまとまり、午後の活力になる一皿だ。

ハンバーグランチ(1100円)
ハンバーグランチ(1100円)

 常連に深く愛されているのが、意外にも“ジンギスカン”。オーストラリア産ラムを塩コショウで食べれば、軽やかな赤身の旨みが素直に響く。途中からニンニク香るオリジナルソースをまとわせれば、途端に輪郭が濃くなり、肉の魅力が二段階で迫ってくる。

ジンギスカン(1600円)
ジンギスカン(1600円)

 赤身派にすすめたいのは「トップサーロイン」。サーロインの後ろの部位で、脂は控えめ。噛むほど旨みが上昇し、後味はきれいに消える。重さはないのに満足感はしっかり。食べ手のペースに寄り添う包容力のある肉だ。

トップサーロインステーキ(1900円)
トップサーロインステーキ(1900円)

 鉄板の音、香り、そして肉そのものの説得力。袋井の昼を、しばし贅沢にしてくれる場所である。

300℃の鉄板が呼び覚ます袋井のごちそう肉劇場 「TAO」

TAO ステーキ&ハンバーグ
袋井市諸井1944-2
電話番号:0538-23-8019
定休日: 水・木曜日
営業時間:11:30-14:00 L.O. 13:30
17:30-21:00 L.O. 20:30
Pあり

  • 駿河湾フェリー
  • 静岡クリスマスマーケット2025