和食から転身したシェフが操るカサゴとイノシシのイタリアン 藤枝市「ウマーノ」
「実は料理人としてのキャリアは、名古屋の小料理屋、つまり和食から始まったんです」 。「UMANO(ウマーノ)」のオーナーシェフの安齋亮太さんは、そう懐かしそうに語る。藤枝駅前に店を構えて7年、カジュアルな雰囲気の中で提供されるのは、和の繊細な出汁の感覚と、イタリアの力強い郷土色が同居する一皿だ。これまでコースのみの提供だったが、2025年12月から待望の「パスタ単品ランチ」がスタートし、その門戸はさらに広く開かれた。
まず食すべきは、トマト系パスタの「カサゴと小松菜のカレッティエレ」。カサゴは食べやすい一口大にカットされ、トマトと共に炊き上げることで魚介の旨味をソースに移している。そこに合わせるのは、ピリ辛のトマトソース「カレッティエレ」。トマトの酸味、カサゴの出汁、そして小松菜の甘みが、ピリ辛ソースの刺激でキリッと引き締められている。
「川根産イノシシのラグーソースタリアテッレ」も登場する。通常は牛肉で作るボロネーゼを、地元・川根から届いたイノシシ肉で仕立てた意欲作だ。香味野菜の旨味とスパイスで香り付けされたミートソースは、イノシシ特有の臭みは皆無で、あるのはコク深い野趣のみ。手打ちの平打ちパスタが、この濃厚なソースをしっかりと受け止める。
「おまかせコース」では、シェフの真骨頂とも言える料理が振る舞われる。「白甘鯛のロースト」は、ウロコをつけたまま焼き上げる「ポワレ」スタイル。パリパリとしたウロコの食感と、ふっくらとした身の対比が楽しい。ソースには地元のキャベツを使用し、そこに昆布出汁を加えることで旨味を補強。仕上げに振った山椒の香りが、和食出身のシェフらしいアクセントとなっている。
メインの肉料理は、トスカーナの伝統料理「ペポーゾ(黒胡椒煮込み)」。ブランド豚「満州豚」のバラ肉を、赤ワインと黒胡椒を効かせてじっくりと煮込む。脂の甘みとワインの酸味、そして胡椒のパンチが、ワイングラスを次々と空にさせる。
ランチのカジュアルさと、ディナーのラグジュアリーさ。昼夜で表情を変えるウマーノの魅力に浸りたい。
UMANO
藤枝市駅前1-12-6
電話番号:054-687-8812
定休日: 不定休
営業時間:11:30-14:00 最終入店13:00
17:00-24:00 最終入店20:30
20:30-バータイム
Pなし

