東日本大震災から15年 震災を機に浜岡原発も停止 その浜岡で発覚したデータ不正 審査を担当した原子力規制委員会の前委員長は…
東日本大震災から11日で15年。震災を機に止まった浜岡原発でのデータ不正は「事故の風化が根本にあったのでは」と専門家は指摘します。
7日土曜日の夜、御前崎市で行われた津波避難訓練。
自主防災会
「皆さんが立っている場所が洗井地区で一番高い18メートルです」
女性住民
「昼間より夜の方が怖いからね。いつも自分たちは原発もあるからっていうことで、こういうところへ出ておりますけどもね」
宮川淳カメラマン
「浜岡原発です。海に面した部分は防潮堤に囲われています」
この街には中部電力唯一の原発があります。
浜岡原発は、震災があった年の5月から動いていません。
当初8メートルほどだった津波想定は修正を繰り返し、25.2メートルに。
防波壁も22メートルまでかさ上げされ、今後はさらに6メートル高い28メートルになる見込みです。
中電は2014年から相次いで3、4号機の審査を申請。
2023年には想定される最大の地震の揺れ=「基準地震動」が了承されるなど再稼働に向けた審査が進んでいましたが…。
中部電力・林欣吾社長
「本当に申し訳ございませんでした」
中部電力は浜岡原発の「基準地震動」について過小評価する不適切なデータを提出していた疑いがあると発表。
規制委・山岡耕春委員
「ねつ造または改ざんにあたるものかなと。非常に大きな失望を感じた」
原子力規制委員会は「審査継続は不可能」と浜岡原発の審査を止めました。
2月行われた住民説明会。
住民説明会に参加した男性
「私の感覚からすれば、納得以前の、お話は一応聞きましたよというレベル」
複雑な住民の気持ちも透けて見えます。
住民説明会に参加した男性
「50年以上培ってきた地域との信頼が崩れたということですので、これからどういうふうに中電さんが地域に対して説明をして、真摯に対応するかというところを見守っていきたい」
Q(客が)泊まったら自分で掃除とかもするんですか?
(原発近くで宿泊業を営む男性)川本一雄さん
「するよ、忙しくなると手伝いが来る」
川本一雄さん。
浜岡原発から約2キロの場所で1998年からビジネス客向けの宿泊施設「セピア」を営んでいます。
Qこの15年っていうのはどうでした?長かった?
川本一雄さん
「長いよ。いろいろあるもん。あったもんね。どうしようかとさ。」
原発で働く人が止まることが多いこの施設。
一部屋に2人泊まることができ、最大50人ほど泊まれますが、この前日の客はゼロ。
Q当時は50人が泊まっちゃって埋まっちゃうことも?
「昔はね、あったんですよ。」
Qそれがその2011年の地震があって
「ガタンと減っちゃった。」
それでも15年、再び原発が動くことを待ち続けてきました。
Qデータ不正の話は?
「あれはショックだったね。それでその話がでて、今度いつになるかっていうあれがわかんないじゃないですか。」
2011年に60歳だった川本さんも今年75歳。先が見通せません。
「残念だよ。やっちまったことはしょうがないからね。あとは、どうしてその信用を取り戻すかっていうことですよね。」
なぜこんなことが起きたのか。何が足らなかったのか。
「宜しくお願いします」
原子力規制委委員会の委員長を務めた更田豊志さん。
2012年の規制委発足当初から委員を務め2017年に委員長に。
浜岡原発の審査の当事者で、原発も訪れていました。
更田豊志さん
「やっぱり最初に出てくる言葉はびっくり。びっくりだし、非常に残念だし。また怒りって言っていいんでしょうかね。腹も立ちましたし」
原子力規制の考え方を根本から揺るがす事案でした。
「性悪説での規制というのは事実上不可能。例えば、今回の地震動のものにしても、全てを独自に検証となったらば、ボーリング調査から何から独自にやって、一つの原発の審査に、それこそ冗談抜きで10年以上の時間がかかると思います」
そして、根本には福島第一原発事故の「風化」があるのではと指摘します。
「安全を重視する姿勢「安全文化」という言い方をしますけど、事故の衝撃が大きかった時期はその衝撃をもって安全第一ということが言われていたけれども、もうのど元過ぎれば熱さを忘れると言いますが、こんなに早く事故が風化してしまったのかと」
中部電力の中でも福島第一原発事故の現場を訪れたことがある社員は一握り。
現在、福島第一原発の廃炉の監督・指導を行う更田さんは原発事故から「安全文化」を学び続けることは事業者の義務だといいます。
「1F(福島第一原発)事故だって、ちゃんとしておけばというタイミングをみすみす見過ごしたんですね。それで事故そのものは防げなかったかもしれないけど、事故後の対処は大きく変わっていた可能性がある。だけれども、それが出来なかった。だから、あのような人の人生を狂わせたような大きな事故というのは、決して終わることはないんですよ。そして技術的にも、学問的にも学ぶところはいくらでもまだまだあると思ってます」
Q学び続けなければならない?
「事故に学ぶという事がもう基本的に。特にそれは事業者にとっては義務だと思いますね」