ふわとろオムライスに宿る発酵のコク 長泉町「カフェ&デリ アノ テマリ」
静岡県長泉町納米里に店を構える「カフェ&デリ ano temari(アノ テマリ)」。オープンから15年、創作フレンチをベースにした料理で女性客を中心に支持を集めるカフェダイニングだ。店名の「ano」はポルトガル語で“一年中”。「temari」は、手毬桜の名から取ったもの。桜の季節のように人が集まり、1年を通して賑わう店でありたい。そんな思いが込められている。
最近人気を集めているというのが「本日のオムライス」。内容は日替わりだが、取材時は「牛すじときのこの赤ワインみそ煮込み」が主役だった。牛すじは3時間ほどかけてじっくり煮込み、やわらかな食感に。そこへデミグラスソース、赤ワイン、そして味噌を合わせてコク深いソースに仕上げる。ふわとろに焼き上げた卵をケチャップライスにかぶせ、その上から赤ワインみそソースをたっぷり。デミグラスの重厚感の奥から、ほんのり味噌の香りが立ち上がる。発酵食品同士が重なり合うことで、どこか和のニュアンスを感じさせる奥行きのある味わいだ。
セットには前菜の盛り合わせが付く。皿の上にはおよそ10種類ほどの小皿料理が並び、まるで小さな前菜コースのような華やかさ。田舎風パテやチーズのテリーヌ、そして菜花のフランと呼ばれる洋風茶碗蒸しなど、季節の食材を取り入れた料理が彩り豊かに並ぶ。中でもギリシャ風ポテトサラダは、ヨーグルトを隠し味に使った軽やかな味わいが印象的だ。
肉料理を楽しみたいなら「ステーキ丼」。オーストラリア産の牛サーロインをこんがり焼き上げ、ご飯の上へ。仕上げには季節野菜を添え、照り焼きソースをかける。さらにバターソースを合わせることで、甘辛いタレにコクが加わり、肉の旨みを引き立てる。シンプルながら満足感の高い一杯だ。
もう一品、華やかな料理が「富士山サーモンと菜花のパイ包み焼き」。砂糖と塩、白コショウ、オリーブオイルでマリネしたサーモンに、旬の菜花を合わせてパイで包み、高温で一気に焼き上げる。サクサクのパイ生地の中には、脂ののったサーモンとほろ苦い菜花。仕上げにイクラを添え、白ワインバターソースが全体をやさしくまとめる。ランチとは思えない贅沢な一皿だ。
食後には季節のデザートも。いちごの時季には、メイプルシロップをたっぷりかけたハニートースト(820円)が登場する。自家製パンを四角く切り分け、中にバターを忍ばせて焼き上げるスタイル。添えられるのは桜葉のアイスと紅ほっぺのアイス。桜餅を思わせる香りが、春の余韻を食後に残してくれる。
和食、イタリアン、フレンチ、スペイン料理と幅広い経験を重ねた店主の発想が、皿の上で自由に形を変える。気取らず楽しめる創作フレンチのランチ。長泉町で、ゆったりと味わいたい一軒だ。
カフェ&デリ ano temari
長泉町納米里206
電話番号:055-943-5031
定休日: 月曜日
※日曜の夜は不定休あり
営業時間:11:30-14:30 L.O.14:00
17:30-22:00 L.O.21:00
Pあり