人生で一番、に挑む。45年継ぎ足しダレの手羽先 静岡市「三幸」
静岡市駿河区中原の住宅街に暖簾を掲げて45年。「手羽先の三幸」。肩肘張らずに過ごせる空気の中で、酒と肴をゆっくり楽しめる。そんな言葉が似合う店だ。だが、この店を語るうえで避けて通れないのが、看板に掲げられた一文。「人生で一番おいしい手羽先あります」。その真価は皿の上で問われる。
さっそく、名物の手羽先だ。宮崎県産の若鶏を使い、串打ちした後に約1時間蒸す。余分な脂を落とし、身はしっとりとやわらかく整う。そこへ塩コショウ、さらに創業以来継ぎ足されてきた醤油ベースのタレをしっかりと含ませて焼き上げる。仕上げにもう一度醤油を当て、火で香ばしさを引き出す。
外はカリッと軽快に、中はふっくらと肉汁を抱え込む。噛むほどに甘みと旨みが広がり、確かに“看板の言葉”に近づいていく感覚がある。
この手羽先に合わせたいのがレモンサワー。沼津の森幸農園のレモンを使用し、苦味が少なくやわらかな酸味が特徴だという。脂の余韻をすっと切り、もう1本に手が伸びる流れをつくる。
肉の満足感をもう一段引き上げるなら、牛ハラミにんにく串焼き。やわらかなハラミの表面におろしニンニクをたっぷり塗り、焼き上げる。立ち上がる香りの強さに対して、噛めば肉汁がじゅわりと広がる。シンプルだが、力強い一串だ。
もう一つは、豚トマ串焼き。カリッと焼いた豚ロースに、熱を含んだプチトマト。噛んだ瞬間に酸味が弾け、肉のコクと交差する。ハーブ系スパイスが全体を引き締め、軽やかな後味に落とし込む。
奇をてらうことなく、手間を重ねる。その積み上げが、皿の上で静かに効いてくる。手羽先の三幸。看板の言葉を確かめに行く、その動機だけで十分に価値がある。
手羽先の三幸
静岡市駿河区中原787-1
電話番号:054-281-9918
定休日: 火曜日・第一第三水曜日
営業時間:17:00~22:00
P3台