60余年の積み重ねは一膳の中に 富士市「まさご」

 料理は、その場だけで完結しない。富士市浅間本町にある「鰻和食屋 まさご」は、1958年創業。ラーメン店から始まり、時代を経て形を変えながら続いてきた。祝い事や節目に使われることが多いのは、料理の中に積み重ねが見えるからだ。
 まずは天重。食前に出される出汁は、カツオを中心にムロアジ、マグロで取る一番出汁。ここで味の方向を示してから、主役の天ぷらへ進む。天然エビは大ぶりで、揚げることで表面は軽く、中はしっとりとした甘みを保つ。仕上げにしょうゆベースの特製だれを重ね、衣と身の両方に味を乗せる。

天然大海老天重・2本(2200円)
天然大海老天重・2本(2200円)

 もう一つの柱が神和豚の厚切ロース御膳。200gの肉に粗めの生パン粉をまとわせ、155℃の低温でじっくり揚げる。温度と時間を抑えることで、内部の水分を保ったまま火を通す。仕上がりはやわらかく、噛むほどに脂の甘みが広がる。藻塩や岩塩、だししょうゆなど、食べ方を選べるのも特徴だ。

神和豚厚切ロース御膳(2750円)
神和豚厚切ロース御膳(2750円)

 そして看板のうなぎ。関東風で短時間蒸し、土佐の備長炭で焼き上げる。たれは三度付け、継ぎ足しで受け継がれてきたもの。ハチミツを隠し味に使い、甘じょっぱい輪郭をつくる。皮目はパリッと、中はふっくら。遠赤外線で火が入り、口に運ぶとやわらかくほどける。

トロっとした食感のウナギ
トロっとした食感のウナギ

 ミニうな丼と刺身御膳では、その技術を一度に味わえる。ミナミマグロの赤身は旨みが濃く、鯛は脂が乗りながらも後味は軽い。異なる食感と味わいが並び、一膳の中に幅が生まれる。

ミニうな丼と刺身御膳(3960円)
ミニうな丼と刺身御膳(3960円)

 揚げる、蒸す、焼く。それぞれの工程に積み重ねがあり、最後に一膳としてまとまる。特別な日に選ばれる理由は、料理の中に時間が流れているからだ。

60余年の積み重ねは一膳の中に 富士市「まさご」

鰻和食屋 まさご
富士市浅間本町7-10
電話番号:0545-52-5591
定休日:なし
営業時間:11:00-14:00 L.O.
17:00-20:30 L.O.
Pあり