熟成豆板醤の辛みがごはんを呼ぶ、石焼きも鉄板も冴える中華 菊川市「銀華」

 グツグツと煮立つ石鍋。ジュッと音を立てる鉄板。中華の店で食欲を動かすのは、香りだけではないと思い出させてくれる。東名高速菊川インター近くの「チャイナ厨房 銀華」は、2017年にオープンした四川系中華飯店だ。平日は会社員、週末は家族連れが多く、ここ数年でメニューの幅を大きく増やしてきたという。定番を磨きながら、新しい見せ方もきちんと手に入れている。
 まず押さえたいのは、いちばん人気の麻婆豆腐を軸にした「麻婆豆腐定食」。3年ものと、旨みの強い5年ものの豆板醤を使い分け、豆腐は木綿を選ぶ。辛さは並辛、中辛、大辛で調整できるが、並辛でもきちんとピリ辛だ。その刺激の奥に、熟成した豆板醤の厚みがあるから、ただ辛いだけで終わらない。ごはんにかけると辛みが少し和らぎ、かわりに旨みが立ってくる。定食としてよくできているのは、こういう食べ進め方まで見えているからだ。

麻婆豆腐定食(1180円)
麻婆豆腐定食(1180円)

 そのセットに付くハーフサイズの担々麺も、添え物では済まない。自家製の白ゴマペーストを使ったスープは、香ばしい辛さがあり、もっちりとした弾力の麺によく絡む。麻婆豆腐が豆板醤の押し出しで食べさせる料理なら、こちらはゴマの丸みで引き込む一杯。しかもごはんやデザートまで付くとなれば、昼の満足感はかなり高い。

ハーフサイズでは満足できないかも?!
ハーフサイズでは満足できないかも?!

 新メニューの「石焼き牛肉豆腐」は、熱の使い方で印象を残す。白菜、小松菜、ニンジン、キクラゲなどを使い、弱火で絹ごし豆腐を煮込み、炒めた野菜と牛肉をのせ、最後に熱々の油をかけてネギの風味を立たせる。辛さは豆板醤と一味唐辛子で調整。見た目にはいかにも辛そうだが、食べるとまず肉と野菜の甘さが来て、後から辛みが追いかけてくる。熱、香り、辛さの順で迫ってくる料理だ。

石焼き牛肉豆腐(1680円)
石焼き牛肉豆腐(1680円)

 もうひとつ、熱で魅せるのが鉄板料理の油淋鶏。唐揚げは2度揚げしてカリッとした食感をつくり、熱々の鉄板に敷いたタマネギの上へ切ってのせ、自家製だれを客の前でかける。たれにはネギやショウガ、さまざまな香味ソースが入り、味はさっぱりめで、少し酸味があるという。カリッとした衣にたれが回っても、重たさより軽さが残るのがいい。にぎやかな演出がありながら、着地点はあくまで食べやすさにある。

鉄板油淋鶏(1380円)
鉄板油淋鶏(1380円)

 締めに向くのは「蟹のあんかけチャーハン」。五目チャーハンの上に、卵白とズワイガニでつくる塩味のあんをかける。ややしっとりめのチャーハンに、白いあんが重なる景色は穏やかだが、蟹の風味は全体にきちんと広がる。メニューが12種類に増えたチャーハンの中でも評判だというのは、派手さより整い方で選ばれているからだろう。

蟹のあんかけチャーハン(1280円)
蟹のあんかけチャーハン(1280円)

 麻婆、担々麺、石焼き、鉄板、あんかけ。「銀華」は選択肢を増やしながら、店の芯を薄めていない。今日は何を食べるか迷う、その時間まで楽しみに変えてしまう中華店だ。

熟成豆板醤の辛みがごはんを呼ぶ、石焼きも鉄板も冴える中華 菊川市「銀華」

チャイナ厨房 銀華
菊川市加茂5390
電話番号:0537-88-9145
定休日:水曜日
営業時間:11:30-14:30 L.O.14:00
17:00-23:00 L.O.22:30
Pあり