ねっとり、もっちり、ほろり。マグロの違いがそのままごちそうになる定食 静岡市「 ととすけ」

 同じ中トロでも、舌に残る印象はまるで違う。ねっとりと甘みを引くものもあれば、脂がすっとほどけるものもある。静岡市清水区、清水魚市場 河岸の市「まぐろ館」に店を構える「清水港 ととすけ」は、そんなマグロの違いをわかりやすく、しかも気前よく見せてくる店だ。2012年にオープンした、マグロの運送会社が営む海鮮料理店。観光客を中心に支持を集めるのも納得できる。
 看板に据えるなら、やはり「まぐろトロ三昧定食」だろう。1皿の中に並ぶのは、天然ミナミマグロの中トロ、メバチマグロの中トロ、ビンチョウマグロの中トロ、さらに角切りとネギトロ。名前は似ていても、食感も脂の出方も揃わない。天然ミナミマグロの中トロは、ねっとり感ととろける感触の両方を持ち、口の中でゆっくり旨みを広げる。対してメバチマグロはもう少しあっさりしていて、脂に頼りすぎないうまさがある。ビンチョウマグロのハラモは、もっちりした舌ざわりが前に出る。食べ比べるほど、それぞれの持ち味が輪郭を帯びてくる定食だ。

まぐろトロ三昧定食(2530円)
まぐろトロ三昧定食(2530円)

 この店らしさをもうひとつ支えるのが、すべての丼と定食に付く「鮪のかま揚げ」。マグロのカマを揚げた後、店独特の甘辛だれを絡めて出す名物で、皮をはがすと、ほくほくした身がたっぷり現れる。海鮮丼はどこでも食べられる、だからこそここではこれが必要なのだと店が言うのもよくわかる。脇役のようでいて、むしろこの1品があることで食事全体に店の個性が残る。

鮪のかま揚げ
鮪のかま揚げ

 脂の魅力を知ったあとで食べたいのが、ミナミマグロの赤身だけを使った鉄火丼だ。天然ミナミマグロに切り替えたことで、脂の部分と赤身の部分がはっきり分かれ、その赤身を生かすために考えた一杯だという。赤身といっても軽すぎず、ねっとりとした質感があり、旨みの濃さも十分。中トロの華やかさとは別の方向で、ミナミマグロの実力をきっちり伝えてくる。

南マグロ鉄火丼(通常2500円→1980円)※期間・数量限定
南マグロ鉄火丼(通常2500円→1980円)※期間・数量限定

 朝から客を引き寄せるのは、5食限定の「スペシャル海鮮丼」だ。通常3,080円の丼が半額の1,540円で提供され、開店1時間前から待つ人もいるという。盛り込まれるのは約12種類。メバチマグロ、ビンチョウマグロ、釜揚げシラス、アカエビ、白身3種類などが並び、大ぶりでぷりっとしたアカエビ2尾や、ほどよい弾力のクロダイまで入る。お得さが先に立つメニューに見えて、実際は素材の幅で満足させる丼だ。

スペシャル海鮮丼(通常3080円→1540円)開店限定5食
スペシャル海鮮丼(通常3080円→1540円)開店限定5食

 清水港 ととすけの軸にあるのは、清水で水揚げされる冷凍マグロを使い、この辺りで取れるものを生かすという姿勢だ。食べ比べの楽しさも、甘辛だれのかま揚げも、その考え方の延長にある。河岸の市でどこに入るか迷ったとき、最後に背中を押すのは、こういう店の“外さなさ”なのだと思う。

ねっとり、もっちり、ほろり。マグロの違いがそのままごちそうになる定食 静岡市「 ととすけ」

清水港ととすけ
静岡市清水区島崎町149 河岸の市まぐろ館2階
電話番号:054-368-7364
定休日:水曜のディナー
営業時間:11:00-15:00
※土日は10:30-
17:30-20:00 L.O.19:30 
共用Pあり