きょうの海から届いた魚で秋をもてなす 浜松市「旬菜庵 いつき」

 同じ刺身の盛り合わせでも、中身は日によって変わる。舞阪漁港を中心に、全国から届く魚を見て、その日の皿を決めるからだ。浜松市中央区曳馬の「旬菜庵 いつき」は、上島で開店した後、現在地へ移った和食処。営業を始めて13年になる。昼は主婦や年配客、夜は会社員や家族連れが訪れ、秋限定の日本酒とともに旬の料理を楽しむ客も多い。
 大半の客が注文するという「お刺身の盛合せ」は、まず頼みたい一皿。この日はカツオ、ヒラメ、カンパチ、水ダコなどが並んだ。御前崎で水揚げされたカツオは、秋へ向かって脂を蓄え始めたところ。カツオだしを使った土佐醤油が、濃くなった魚の旨みを支える。浜名湖産のクロダイは、プリッとした歯応えが持ち味。酸味を効かせた自家製の梅醤油を添え、淡泊な白身に爽やかなアクセントを加える。魚ごとにしょうゆまで替えることで、盛り合わせの中に明確な違いが生まれる。

お刺身盛り合わせ(1人前1880円)
お刺身盛り合わせ(1人前1880円)

 秋の代名詞さんまは、仕入れた魚の大きさを見てから献立に加える。身入りのよいサンマが届いた時だけ、薄く塩を振って焼き上げる。皮目はカリッと香ばしく、箸を入れれば内側からふっくらした身が現れる。強い味付けを加えず、程よい塩気で脂の甘みを味わわせる。今年のサンマとの出合いを、そのまま楽しむ料理だ。

さんま塩焼(時価900円~)季節限定
さんま塩焼(時価900円~)季節限定

 浜名湖の秋を伝える「クマエビ」のフライも見逃せない。秋に取れる大型のエビで、香りがよく、強い弾力を持つという。衣はサクサク。中には身がぎっしりと詰まり、かむと濃い旨みが返ってくる。一般的なエビフライとは異なる歯応えと量感があり、地元で取れる旬の素材を存分に味わえる一品である。

くるまえびフライ(1500円)季節限定
くるまえびフライ(1500円)季節限定

 酒の肴には「銀杏 塩炒り」。清水から仕入れる大粒の銀杏を、塩とともに炒り、ふっくらと火を通す。殻を外せば、印象的なエメラルドグリーン。銀杏らしい芳醇な香りと、むっちりした実の食感を楽しめる。女性客から特に注文が多く、秋の日本酒を少しずつ味わう夜にもよくなじむ。

銀杏 塩炒り(1人前680円)季節限定
銀杏 塩炒り(1人前680円)季節限定

 秋は食材が豊富で、献立を考える料理人にとっても楽しい季節だという。刺身の内容も、焼き魚も、酒の肴も、仕入れによって移り変わる。同じ席を再び訪ねても、次は違う旬に出合えるかもしれない。季節を暦だけでなく、舌でも確かめられる和食処だ。

きょうの海から届いた魚で秋をもてなす 浜松市「旬菜庵 いつき」

旬菜庵 いつき
住所:浜松市中央区曳馬5-1-1
電話番号:053-415-9774
定休日:月曜日 ※金曜日のランチ
営業時間:11:30-14:00 L.O.13:30 / 17:30-23:00 フードL.O.22:00 ドリンクL.O.22:30
Pあり