船から届く天然マグロ、その厚みに白いご飯が待ちきれない 静岡市「食事処 おがわ」
脂のきめ細かな大トロから、ねっとりとした赤身まで。マグロの持ち味を大ぶりな切り身で楽しませる。静岡市清水区、清水魚市場「河岸の市 いちば館」1階の「食事処 おがわ」は、創業38年の海鮮食堂。2025年に店を改装し、マグロを中心にその日届いた地魚も定食や丼で提供している。
看板は「本マグロ入り切り落とし丼」。店で扱うマグロはすべて天然物で、焼津漁港の買参権を生かし、船から入札して直接仕入れる。市場を介さないため、質のよいマグロを価格を抑えて出せるという。本マグロの大トロには繊細なサシが入り、舌に触れると脂の甘みがなめらかに広がる。部位による食感や脂の違いが一つの丼に収まり、店が仕入れたマグロの実力をまっすぐ伝えてくる。
ガッツリ食べたい日に選びたいのが、マグロのホホ肉を使ったフライと刺身の定食。ホホ肉は1匹から2つしか取れない希少部位で、筋肉質のため肉にも似た噛み応えを持つ。火を通すとやわらかくなり、肉厚のフライならではの量感も十分だ。刺身は基本的にメバチマグロの赤身だが、仕入れによって中トロやサイコロ状の漬けが付く日もある。鮮度のよい赤身には「ちぢみ」と呼ばれる、ねっとり、もっちりとした舌触りがあり、厚切りにすることで濃い旨みも実感できる。
マグロを食べ比べるなら「まぐろ三種定食」。メバチマグロの中トロと赤身、ビンチョウマグロの脂がのったハラモ、マグロのたたきであるネギトロが並ぶ。中トロは脂と赤身の旨みを併せ持ち、ビンチョウマグロのトロは脂がありながら後味は比較的さっぱり。ネギトロは粒を残し、口に入れてもマグロを食べている感覚が伝わるよう仕上げている。
地魚にも手を抜かない。この日のタチウオは朝どれで、刺身にできる鮮度のものを、たたきとフライにする。たたきは細かく切った身にショウガとネギを混ぜ、タチウオの歯触りと薬味の爽やかさを味わわせる。フライは衣がサクッとし、内側にはふっくらした身を残す。鮮度のよい魚を、あえて揚げるからこその仕上がりだ。
仕入れへの自信は、過剰な言葉より切り身の厚さに表れる。天然マグロを船から仕入れ、その日の地魚にも合う仕事を施す。河岸の市で何を食べようか迷ったら、まず丼を埋めるマグロを見てほしい。おがわが魚に向き合う本気は、ひと目で伝わってくる。
食事処 おがわ
住所:静岡市清水区島崎町149 河岸の市いちば館1階
電話番号:054-352-0202
定休日:水曜日
営業時間:9:30-14:30 ※土・日・祝は-15:00
共同Pあり