「カギかけろ!」より効果的? 人を動かす“魔法の言葉”を検証 静岡県警が導入した“ナッジ”とは? 自転車盗難との新たな戦い
自転車盗難被害を減らそうと、静岡県警が実証実験を始めました。ポイントは人の行動を後押しする「伝え方」です。
板垣亮記者「長泉町のこちらの駐輪場では、『多くの利用者が施錠しています』というメッセージが掲げられています」
静岡県長泉町にあるJR下土狩駅前の駐輪場は、町内で自転車盗難が最も多い場所です。1日、警察官らが施錠を呼びかけたほか、駐輪場のいたるところに横断幕を掲げていました。
静岡県警裾野警察署 三宅貴之生活安全課長:「やらされるのではなく、自分から自発的に施錠するということを期待しております」
今回、用いたのは「ナッジ」という行動経済学の手法です。強制的に行動を求めるのではなく、小さなきっかけや環境の工夫によって人の自発に行動するようそっと後押しします。この場所のケースでは、「施錠してください」と言うのではなく、「多くの利用者が施錠しています」と周りの人の行動を伝えることで施錠を促します。
横断幕を見た駐輪場の利用者は
高校生は「マイナスなことを言うんじゃなくて、プラスのことを言って多く広めようと感じる」と話し、高専生は「施錠しているからみんなもしてくださいねみたいな指示的な感じ。めんどくさいなと思うけど、盗まれちゃうと困るから施錠しなきゃダメかなみたいな」と話しました。
別の駐輪場では違うメッセージが。
進士陸斗記者:「静岡市清水区興津駅に設置されたのは、『ないかも』というメッセージが書かれた横断幕です」
JR興津駅で掲げられたのは、「鍵をかけないと帰る時、自転車がないかも」というメッセージ。こちらは自転車を盗まれたときの損失や負担を意識させて施錠を促します。
県警は長泉町や静岡市のほか、島田市のJR六合駅前、磐田市のJR磐田駅近くの駐輪場など県内4カ所でそれぞれ異なるメッセージを掲げます。
自転車盗難の認知件数が増加傾向にある中、こうした「伝え方」が施錠率にどのような影響を与えるのか、12月24日まで検証します。
今回の実証実験に助言した滋賀大学の島田貴仁教授は「望ましい行動をとってもらう。鍵をかけてもらおうとするのが、今回のナッジの社会実験の狙い。科学的な防犯対策が静岡県を安全にしていくための手伝いを研究者がさせていただいている」と説明していました。
【実施場所とテーマ】
下土狩駅駐輪場…社会規範
「この駐輪場では多くの利用者が施錠しています」
興津駅駐輪場…コスト認知
「カギをかけないと帰る時、自転車がないかも」
六合駅…統制
「自転車から離れる時はカギかけしましょう」
磐田駅…互恵性
「あなたのカギかけが安全安心を作ります」