干物と海鮮で満ちる昼 港町のうまさを定食に詰めて 沼津市「港食堂」

沼津港に面した「沼津みなと新鮮館」。その中に、ゆるやかに潮の香りが漂う一角がある。店の名は「港食堂」。地元の人にとってはいつもの味。観光客にとっては港町の記憶となるような、温かくも力強い一軒だ。店の中心には、“焼き”の力が詰まった定食たちがある。1番人気は「真あじの干物定食」。長崎産のアジを西伊豆で干物に仕上げたものを提供。ふっくらとした身に、塩加減は絶妙。干すことで旨味は凝縮され、噛むほどに脂が染み出してくる。添えられるごはん、味噌汁、漬物とともに、静かなごちそうの完成だ。うれしいのは、味噌汁が“飲み放題”であること。どこか懐かしい家庭の香りが、湯気とともに立ちのぼる。

真あじの干物定食(880円)
真あじの干物定食(880円)

数量限定の「スペシャルランチ」も人気を集めている。メインはアジフライとブリの炙り。そこに松前漬け、イカ軟骨などの小鉢が2品、そして必ず“しらすおろし”が添えられる。ブリの炙りは、皮目の香ばしさと脂の甘みが印象的。アジフライは、自家製の和風ドレッシングでさっぱりといただくのがおすすめの食べ方。ソースでも醤油でもない、そのちょうどいい中間が、ごはんを引き立ててくれる。

スペシャルランチ(1980円)
スペシャルランチ(1980円)

もうひとつの看板がなめろうと海鮮ユッケの丼。ユッケは、エビ・タコ・イカ・ブリ・マグロの5種を細かく刻み、キムチベースのタレで和えたもの。アジのなめろうは、自家製のネギ味噌が香る。2種をひとつの丼にのせれば、異なる食感と味の層が折り重なり、食べ進めるごとに新しい発見がある。

なめろう&海鮮ユッケ(1980円)
なめろう&海鮮ユッケ(1980円)

さらに、「金目鯛姿煮定食」も忘れてはならない。甘口の醤油だれでじっくり煮込まれた金目は、ふわっとほぐれる身と、舌に広がる脂のコクが絶品。派手さはないが、丁寧な火入れが際立つ静かな名品だ。

金目鯛姿煮定食(1980円)
金目鯛姿煮定食(1980円)

干物もフライも煮魚も。この店が持つ“港町の人情”そのものが滲んでいる。潮風とともに、ゆっくりと箸を進めたくなる食堂だ。

干物と海鮮で満ちる昼 港町のうまさを定食に詰めて 沼津市「港食堂」

港食堂
沼津市千本港町128-1 沼津みなと新鮮館内
TEL 055-962-2800
営 9:30-15:30 L.O.
休 火曜日 ※祝日の場合は営業
Pあり