広がり続ける創作スパゲッティの自由度 藤枝市「キツネの尻尾」
藤枝市田沼。大通りから一歩引いた場所に、「キツネの尻尾」はある。創作スパゲッティを軸に、和と洋の感覚を行き来しながら、既存の組み合わせを軽やかに外してくる店だ。
この店を象徴する一皿が、鯖とオレンジのスパゲッティ。水煮の鯖をほぐし、ニンニクとともに油で温める。そこへ生のオレンジを果肉ごと加えることで、鯖の脂に柑橘の酸味が入り込み、後味をすっと引き締める。仕上げに散らすのは、アンチョビを忍ばせたパン粉。太めの麺に絡むたび、香ばしさと酸味が交互に顔を出す。
和の要素をより強く感じさせるのが、鶏ときのこの醤油クリームだ。生クリームに合わせるのは、店主が仕込む自家製のかえし。甘辛さを前に出しすぎず、鶏の旨みときのこの香りをまとめ上げる。箸でも食べられそうな親しみやすさがあり、年齢層を問わず選ばれている。
冬限定メニュー、煮込みカルボグラタンは食べると体の中からぽかぽか温まる一皿。カルボナーラのソースでパスタを鍋ごと煮込み、チーズを重ねて焼き上げる。途中で卵黄を崩せば、コクが一段深まり、最後まで温度が落ちない。ゆっくり食べても、味が間延びしないのが特徴だ。
食後には、店名を冠したモンブランを頼む人も多い。低温で焼いたメレンゲに、生クリームとマロンペーストを重ね、甘さを抑えてまとめる。パスタの余韻を邪魔せず、自然に締めへと導く。
素材の組み合わせに理由があり、味の着地がはっきりしている。「キツネの尻尾」は、藤枝でスパゲッティの自由度を広げ続けている。
キツネの尻尾
藤枝市田沼2-22-20 スカイハイツ105
電話番号:054-635-8700
定休日: 火・水曜日
営業時間:11:30〜15:00(L.O.14:00)/ 17:00〜21:00(L.O.20:15)
Pあり※台数に制限あり
