【静岡高校野球】県内プロ注目選手の2024夏

アクシデントを乗り越えて

 大会屈指の注目右腕・小船翼を擁する知徳は準々決勝で敗退した。
「158キロを出して甲子園に行く」
 大会前、そう宣言していた小船。思わぬアクシデントからのスタートだった。
 先発した初戦の4回。顔の付近に打球を受けた。この試合は2番手の原田勇磨が踏ん張ってチームが勝利。負傷具合が心配された小船は「影響はない」と次戦以降も先発としてマウンドに立ち続けた。
 ハイライトは4回戦だった。優勝候補の藤枝明誠相手に6回2失点と力投。球速は144キロ止まりも、プロ球団のスカウト幹部が視察する前で、粘りの投球を披露した。
 4回戦までの最速は148キロ。小船の実力からしたら物足りなかったが、初鹿文彦監督は「ここから先、勝ち上がるために何とか状態を上げてほしかった」と準々決勝も小船に託した。
 しかし、制球に苦しみ、2回と3回に失点。5回にも2点を奪われた。降板後はベンチで必死に仲間に声援を送ったが、準々決勝で小船の夏が幕を閉じた。
「知徳に入って、技術も人間力も上がって成長ができた」と小船。今後については、「焦らず、ゆっくり考えていきたい」と慎重な姿勢を示したが、初鹿監督の「まだまだこんなもんじゃない」という言葉がすべてを物語っている。身長198センチ体重110キロを誇る規格外の大器がさらなる高みに向かって動き出す。

藤枝明誠相手に力投した小船翼(知徳)

プロ注目のスラッガーが片鱗を見せる!

 高校通算29本塁打の曽布川ザイレン(浜松商)もプロのスカウトの注目を集めた。
 初戦の第1打席から圧倒的なパワーを見せつけた。無死満塁から打席が回ってくると、ライトオーバーのタイムリー三塁打。3回戦では「上手くタイミングを取ることができた」と外角高めの球を引っ張って左中間にもっていった。続く4回戦で浜松工に敗退。県屈指のスラッガーは進路をプロ一本に決めている。

3試合で長打2本を放った曽布川ザイレン(浜松商)

 初戦で涙を飲んだのが最速145キロ右腕の寺田光(磐田東)。初回は三者凡退に抑えて上々のスタートを切ったが、3回に3本の長打を許した。「ストレートは良かったが、上手く合わせられてしまった」と寺田。ゲームメーク能力に長けた大型右腕は「プロか社会人に行きたい気持ちがある」と前を向いた。
 浜松開誠館の左右2投手の夏も早々と終わった。常葉大菊川戦に先発した好左腕の松井隆聖は3回途中4失点で降板。その後、身長190センチの伊波龍之介が142キロを計測して5回を無失点に抑えたが、初戦で姿を消した。この悔しさを次のステージで晴らしていく。

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著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2~3回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(
http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/
) でも県内の野球情報を発信する。
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