老朽化進む市役所庁舎 静岡市清水庁舎は「改修」島田市新庁舎は「新築」それぞれの事情
庁舎の老朽化問題が各地で浮上する中、静岡県内には「改修」を決めた自治体「新築」を進めた自治体があります。それぞれの選択の理由を取材しました。
難波喬司 静岡市長:
「なるべく安い費用で改修するというのが現実的なので、使えるところまで使っていくという感じ」
建設から40年が経過し、老朽化が進む静岡市役所「清水庁舎」。
移転をするのか、建て替えをするのか、もしくは今の建物を改修するのか、長年議論が続いてきました。
難波喬司 静岡市長:
「例えば地震に対する体力についても、変形しないようにがちがちに固めるのではなくて、変形をしても使えればいい、安全性が保てればいいじゃないかということで今も検討している。」
清水庁舎をめぐっては、同じく老朽化が著しい桜ヶ丘病院の移転問題と共に市が主催した「タウンミーティング」でも大きなテーマの1つです。
議論の結果、一時はJR清水駅東口公園への移転・建て替えが決まりましたが、桜ケ丘病院がその場所へ移転することが決まったため、再び計画を変更。
現在の場所で“改修”する方針となっています。
清水区民は
清水区民は?
清水区民(50代):
「変に税金使って建て直すよりはこれ(現庁舎)をうまく活用して、このままで使えるものは使っていけばいい。」
清水区民(60代):
「耐震設備がしっかりしているところであれば、みんな安心して避難できる。ただ、浸水の可能性があるから、ちょっと怖いところもある。」
清水区民(50代):
「岩手の方にいたので一時、そういうことを考えると、かなり海沿いで開発を進めるということに対しては、ある程度のリスクを考えないといけないのかなと思う。」
様々な意見が出る清水庁舎の改修問題。
ただ、“改修”を選んだ背景には、静岡市が抱える財政事情もあるようです。
難波喬司 静岡市長:
「学校の特別教室のエアコンの設置、これで約60億かかるわけですが、トイレの改修であと90億くらい残っている。財政的なシミュレーションはやっているが、非常に厳しい状況。だから100%のことはなかなかできなくて、ちょっとこれも我慢しましょうねということがこれから出てくる」
島田市は新築の新庁舎
今、全国的に公共インフラの老朽化問題が浮き彫りとなる中
新たな動きがあった自治体があります。
栗田麻理アナウンサー:
「木の良い香りがします。天井やそして家具などに木が使われていて、木のぬくもりを感じますね。そして、とっても明るいです。」
先週新庁舎が完成し、新たな施設での市役所業務がスタートした「島田市役所」。
建設されてから、およそ60年が経過し、老朽化が激しいことから新庁舎が建設されることになりました。
新庁舎の総事業費は、87億1000万円。
免震構造をもつ鉄筋コンクリート造りの4階建てです。
染谷絹代 島田市長:
「古い庁舎は耐震性能にも課題があった。この庁舎が出来たことによって、市民の安全安心の確保といいますか、万が一の時にもしっかり行政は動けますという、その拠点が出来たと思っている」
一方、「改修」を決めた静岡市の清水庁舎。
耐震の問題は補強をすることで解決することができますが、周辺エリアは津波の浸水想定区域にもなっています。
有事の際に行政としてどのように対応していくか、ソフト面での対応策も強化する必要があるのかもしれません。