須田慎一郎さんが解説『自民裏金疑惑』…これだけの態勢は異例中の異例。特捜部は「相当本気」
佐野アナ:城内さんは収支報告書に載せずにキックバックが行われていたとは知らなかった、と話していました。派閥内で内密に行われていたのでしょうか。
須田さん:自民党の5つの派閥で行われていたようなんですよ、たた゛、ほかでは行われていない。5派閥の中では、安倍派のように公然と行われていた。派閥の中ではオープンになって、「そういうもんなんだ」と行われていたのが問題。
県内選出の議員は…
伊地アナ:県内選出の自民党議員はこのように語っています。
【安倍派】
塩谷立議員「刑事告発されているとあり、慎重に事実関係を確認し、適切に対応する」
宮沢博行議員「キックバックは140万円。未記載認める」
【茂木派】
牧野議員「キックバックはない」
【森山派】
城内議員「今年5月まで無派閥。パーティー券販売に関与せず」
【麻生派】
井林議員「裏金、私はありません。もらっていません」
【二階派】
勝俣議員「法令に従い、適切に処理と認識」
若林議員「キックバックなし」
細野議員「キックバックあり⇒収支報告書に記載」
【岸田派】
上川議員 回答なし
深澤議員 回答なし
須田さん:塩谷さんは「キックバックあったと思う」とほかのメディアに答えた後、修正している。なので、事実上キックバックを認めている。ただ、誤解してほしくないのは、キックバックに関して言うと違法でない、合法。あくまでも収支報告書に載せないのが違法。そういう点でいうと、細野さんは載せていますから、キックバックをもらったとしても合法なんです。
今後の捜査は…
須田さん:東京地検特捜部の捜査の焦点は自民党の最大派閥、そして時効に引っ掛かっていない過去5年間の中で一番キックバックが多かった、捜査の焦点は安倍派に向かっています。なおかつ、政治資金規正法違反という点でいうと、一義的に刑事責任が問われるのは、事務局長、会計責任者なんですね、法律でそうなっている。ただ、事務方の人間がそんなキックバックする、収支報告書に載せなくていいよ、なんて事務方の責任じゃ言えない。ですから誰かが、了承、了解していただろうと。おそらく事務総長が了承・了解していたのではないかと。そうすると清和会の事務総長というと、松野前官房長官ですとか、西村前経産大臣ですとか、高木前国対委員長とか、いわゆる5人衆と言われている幹部たちなんですね。この了承・了解があれば共謀ということで、この人たちにも刑事責任が及んでくる。ですから、今後の捜査の行方によっては安倍派に大激震が走る。
伊地アナ:過去5年間、安倍派の事務総長を務めた大物議員に焦点が当たっている。
須田さん:なおかつ、地検特捜部もその方々に注目しているのは間違いない、今回の事件が、事務方の会計責任者の逮捕だけで終わってしまったら、おそらく国民は納得しない。ですから、いったい誰の指示でやったのか、というところの解明が待たれる。
伊地アナ:鈴木前総務大臣が「キックバックは政治の世界では文化」という発言もあった。これってどういうことなのか?
須田さん:これは言い過ぎ。麻生派ではキックバックは行われていませんから、特定の派閥の中の文化・悪習だと思います。
伊地アナ:検察の本気度はどう見てますか?
須田さん:東京地検特捜部は50人態勢、地方から応援検事を呼んで異例の態勢を敷いている。年末のぎりぎりのタイミングで、これだけの態勢を敷くのは異例中の異例。相当本気とうかがえる。国税とも連携して、徹底的に政治資金の流れを洗い出そうと、おそらく捜査は年明けにもつながっていく。
橋本アナ:金額の多い議員からということですか?
須田さん:議員については、政治資金収支報告書に記載していれば、合法なんです。買収や贈収賄と違って、1円でも貰えば罪が成立する法律とは違うので、そこは悪質性とか反復性とか、例えば1000万円以上とか、2000万以上という線引きがあるのかな、と。ただ、問題なのは、特捜部が注目しているのは、議員に渡ったお金もそうなんだけど、派閥に残ったお金の行き先ですよ、いったい何に使ったのかと。そのあたりの解明に全力挙げるのでは。