【衆院選特集・静岡8区】 ”裏金問題”でベテラン議員が辞職 これまでの構図崩れ激しい選挙戦
27日に投開票の衆院選、静岡県内小選挙区の戦いをお伝えするシリーズ。23日は静岡8区です。裏金問題でベテラン議員が引退し、これまでと構図が一変。県内小選挙区で最多の5人による激しい論戦が繰り広げられています。
●塩谷立氏:「今期限りで議員生活を引退いたします」
“裏金問題”をきっかけに、長年この地を地盤としてきた塩谷立(しおのや・りゅう)氏が政界を引退。選挙戦の構図が一変し、候補者が乱立した静岡8区。“裏金問題の象徴区”とも言われています。選挙区は、浜松市の中心部。無党派層が多いとされる“都市型選挙区”において、今回はどんな「風」が吹くのでしょうか。
●稲葉大輔氏:
「不記載をした多くの議員たち、処分されて当たり前です。意見を言わないまま物事が決まっていく。そんな自民党どうかしている」
“古い体質からの刷新”を訴える、自民党の新人・稲葉大輔(いなば・だいすけ)さん。党の公認候補となる支部長には、先月就任したばかり。「超短期決戦」で頼ったのが、前任の塩谷氏です。
●塩谷氏:
「新しい自民党を作るためには新しい稲葉大輔が必要である」
選挙戦が始まってからも…。
●塩谷氏:
「必ずや自民党の議席を守って、浜松そして日本を新しく変えていただきたい。そのような人物であることは間違いありません」
●稲葉大輔氏:演説
「先生の忸怩たる思い、そしてこれからまだやらなければいけなかった政策。しっかりと受け継いでいかなければいけない」
浜松市議として、およそ10年活動してきた稲葉さん。
●有権者):「頑張ってね。頑張ってね」
●稲葉氏):「8区に変わりましたので、今まで私7区だったんですけど」
ただ、市議時代の地盤は静岡7区に含まれる旧西区。知名度不足に加えて、裏金問題の逆風は避けられません。
稲葉氏):「自民党を変えようと思います」
有権者):「自民党は変わらないよ」
稲葉氏):「自民党を変えます。私が」
有権者):「変わんない」
●稲葉大輔氏:
「(塩谷氏の)政治とカネの問題と後継者をつなげたいのはよくよくわかります。ただ、全く違う政治家であります。だからこそ、私は本当にきれいさっぱり清廉潔白な新しい自民党を作るということをこの地から始めていきたい。約束したい」
重点的に訴えているのは、経済対策と子育て支援。地元・舘山寺(かんざんじ)で土砂崩れの被害を経験し、石破総理の「防災省構想」にも前向きな姿勢です。
●稲葉大輔氏:
「目の前で土砂が積まれていて、なんでこの土砂がすぐに避けられないのか、どけられないのか、これは本当に縦割りの弊害です。(防災省に)ノウハウが蓄積される、これが大事だと思います
●源馬氏:「どうも源馬謙太郎です。よろしくお願いいたします」
小雨降る中、三輪自動車のトゥクトゥクで住宅街を回っていたのは、立憲民主党の前職・源馬謙太郎(げんま・けんたろう)さん。
●源馬氏:(バイクについて)
「(有権者と)パッと止まってすぐ会えるし、目も引くし」
前回、塩谷氏を破って小選挙区で初当選。3期目を目指す選挙戦、「政治不信」の払しょくを全面に打ち出しています。
●源馬氏:
「自分たちは納税しているのに、政治家だけが裏金を30年作り続けている。しかも、それでほぼお咎めなしで、自民党から公認されない。内部の話じゃないですか。まずは政治が信頼を取り戻すこと、これが今回の最大で唯一の争点」
先月の代表選では、野田(のだ)代表の推薦人に。それに応えるように、浜松に駆け付けました。
●野田代表演説:
「税金の使い道を決めるのは国会でしょ。税金の使い道を決めるところで、税逃れをしたような連中がいっぱいいる。これでは政治に対する信頼を取り戻すことはできないんじゃないでしょうか。皆さん(拍手)。源馬謙太郎候補は松下政経塾の後輩です。とても将来有望な政治家だと私は確信しています」
一騎打ちだった前回と異なり、懸念材料は野党票の分散です。
●源馬氏:
「(裏金問題の)象徴的な選挙区となってしまったこの選挙区で、我々が落とすわけにはいかない」
有権者):頑張って
有権者):源馬さん頑張って
●源馬氏:
「有権者の皆様といかに触れ合って話を聞いて、これをコツコツやるしかないので、基本的なそういう考え方は変わりません。政権交代ができる環境にしていく、あるいは政権交代を起こす。まさに今回はその最大のチャンスではないかなと思います」
日本維新の会が擁立した寺島瑞仁(てらしま・みずひと)さん。静岡県内の候補者で最年少の31歳です。
●寺島氏演説:
「やらまいか精神の根付くこの浜松市から日本の規制や法律を見直し、この浜松から試せる日本を志し、私は立ち上がりました」
元ロボットベンチャー企業の代表であり、僧侶としての顔も持つ、寺島さん。こちらは、自作した選挙支援ロボットの「いしん君」。自動で寺島さんを追いかけ、ビラ配りを手伝います。
寺島氏):「皆さんに楽しんでもらおうかなと思って」
有権者):「なるほどね~」
有権者):「面白くていいですね」
寺島氏):「元々、浜松でエンジニアとして活動していまして」
●寺島氏:
「基本的にまず皆さん間違いなく注目してくれて」
Q.応援団的な役割も?
「なっていますね。これがあるとすごいテンション上がりますし、相棒がいてくれるなという…」
とはいえ、初めての選挙戦です。
●梅村参院議員&ウグイス嬢との絡み
寺島氏):「ありがとうございます」
ウグイス嬢):「そういうときはマイク使わずに大きな声で。今回はじめましてなんですけど、頼りなさ過ぎて…笑」
梅村参院議員):「弟みたいな。ひょっとしてお姉ちゃんなのかなと(笑)」
●寺島氏:
「最近は手を振ってくれる方が明らかに増えている。『ちゃんと期待をいただいているんだな』という手応えを感じている」
エンジニアとしての経験から、主に、新規産業における規制緩和を主張しています。
●寺島氏:
「議論が進むだけで実現しない政治から、しっかり着実に、一歩一歩進む政治を作り上げていくことこそが必要なんじゃないか、そのことを強く訴えている」
●平賀氏:
「今回の総選挙は、あの裏金問題の石破内閣に厳しい審判を下す総選挙でございます」
共産党の元職・平賀高成(ひらが・たかしげ)さん。裏金問題をはじめ、自民党政治を強く批判しています。
●平賀氏:
「国民には大増税かけながら自民党は脱税しているわけですから。こんなおかしな政治が許されていいのかというのが多くの国民の願いだと思う。その声に何としても応えていきたい」
選挙戦唯一の日曜日。市民との対話の場で、話題に上がったのは物価高です。
有権者1):「トマトが倍。値段が」
有権者2):「猫のおやつの数が減っている。同じ金額なのに実質値上げですよね」
平賀氏):「日本共産党はまず消費税は廃止を目指して、少なくともまずは5%に減税しましょうと。普通に働けば普通にちゃんと生活が成り立つような、そういう社会にできる」
平賀さんが掲げるのは、「財界主権の政治からの脱却」です。
●平賀氏:
「やっぱり議席を増やさないと、国会の力関係、数で決まりますので、その点では議席をなんとか増やすような選挙にしていきたい」
無所属の新人、塾講師の加藤順久(かとう・よしひさ)さん。「日本人の武士道と誇りを取り戻す」と訴え、憲法改正による自衛隊の明記などを主張しています。
5人が乱立した、“裏金象徴区”を制するのは…。衆院選の投開票日は、4日後の27日です。