7時開店…港の人気店(前) “不動の人気メニュー”のヒミツは36年間続いたワンコイン 静岡・焼津市

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 午前5時。静岡県有数の港町・焼津市の小川港には、朝日を浴びながら、汗を流す漁師たちの姿が。漁から船が戻り、競りに向けて着々と準備が進められていく港。そんな小川港のほど近くにも、漁業関係者と同じように、早朝から仕事をしている人がいました。

午前6時から1時間で準備

ディレクター:「おはようございます。」
椿原さん「おはようございます。きょうお願いします。」

 元気な挨拶を返してくれたのは、この店の店長、椿原祐司さんです。小川港魚市場の組合の建物内に店を構える「小川港魚河岸食堂」。常時80種類以上のメニューがあるほか、地元で取れた旬の海鮮を使った料理が楽しめる、人気の食堂です。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「いつも大体、こんな感じで午前6時くらいから準備に取り掛かる感じ。そうは言っても1時間しかない。開店まで」

7時開店…港の人気店(前) “不動の人気メニュー”のヒミツは36年間続いたワンコイン 静岡・焼津市

36年前、市場で働く人のために開店…食材は-40℃の冷凍庫に

 今から36年前に、市場で働く人のために作られ食堂。そのため、営業時間は競りに合わせて午前7時から。椿原さんは毎朝5時半に出勤し、スタッフとともに急ピッチで仕込み作業を進めていきます。

 仕込み中、椿原さんが向かったのは─

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「寒い」
Q.きょうは寒いですね
A.「寒い。きょうはちょっと寒いですね」

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 やってきたのは食堂に隣接する冷凍庫。毎朝その日に使う材料を取りに行くのも椿原さんの仕事です。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「ちなみに、マイナス40度くらい」

 防寒具に厚手の手袋を付け、冷凍庫の中へ。この日は海鮮丼などに使うマグロやカツオを取りにきました。人気メニューである海鮮丼、その分材料も多く必要なようで…。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長
(半袖で冷凍庫から出てくる)
Q.その恰好は寒いですよね?
A.「寒いです。一瞬だからいいやと思って」

 いつの間にか半袖のまま冷凍庫に入っていた椿原さん。防寒具を着る間も惜しんで、開店準備を進めていきます。

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午前7時開店 不動の人気メニューは36年間値上げなし

 午前7時。店先にのぼりを立て、この日の営業が始まりました。開店早々、お客さんが続々と来店してきます。豊富な品数も自慢のこちらの食堂ですが、この時間は“不動の人気メニュー”があるといいます。

従業員:「オーダー入ります。朝定食はんぺんひとつ。」

 朝の人気メニューは「朝定食」。月替わりで6種類のセットから好きなものを選ぶことができます。メインのおかずに加え、ごはん、みそ汁、小鉢にお新香がセットとなったこの定食。人気の理由はなんといってもその価格。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「毎日食べるので朝ごはん。仲買人の人たちも。なので、やっぱりリーズナブルに提供できるというところで、ワンコイン500円。なかなかこの時間帯でご飯食べるところないので」

 ちなみにこの価格、過去一度も値上げはしていないといいます。胃袋を満たすことはもちろん、お財布にも優しい食堂の存在は、この地域で働く人々にとって無くてはならない存在です。

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「仕事に間に合うのがありがたい」「高速でラーメン食べれば1000円はする」

カツオの運送業:「朝7時からやってくれるから朝8時からの仕事に間に合うから私達は、ありがたい。やっぱり力仕事だから朝は食べないと」
Q.朝定食は500円だが
A.「リーズナブルだよね500円て。いま高速道路でラーメン食べれば1000円じゃ食べられない」

漁業関係者:「毎朝来て、朝ごはんはこちらで食べている。(通い出したのは)ここが始まった時から、長いですね。すぐ来てすぐ食べられるのが大きい」
Q.朝定食の魅力は?
A.「安い。いろいろ食べられる」

漁業関係者:「(水産関係の会社に)入社してからほぼ毎日来ている。コンビニとかだとほとんど冷たくて、寒い季節とかちょっと嫌だなと思うが、こういう食堂だとすぐ温かいものが出てくるので、寒い時期はすぐに暖まれて、これから仕事頑張ろうっていう気持ちになる」

 また市場の組合員に限り、食券ではなく専用のチケットで売掛にし、末締めの清算にすることも可能。漁港で働く人たちのために作られた食堂だからこその一工夫です。

7時開店…港の人気店(前) “不動の人気メニュー”のヒミツは36年間続いたワンコイン 静岡・焼津市

夜の仕事から早朝の仕事に…店長「最初はきつかった」

 この食堂で働き始めて10年目になる椿原さん。朝型の生活スタイルに慣れるには苦労もあったといいます。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「最初はきつかった。元々は夜の飲み屋さんの仕事だったので。逆の時間でした。最初は起きるのが大変だった、起きるのが。特に冬なんて、真っ暗なので」

 元々は藤枝で居酒屋を経営していたという椿原さん。店長になって5年目、今ではすっかり食堂の生活リズムが板につきました。

7時開店…港の人気店(前) “不動の人気メニュー”のヒミツは36年間続いたワンコイン 静岡・焼津市

午前10時過ぎ 店長自ら翌日の仕入れに

 店内も落ち着いてきた午前10時すぎ。椿原さんは車に乗り込み、店を後にしました。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「市場の競りの様子も見ながら、お昼で忙しくなる前に仕入れに出る」

 向かったのは翌日用の仕入れ。これも店長としての日課の1つです。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長:「基本は目の前が小川港の市場なので、小川港で揚がった魚を中心に買いそろえている。ただ天候が悪くて漁に出られないとか、意外に出たけど魚が少なかったといった場合は焼津港で揚がった魚だったり、静岡の市場で揚がった魚もあるので、そういうので揃えるが、極力は小川港に揚がっている魚で揃えたいと思っている」

 やってきたのは店から車で5分ほどの場所にある鮮魚店。こちらの店との付き合いも10年近くになります。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長
鮮魚店:「ハナダイ。あとマダイと。」
椿原店長:「大きいのはない?サワラとかない?」
鮮魚店:「サワラ。一本だけあるでしょ」

 選んでいるのは小川港の定置網で獲れた魚、慣れた手つきで目利きをし、魚を仕入れていきます。この日はブリやサワラなど、合わせて35キロほどを仕入れました。

小川港魚河岸食堂 椿原祐司店長
Q.あれが朝獲れた魚?
A.「きょうの朝の網で。鮮度が違う、やっぱり」

 仕入れから店に戻った椿原さん。さっそく仕込み作業を始めようとしましたが、思わぬ事態が!?

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