参院選各陣営のSNS戦略…「量で勝負」「連日LIVE配信」「支持層以外の世代に見てほしい」 静岡選挙区

20日投開票の参院選。17日間の選挙戦も、終盤戦に突入しました。候補者の訴えに向けられる、スタッフや支援者のスマートフォン。近年、選挙での影響力を増しているSNSに、静岡の候補者はどのように向き合っているのでしょうか。
牧野京夫候補 SNS専門スタッフ「どんどん発信する」
自民党現職 牧野京夫候補(演説 藤枝市7日):「地元の皆さんが一番望まれていること、それを優先的に実行していくことが、政治家の私は役目だと思っております」
4期目を目指す、自民党の現職・牧野京夫さん。
自民党 現職 牧野京夫候補(演説 藤枝市7日):「正直言って、私もこの序盤戦からこんなに厳しくなるとは思っておりませんでした。この静岡県でも、今新しい政党が急激に支持率を上げて、自民党公明党の候補者の支持率を下げています」
支持を伸ばす“新興政党”を念頭に、危機感をあらわにしました。

SNSでの発信を強化しようと、専門のスタッフも。3年前の参院選でも、自民党候補のSNS運用を担当しました。
SNS担当 倉嶋颯さん:「『質』も大事だが、どちらかと言うと「量」。どんどん発信して身近に感じていただければ」
SNS戦略の重要性が高まる中、若年層への支持を広げようと、新たにインスタグラムのアカウントも開設しました。
SNS担当 倉嶋颯さん(車内移動):「先回りして現地着いたら、先ほどの街頭演説の写真とかをアップロードする段取りで動いています」

同行できない現場では、他のスタッフらが写真や動画を撮影し、事務所でデータを受け取って投稿。組織力を生かし、地方議員にも拡散を呼び掛けています。
SNS担当 倉嶋颯さん:「思った以上に見られているなというのが正直なところ。フォローしている人が結構見ているのかなと思ったが、それでも30%はフォローしていない方が見ているので、意味があるんだなと」
とはいえ、土台として意識するのは、有権者への“直接の訴え”です。
自民党 現職 牧野京夫候補:「(SNSでは)街頭とかで訴えていることを、そのまま伝えていくことが一番大事だと思う。支持者の皆さんに広めてもらうというのが一番いいのではないかなと思う」
榛葉賀津也候補 支援者も「自主的配信」
国民民主党 現職 榛葉賀津也候補(演説 浜松・中央区):「私は堂々と、ふるさとに思いを馳せて、日本の将来に思いを馳せて、全力で、「対決より解決」の精神を忘れずに突き進んでまいりたいと思います」
国民民主党の現職、榛葉賀津也さん。この選挙戦、10日が3度目の静岡入りです。

国民民主党 現職 榛葉賀津也候補(国民民主党YouTubeチャンネルより)
「見てくださいよ、皆さん。勲章の賜物です。勲章ですよ」
党の幹事長として、地元を空けることも多く、SNSでの発信には「相当力を入れている」と話しますが…。
国民民主党 現職 榛葉賀津也候補:「企業秘密です」
冗談めかす榛葉さんと、SNSの関係性。演説会場から、一つの特徴が見えてきました。ライブ配信のためにスタッフが準備を進める中、あちこちにスマホを向ける人の姿が…。
演説を終えたところで配信トラブルが発覚。
スタッフ「1台でYouTubeがうまく撮れなかったので、ちょっと調整します」
「これどうしたらいい?(困惑)」
支援者「私Xでライブ配信してた、全部」
スタッフ「あ、本当ですか?」
支援者「100人ぐらい見てくれてた」
機材トラブルに戸惑っていたスタッフに声を掛けたのは、個人でライブ配信を行っていた支援者です。去年の衆院選、ネット戦略も功を奏し、議席を伸ばした国民民主党。支援者によるSNSへの“自主的な発信”について、陣営関係者の一人は、「これまでにない後押し」と表現します。
個人で配信する支援者:「事務所の人に許可をもらって撮らせてもらっている」
Q.個人のアカウントで?
A.「そうです」
数が限られる静岡での活動も、YouTubeやXなどで発信しています。
国民民主党 現職 榛葉賀津也候補:「力を貸してください。日本の政治を変える夏。そして、手取りを増やす夏」
SNSをきっかけに、演説会場に来た人も…。
有権者:「TikTok見てます」
国民民主党 現職 榛葉賀津也候補:「既存のメディアも大事だけど、いろんな媒体が増えたことはそれだけアクセスするツールが増えたからね。良いことだと思います」

鈴木千佳候補 「若い人に見てもらいたい」
共産党 新人 鈴木千佳候補(演説 浜松・中央区5日):「私たち国民の生活の苦しみ、自分たちの自己責任なんでしょうか。違います。政治の責任なんじゃないでしょうか」
共産党 田村智子委員長(演説 浜松・中央区5日):「もっと暮らしに予算をと、求めてきたのが鈴木千佳さんです。
田村智子委員長と街頭に立った共産党の新人・鈴木千佳さん。この日の演説、YouTubeでライブ配信していました。

SNS担当スタッフ 中村勇さん:「誰が何を言っているか、ちゃんと知ってほしい。一番は若い人に見てもらいたい」

若い世代の利用が多いとされるXやインスタグラムの活用に力を入れていますが、この日の聴衆も、目立ったのは中高年以上の人たち。
共産党 新人 鈴木千佳候補
Q.SNS上ではどのような年齢層が見ている?
A.「まだまだ日本共産党の支持者の層ということで、やはり中高年の方が多いのかなと思います」
この日の視聴者数は、およそ1200人。SNSでの発信を、“支持者の高齢化”という課題克服につなげたい考えです。
共産党 新人 鈴木千佳候補:「街頭で若い人たちと一緒になって対話して、その模様もSNSで拡散して、同世代の人たちが真面目に政治のことを考えてるよと、そこに共産党もあるよってことをアピールしていきたいと思っています」
松下友樹候補 1日1~2回のLIVE配信
選挙カーから取り出したのは、スマホスタンド。国政政党の中で、公式YouTubeチャンネルの登録者数が最も多いのが参政党です。
参政党 新人 松下友樹候補
Q.そのスマホスタンドでこれから何を?
A.「1日に1回か2回、Xで(街頭演説を)ライブで流しています」

参政党の新人・松下友樹さん。選挙戦が始まってから毎日、SNSでの生配信を続けています。
参政党 新人 松下友樹候補:「地上でこれだけ人が来ていただいて。それをSNSで聞いてる人は、盛り上がってるなってやっぱり分かるわけじゃないですか。その雰囲気がまた一体感を生んで、すごくいいですから。だからやっぱり両輪でSNSも、とにかくできるだけ駆使してやっていきます」
ライブ配信の視聴者数は普段500人ほどだといいますが、
この日は、およそ800人が視聴。
参政党 新人 松下友樹候補(演説):「本当に今、支持が伸びて来ました、皆様のおかげです。本当にありがとうございます」
ネットとリアルの相乗効果を感じています。
有権者との絡み参政党新人松下友樹候補
「もしよかったら一緒に写真撮りたいです。SNSとかに載せるんで」
(撮影して…)「ありがとうございます」
アプローチしやすい年齢層を意識し、SNSを使い分けているという松下さん。若い世代はXやインスタグラム。YouTubeは年齢層の高い人たちの視聴が多いと分析しています。
参政党 新人 松下友樹候補:「(Xでは)今話題になってることについて、自分なりの考えを書いて。全然シーンとなる場合もあるし、めちゃくちゃ拡散される場合もあるし、叩かれることもありますけど」
ネット上の反応を、街頭演説に生かしています。
参政党 新人 松下友樹候補:「(SNSで)自分の言葉で発信するのは、実は結構大変なんですけど、その積み上げがないと、たぶんみんなに響く演説をなかなかできないんじゃないかなと思うんですよね」

福原志瑠美候補
政治団体「NHK党」の新人で、会社役員の福原志瑠美さん。SNSを中心に選挙活動を行っていて、YouTubeでのライブ配信では子育て支援の充実などを訴えています。

山口香苗候補
政治団体「無所属連合」の新人で、助産師の山口香苗さん。助産師としての経験を国政で生かしたいとして、SNSでは街頭演説の様子に加え、体のケアなどの情報も発信しています。

村上猛候補
無所属の新人で、アパート経営の村上猛さん。リニア新幹線の建設反対を主張していて、SNSは活用せず、政見放送のみでの選挙戦です。
改選2議席を争う参院静岡選挙区。投開票日は20日です。
