ことしのコメ価格5キロ3000円台か…今後の作柄も注視 害虫イネカメムシが異常発生 静岡県
7月22日に発表された全国のスーパーのコメ5キロあたりの平均価格は、前の週より13円安い3589円。8週連続の値下がりで、およそ半年ぶりに3500円台に。ただ、気になるのは、今年の新米の価格です。
古賀りなアナウンサー:「今年、JAが農家に払う概算金は、一体どうなるのでしょうか?」

生産者への前払い金は「大幅な値上げになる」
概算金はJAがコメを集荷する際に生産者に支払う前払い金のこと。その年の流通価格を決める、指標になるとも言われています。価格を決めるJA静岡経済連を訪ねました。
JA静岡経済連食糧課 高木一広課長:「例年よりも今の市場の関係などをにらみながら、大幅な値上げになるのかなと考えています。ちょっと過去にない金額になることも想定しております」
他の県では、概算金の最低保証額を公表しているケースもあり、「JAしまね」や「JA山口県」では、コシヒカリが2万1000円、「JAおおいた」では2万3400円と、いずれも過去最高額となっています。
JA静岡経済連では、公表する予定はないそうですが、例年8月上旬ごろに概算金を決めていて、今年は、他県の状況なども考慮するとしています。
JA静岡経済連食糧課 高木一広課長:「生産費を賄っていかなければならないので、お米の値段が上がることによって生産費が賄えれば、生産者も継続してお米づくりに励んでいただけると考えています」

コメ価格は「5キロ3000円台」か
今年のコメ価格については…。
JA静岡経済連食糧課 高木一広課長:「5キロ3000円台が相当という発言もあるので、そこが基準になるのかなと」
Q.去年より上がることはある?
A.「それについては今後の作柄、とれるかとれないかにかかってくるので、今後の作柄を注視して、価格は見ていきたいと思っています」
概算金が過去最高額となる見込みの一方で、JAへ卸すのをやめた農家も。

JAから民間卸売業者やファーマーズマーケットに切り替える農家も
のずえ農園 野末芳弘代表(浜松・浜名区):「僕らとしては高く買ってもらいたいというのがあるので、ちょっとJAさんには申し訳ないんですけど、出荷をやめて」
浜松市で「コシヒカリ」などを育てる、コメ農家の野末さん。2023年まで、JAにコメを卸していましたが、去年から別の民間卸売業者やファーマーズマーケットへの持ち込みに切り替えました。
のずえ農園 野末芳弘代表
Q民間の卸との差はどれくらいある?
「概算金でいくと万単位で違ってくるんで、1俵あたり万違うとなると、だいたい2300俵ぐらい年間生産するんで、2300万円売り上げが単純に違うってことですよ」
野末さんによれば、コシヒカリの概算金は、おととしは60キロおよそ1万2000円。去年はおよそ1万8000円まで上がりましたが、それでも、他の民間業者の方が、買い取り金額が高いそうです。

害虫イネカメムシが異常発生
現在、生育は順調ですが、暑さによる影響が。
のずえ農園 野末芳弘代表
「ここですね、わかりますかね~」
Q.すごい虫が
A.「虫がいますよね。これイネカメムシって言いまして、お米にすごく影響のある害虫になります。これが今年異常に多く発生しているんです」
特に、出始めた直後の柔らかい稲穂を好むというイネカメムシ。イネの養分を吸われると、コメの実りが悪くなるだけでなく、コメ粒に黒い斑点のような模様が現れ、売り物にならなくなるといいます。
のずえ農園 野末芳弘代表:「去年も前年の倍以上と言っていましたけど、そのさらに何倍もいるという異常なぐらい、いますね。もうここら辺見る限りほとんどいるような感じ」

農林水産省「病害虫発生予報」を発表
今年は全国的に増加傾向とみられ、農林水産省は、「病害虫発生予報」を発表し、警戒を呼び掛けています。
のずえ農園 野末芳弘代表
Qなんで去年より倍増した?
A.「(暖冬傾向で)越冬したり、生育したりする環境が虫にとっていい。猛暑、気温がずっと高いので、もちろん卵を産む量も多いですし、ふ化して成長になる虫も多いということになるので、倍々のように増えていく」
結果として、参院選ではあまり大きな争点にはならなかった「コメ政策」。コメ価格の動向は、消費者だけでなく、農家にとっても気がかりです。
のずえ農園 野末芳弘代表:「資材代がかかるとか、そういうところでコストがかかっていますので、かかった分は経営を維持するために、価格に転嫁しなきゃいけないと思っていますし、小泉農水大臣が備蓄米放出によってお米の価格を下げるという発言があったんですけど、農家としてはちょっと死活問題になってしまうので、政府が市場介入するのであれば、農家に対しての補償というのもしてもらいたいと思います」
