田久保市長と委員かみ合わない質問と答弁 しびれを切らしたか「イエスかノーか」の問いも実らず 静岡・伊東市議会百条委
片寄翔太アナウンサー:「田久保市長が百条委員会の部屋へと向かいます、自身の口から何が語られるのでしょうか」

13日午前10時に始まった、田久保市長の学歴詐称疑惑をめぐる百条委員会。前代未聞の騒動は大きなヤマ場を迎えました。自身の学歴詐称疑惑をめぐり、田久保真紀市長が百条委員会に出頭しました。弁護士も同席する、異例の形です。

静岡・伊東市 田久保真紀市長:「私は良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、何事も付け加えないことを誓います」
百条委員会では虚偽の証言をした場合、罰則が科されることもあります。田久保市長が宣誓と署名を終えて、質疑が始まりました。
かみ合わない質問と答弁 「イエスかノーか」
百条委員会 杉本一彦委員:「元々は市長、あなたの東洋大学を卒業していたか否かのみの話だった。市長、もうやめませんか、もし嘘があったのなら、嘘は嘘。間違いがあったなら間違いは間違い、そういったものがあれば認めて謝罪いただいて、あなたが見せてきた、その卒業証書なるものが一体何なのかということを教えてください」
田久保真紀市長:「(挙手して)何だったのかというご質問かと思うんですが、卒業証書とされているものであったと思っております。以上でございます」
百条委員会 杉本一彦委員:「6月28日、自身が大学に出向き、卒業証明書発行の手続きに行った。がそのとき除籍になっていたことを大学側から告げられ、あなたはそれまでは自身の最終学歴は東洋大学法学部卒業であると認識していた、間違いありませんか?」
田久保真紀市長:「はい、私が除籍である事実、つまりは卒業できていない事実を知りましたのは6月28日。大学に訪れたときになります」
百条委員会でも繰り返された、「卒業していたと思っていた」という従来の主張。市長の知人による「市長から卒業していないと聞いた」との証言と、食い違っています。
百条委員会 杉本一彦委員:「卒業証書と卒業アルバムも6月28日までは本物であると信じていたということでよろしいですか」
田久保真紀市長:「(挙手)何度も同じ繰り返しの答弁で恐縮ですが、事実関係といたしまして、私は卒業していない、そして除籍であるという事実を知りましたのは6月28日、大学に出向いたときになります」
百条委員会 杉本一彦委員:「全く私の質問に答えてくれていないと思いますが、卒業証書と卒業アルバムは、あなたはそのとき本物だと思って持っていたんですよねと聞いて、イエスかノーか」
田久保真紀市長:「私のお答えとしましては、事実関係としてしっかり確定をしているものでお答えをしたいと思っております」
委員長
「この際、証人に申し上げます。尋問に対しては的確に証言するようにお願いいたします」

“卒業アルバム”はホンモノと同じ?
田久保市長が卒業の根拠の一つとしていた卒業アルバムが委員から示されると、3分以上かけて最後までページをめくったあとに…。
田久保真紀市長:「ざっと拝見いたしましたけれども、問題ないのではないかと思います」
百条委員会 杉本一彦委員
「問題があるかの話ではなくて、あなたの持っていた卒業アルバムはそれと同じものですかと聞いています」
田久保真紀市長:「今見比べるものがございませんが、同じと思って問題ないのではないかと思います」
序盤から、かみ合わないやり取りが目立ちました。

なぜか検察に提出されない上申書 「回答書に記載」繰り返す
すでに1カ月半にわたっている、田久保市長の学歴詐称疑惑。その期間、伊東市政では混乱と停滞が続いています。
田久保市長が「卒業していたと思っていた」との主張を続ける一方で、証拠とする“卒業証書”の提示に応じないことが、事態を長引かせる一因となっています。
百条委員会 四宮和彦委員:「今現在まだ出ていないわけじゃないですか、(検察への)上申書は。だから、そのことについて、なぜ出すのを取りやめられたのかと聞いているわけですよ」
田久保真紀市長:「補助人の助言を求めてよろしいでしょうか」
(振り返って弁護士と相談)
卒業証書の扱いをめぐっては、度々弁護士の助言を求める場面も…。
田久保真紀市長:「提出しない理由については、重ね重ねで大変恐縮ですが、回答書の方に文書で記載しておりますので、そちらが全てになります」
百条委員会 四宮和彦委員:「卒業証書を百条委員会に出せない正当な理由は他にも存在するのかどうかと伺っています。田久保市長ご本人の判断な訳ですよ。田久保市長が調査に協力しますと。だって、あなたは行政の長なんですから、行政調査をやっている人たちには協力する義務があるんじゃないですか」
田久保真紀市長:「出したくない、出したいといったような希望のことではありませんので、回答書に記載した以上の理由というのは今のところ特段ございませんので、私としてはこのように回答するしかないと、そのように考えております」
はっきりと反論した質問も
質問に対して正面から答えない場面も目立った田久保市長ですが、はっきりと反論したのが…。
百条委員会 重岡秀子委員:「議長・副議長には卒業証書をしっかり見せない。チラ見せいう言葉がはやっていますけれども、議長・副議長にどのように見せたのか、その辺を伺いたい」
田久保真紀市長:「チラ見せといった事実はありませんで、私の方としては、こうやって私の方で提示をいたしまして、約19.2秒見ていただいたと記憶しております。そして、その後の議長の発言、その他のことにつきましては、私といたしましては事実と異なる点があります」
2時間余りで終了した証人尋問。終了後、田久保市長が取材に応じました。
田久保真紀市長:「質問いただいたことに対して、きちんと自分の中で、事実関係で責任を持ってお答えできることをお答えしたと、そのように私は考えております」
Q.これまでと違って出頭した理由は?
A.「(百条委員会が)証言や情報として採用されているものの中に事実と違うものが含まれております。私としては、きちんと出頭しまして、事実と違うことについて、市民の皆様を含め、委員会の皆様に説明するべきであると、そのように考えて出頭いたしました」
“チラ見せ”ではなく、19.2秒提示したとの新たな主張についても…。
田久保真紀市長
Q.「議長に19.2秒卒業証書を示したと。ストップウォッチか何かで計ったのか」
A.「会話の方は録音の記録を持っております。それでストップウォッチで測りました」
Q.「市長としてはきちんと見せた認識か」
A.「私の方の持っている記録では、19.2秒提示したということ。それから『もっときちんと見せてください』、それから『チラ見せでパタパタと、そういったことはやめてください』といった会話の記録はなく、19.2秒提示した後に議長からは「いいじゃん」というコメントをいただいております」
これに対して、記者からは…。
田久保真紀市長
Q.「19.2秒は論点と全く関係ないと思うんですが、(卒業証書を)見せたらいいじゃないですか。19.2秒とかの問題ではなく」
A.「今、私は公職選挙法違反で刑事告発を受けております。その際に、卒業証書を含め、記録が大切な証拠になる可能性がございますので、その取り扱いについては慎重に検討させていただいております」

議長「誠実さはなかったと思う」
百条委員会は午後1時半に再開され、東洋大学に対して行った、文書での照会の結果などが報告されました。13日の“ヤマ場”を経て、学歴詐称疑惑はどのような方向へ向かうのでしょうか。
伊東市議会 中島弘道議長:「誠実さはなかったと思います。しっかり真実を語っているとは思えなかったです。(職員からも)早く不信任案を出して彼女を辞めさせてくれというようなことがありますので、そちらの方向にできる限り早く進めていきたいと思っております」
田久保市長の「卒業証書は19.2秒提示した」という主張については…。
伊東市議会 中島弘道議長:「実際に私たちに見せてくれたのは2回、本当にちらって見せた、ちらっと見せたのが2回ということですね。19.2秒という時間の問題じゃないと思うんです。それが本当に本物かどうかです」

百条委員会で大学に照会した内容の詳細は明かされませんでしたが、中島議長は「卒業証書は偽造だと裏付けされた」との見解を示しています。百条委員会はあと1回ほどで結論を出すものとみられ、議会側は田久保市長の不信任決議案を提出する構えです。伊東市政の一層の混乱は、避けられそうにありません。
