「令和の米騒動」で酒蔵が危機に 酒米が高騰 さらに食用米に転作する農家が多く 酒米の入手が困難に

5キロ4200円台と高止まりが続く「米」。“令和の米騒動”は今、酒どころ静岡にも影を落とし始めています。
古賀りなアナウンサー
「お米のうま味が効いていておいしいです。しかし この日本酒の原料となる酒米の価格が高騰し、いま多くの蔵元が未曾有の危機に見舞われているんです。」
沼津市にある髙嶋酒造。
日本酒「白隠正宗」をつくる創業から221年の酒蔵です。
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「ここでお酒を造っています」
古賀りなアナウンサー
「ものすごく涼しいですね」
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「低温発酵でゆっくり発酵させているので低い温度になっています」
年間およそ9万リットルの日本酒をつる高嶋酒造。
現在“令和の米騒動”によって強い危機感を抱いているといいます。
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「災害級ですよね。何百円とか1000円、2000円上がるというレベルじゃない」
正式には「酒造好適米」と呼ばれる酒米。
一般的な食用のコメよりも大粒で、麹を作るために重要な中心部の「心白」が大きいのが特徴です。
髙嶋酒造では大きく分けて「山田錦」「誉富士」「雄町」という3種類の酒米を使用しています。
古賀りなアナウンサー
「それぞれ値段はどうですか?」
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「1俵(6キロ)当たりどのコメも1万円値上がるという案内が来ています。それを価格に転嫁すると1.5倍くらいにしないといけないのではというのはあるが、もともと一升瓶・例えば3000円で販売されていたものが4500円になりますよね?それを普段通りに消費していただけるか?というとかなり難しいと思う」
原材料となる米の価格高騰。
主食用の米価格が値上がったことで、酒米から食用米に転作する農家も増えているといいます。

取材したこの日、髙嶋酒造と契約をしている農家が訪れていました。
伊豆市山田錦研究会 鈴木敦司さん
「今年度分は納めさせていただきますけど、来年度の作付けは 生産者がいなくなりました。山田錦の生産はやめる。という状況です。」
米農家の鈴木さんが作った山田錦を使って作られる日本酒は人気商品の1つ。
ただ、来年からは仕入れることができなくなりました。
理由はやはり、酒米から食用米への転作です。
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「最高に良いコメだったので、今後絶対状況が変わってくると思うのでそんな時に改めて酒米をやるとなったら、お話だけでもさせてほしい。」
伊豆市山田錦研究会 鈴木敦司さん
「生産者からすると お世話になったところに納品できないのは寂しい。ただ経済全体からすると、1反(300坪)あたり酒米は5俵しかできなかった。食用米だと7俵ぐらいになる。食べるコメをつくるということでむしろ短期的には収入は上がるという見込み。」
酒蔵にとって、価格が高止まりしている“令和の米騒動”は死活問題です。
髙嶋酒造 髙嶋一孝社長
「飯米(食用米)の値段が、ある程度落ちつかないと酒米に戻ってもらえない。それまでどうしのぐのか…。もしそういう状況が来ない(価格が戻らない)のであれば、自分たちでどうやって酒米を調達するのか、今までとは違うことを考えていかなければいけないと思っている。」
