“ナフサショック”で商店街から悲鳴が…「容器がない」「保冷材も値上がり」「袋も不足」 客に皿を持ってきてもらうしかない!?
創業100年の和菓子店
JR静岡駅から、車でおよそ10分。静岡市・葵区の駒形通りにある商店街。歴史は古く、戦前からさまざまなお店が軒を連ね、地域の人々の暮らしを支えて来ました。この商店街でも、イラン情勢の影響を受けている“ニュースの現場”が…。
伊地健治アナウンサー:「ここは、和菓子屋さんですね、いちご大福って書いてある。こういった所でも影響はあるのでしょうか?」
伊地アナ「すみません、こんにちは。失礼します」
桃園2代目 橋本幸子さん「いらっしゃいませ」
伊地アナ「だいぶ昔からやっているお店なんですか?」
橋本幸子さん「ようやく、100年になりました。創業100年になりました」
駒形通で、長年親しまれ続ける、和菓子店“桃園”。今年2月には、創業100年を迎えたそうです。店には、白あんをベースにして作られた練り切りや、一番人気の、かしわ餅などが並びます。これに、イラン情勢は、どう影響しているのでしょうか?
伊地アナ「ナフサ不足の影響はありますか?」
3代目 橋本勲さん「絶えず、影響あります」
伊地アナ「プラスチック製の器ですね。みつの容器も」
勲さん「このシューケース見ても、すべての商品がプラスチック系のもので、包装されています」
伊地アナ「こちらもそうですよね、まんじゅう、桜もち、いちご大福のビニールもそうですか」
和菓子を一つずつ包装するプラスチック製の容器は、ナフサ由来の製品です。
勲さん「少しずつ値上がりしていて、段階的に取り寄せるの難しいよというものも出てきている。こちらのあんみつのカップのフタが、ちょっと特殊なもので、飾り蓋なんですけど、このフタが入って来ない」
プラスチック製の容器が2割ほど値上がりしているほか、問屋に問い合わせても、このタイプのあんみつ用のフタは欠品しているそうです。さらに、これからの季節に、心配しているのが…。
勲さん「保冷剤。これから夏に向けて、水まんじゅう、水ようかん、あんみつも、付けてあげたい気持ちはあるので」
保冷剤もナフサが必要不可欠。最近、値上がりしたそうです。
伊地アナ「これは無料で付けている?」
勲さん「無料で付けられなくなってしまいますね。値段が上がって来ていますので」
保冷材については、1個10円ほどでの有料化を検討しているそうですが、和菓子の値上げは考えていないのでしょうか?
幸子さん「なるべく値段は変えないで、お客様に差し上げたいと思います。家族でやっているから。みんなで協力して、お客さまには気分よくお帰りになってもらえるように、値段は変わらないように、商売したい」
創業39年の青果店
イラン情勢に伴う“ナフサショック”。静岡市内の駒形通りにある商店街から聞こえてきたのは、苦しい実情でした。こちらは、創業39年の青果店“カネタツ”。店内には、農家や市場から仕入れた新鮮な野菜が並びます。
伊地アナ「こちらではナフサ不足の影響は?」
カネタツ2代目 服部洋明さん「受けていますね。例えばこうした野菜を入れる袋ですけど。こうしたモノが不足していて、在庫が無いって事で、入荷が出来ない」
伊地アナ「これは専用の袋なんですね。けっこうみんな個包装しているんですね」
服部さん「こうした野菜は水分を失いやすいので、こうしたビニール袋に入れる事で、鮮度保持している。」
野菜の鮮度を保つために欠かせない、ポリ袋。現在は入荷出来ない状況になっていると、言います。
伊地アナ「例えば、冷房の効いたスーパーマーケットの野菜売り場と、こうした個人店での野菜の販売は条件が変わってくる?」
服部さん「ずっと冷蔵庫に入っていれば鮮度的にも持つけど、外に面しているので、風も吹いてくるし、野菜の水分も蒸発しやすいので。」
伊地アナ「個人経営の青果店ではポリ袋の存在は重要?」
服部さん「けっこう重要です」
そんなポリ袋の在庫は…。
伊地アナ「これが在庫なんですね。ちょっといいですか見せてもらって。この箱の中に、入っているんですか。中を見ますと、こういう風になっているんですね。この在庫で何日分ぐらい?」
服部さん「1カ月持てばいい方。」
伊地アナ「1カ月経って、問屋さんに無いよと言われたら、袋は無い状態ですか?」
服部さん「そういう状態になってしまう。」
ポリ袋は、4月、30%値上がりしたばかりですが、5月に入り「卸せる在庫が無い」と、言われたそうです。
服部さん「売り方を変えて、袋に入れないように売るとか工夫しながらやるしかない。」
仮に、ポリ袋が無くなった場合には、冷蔵庫で野菜を保管。お客さんには、新聞紙にくるんで渡すことになるそうです。
服部さん「一刻も早く普通に普及してほしいと思う」
創業100年の米店
“ナフサ不足”の影響が商店街に広がる中、こんなお店も。創業100年を数える“佐野米店”。近隣の飲食店や学校などにお米を卸す、地域に欠かせないお店です。
伊地アナ「こちらのお米屋さんでナフサを使っているものは?」
佐野コメ店3代目 佐野安則さん「やっぱりお米の袋だね」
伊地アナ「普通にお米を入れるこの袋。まさにこれがナフサ由来なんですね」
お米を販売する際に、欠かせない、米袋。こちらでは、ひと月におよそ1200枚の米袋を使用するそうです。価格は、5月から2割ほど値上がりして、1枚、50円~100円ほど。ただ、こちらのお店では、その影響を免れる事が出来たそうです。
伊地アナ「ここが倉庫になっているんですね。なるほど、この段ボール箱の中に、袋が入っているんですね」
佐野さん「100枚単位で縛ったやつがね。」
伊地アナ「ひと箱に何枚入っている?」
佐野さん「500枚だね」
倉庫として使用している、2階には、店で扱う16銘柄分の大量の米袋がありました。
佐野さん「1年半ぐらいは大丈夫じゃない。1年から2年ぐらいの間は大丈夫でしょう」
伊地アナ「5月の値上がりを見越して多めに買っていた?」
佐野さん「多少はあるよね。」
伊地アナ「問屋さんからそう言われていた?」
佐野さん「言われていない。自分でテレビ見て、判断していた」
普段は1度に、半年分の米袋を購入するそうですが、今回は、2カ月前に、3~4倍の数を仕入れたそうです。お店の不安は、今のところ無いそうですが、気がかりなことが一つだけ。
佐野さん「米農家は(ガソリン代など)かなり経費がかかるようになっているから、あまり安く買いたたかれると、意欲が無くなると困る」
鮮魚店では「苦肉の策」
静岡市の駒形通りで創業して、69年の鮮魚店。店頭には、県内産を中心に、新鮮な魚介類が並びます。イラン情勢に伴う、ナフサショックの影響は、こちらのお店にも。
鮮魚「日の出」4代目 川瀬真吾さん:「刺身で使っているトレイ。6月には値段、3割上がってくると言われました」
刺身を販売する際に欠かせない、発泡スチロール製のトレイは、6月から3割も値上がりするそうです。
川瀬さん「これを1日に150枚ぐらい使っていますね。」
Q:ひと月でどれぐらい負担が増す?
川瀬さん「1日1万円弱ぐらい使っていますので、10万円しないと思うんですけど、それぐらい上がって来ちゃう。」
川瀬さん「狭い店でやっているので、いけるところまでは、今の値段で行きたいと思っているが、これ以上値段が上がってくると、10円~20円上げざるを得ないかなと思っています。」
この先、トレイの仕入れが出来なくなったら、どうするのでしょうか?
川瀬さん「いいアイデアが全然浮かばないです。最悪は、お客さんにお皿を持って来てもらって、うちらが切ってそこで盛り付ける。それで刺身を販売する形になると思う。」
こうした状況の中ですが、店主が胸を撫でおろしているのが、店の隣で建設中の建物です。
川瀬さん「これ来月、こちらの方で新しいお店をやろうと思っています」
去年の6月から建設中だと言う、自宅兼店舗のビル。
川瀬さん「これが1年遅れていたら、シンナーもないし、壁紙から、製氷機から物が無くなっていると言っていた」
建設工事の発注が1年遅れていたら、資材不足によって、工期は長引き、完成までにかかる費用もさらに膨らんでいたのではないかと言います。
川瀬さん「費用の上乗せは1000万円以上になったのでは思っています」
生活に必要なものが集まる商店街。イラン情勢に伴うナフサショックの影響は、想像以上に私たちの暮らしに直結していました。