「ギャンブル」のイメージ一新 Mリーグ追い風で変わる麻雀のイメージ 高齢者の脳トレから子どもの習い事へ 静岡でも人気拡大

「麻雀」というと、一昔前までは、おじさんたちのギャンブルという少しあやしいイメージがありました。しかし、そのイメージは時代とともに変化しました。プロリーグが注目されたり、高齢者の「脳トレ」として脚光を浴びたりするなど、今や「麻雀ブーム」といっても過言ではありません。そして最近、その麻雀ブームにも新たな動きが見られるようです。(取材・文=三浦徹)

数年前から、麻雀は高齢者の脳トレの一つとして定着しています。「指先を使う」「点数を計算する」「コミュニケーションをとる」といった麻雀に必要な動きが、脳の活性化に効果的だとされています。

静岡市のカルチャースクールでも、受講生は年々増えています。講座自体は2000年ごろから開かれていましたが、現在は受講生が右肩上がりに増えています。

●静岡朝日テレビカルチャー 太田亜沙美さん
「2023年には4クラスで30人ほどだった受講生が、現在は9クラス(大人7クラス、子ども2クラス)、100人を超えるまでに増えました。時間帯によってはキャンセル待ちが出るクラスもあります。講座は平日の昼間なので、やはり高齢者が多く、60代、70代が中心です。中には90代の方もいます。脳の活性化にもなりますし、外に出てみんなと会話をすることで、生きがいにもなっています」

7月25日にはこども麻雀大会が行われた
7月25日にはこども麻雀大会が行われた

受講生は右肩上がり

講師は地元在住のプロ雀士、平岡理恵さん(日本プロ麻雀連盟静岡支部副支部長)。これまで1人で教室を担当していましたが、クラス数の増加に伴い、講師も増えたといいます。

●平岡理恵さん(日本プロ麻雀連盟)
「ここのカルチャースクールで20年以上、麻雀教室を続けています。最初は1卓だけで細々と始めましたが、だんだん受講生が増え、卓数も増えてきました。『健康マージャン』という形で、知的スポーツとして高齢者に広まったと思います」

高齢者が麻雀を学ぶ流れはすっかり定着しましたが、最近増えているのが子ども向けの麻雀教室です。このカルチャースクールでも、2025年に初めて子ども向けのクラスを開講しました。

●平岡理恵さん(日本プロ麻雀連盟)
「子ども向け教室を開講する前に体験会をやりました。正直、どれだけ来てくれるか不安でしたが、予想の倍の子どもたちが来てくれました。それが開講の後押しになりました」

現在、子ども向けの教室は2クラスあり、13人の受講生がいるそうです。なぜ子どもたちは麻雀を始めるのでしょうか。

●平岡理恵さん(日本プロ麻雀連盟)
「麻雀は頭の活性化に役立つだけではありません。マナーや忍耐力、計算力、論理的思考も身につきます。総合的にさまざまな力を育めるので、『やってみよう』という子どもや保護者が増えたのではないでしょうか」

平岡理恵プロ(日本プロ麻雀連盟)
平岡理恵プロ(日本プロ麻雀連盟)

麻雀のイメージがよくなった

実際に日曜日の昼間に開かれた子ども向け教室を訪ねました。この日は9人が参加し、そのうち7人が女子でした。女子が多いのも、この教室の特徴です。

●保護者(静岡市・40代)
Q. なぜ麻雀を?
「子どもは小学5年生です。学校で麻雀が流行っていて、体験講座に来てみたら面白いということで続けています。運の要素もありますが、誰でも平等に楽しめるゲームだと思います。昔からあるゲームですし、頭も使います。お正月におじいちゃんや親せきと麻雀をしたら、みんなに『こんなにできるんだ』と驚かれて、とても喜んでもらえました」

●保護者(静岡市・40代)
「最初は私が麻雀を始めて、牌を買って家族で遊んでいました。そうしたら子どもも興味を持ち始め、今では姉妹3人が講座に通っています。ネットゲームをするより、麻雀のほうが安心だと思っています」

●小学4年生(女子)
「役を作ったり、そろえたりするのは難しいけど、楽しいです。点数計算はまだできません」

●中学1年生(女子)
「去年から始めました。絵柄を覚えるのは楽しいけど、何を切るか考えるのが難しいです。頭を使うので、数学みたいな苦手な教科にも生かせるかもしれません」

●小学6年生(男子)
「親がやっているのを見て、自分もやってみようと思いました。やってみたら楽しかったです。いい手をツモった時や上がれた時はうれしいです。点数計算もできます。将来はMリーガーになれたらいいなと思っています」

ここ数年で、麻雀を取り巻く環境は大きく変わりました。その変化に大きく貢献したのが、2019年に始まった団体戦のプロリーグ「Mリーグ」です。企業とプロ契約を結び、カラフルなユニフォームをまとって戦う選手たちの姿は、麻雀の「賭け事」というイメージを一新しました。

●平岡理恵さん(日本プロ麻雀連盟)
「Mリーグの影響は大きいと思います。私がプロになった26〜27年前はイメージが良くなくて、『麻雀プロ』というだけで偏見を持たれることもありました。今は堂々と『プロ雀士です』と言える時代になりました。Mリーグのおかげで、イメージは本当に良くなったと思います」

●静岡朝日テレビカルチャー 太田亜沙美さん
「麻雀はゲーム感覚で計算力も鍛えられますし、算数よりも面白いと感じる子どももいます。そうした魅力は昔から変わりませんが、やはり麻雀のイメージが良くなったことが大きいと思います。一昔前なら囲碁や将棋を習っていた子どもたちが、今は麻雀を選ぶケースも増えているように感じます」

一昔前、文科系の習い事といえば囲碁や将棋が定番でした。しかし、このカルチャースクールでは、現在、将棋は1クラスのみで、囲碁教室は開講していないということです。

こども向け麻雀教室はなごやかな雰囲気
こども向け麻雀教室はなごやかな雰囲気

「こども麻雀大会」を初めて開催

7月25日、静岡朝日テレビカルチャーでは「こども麻雀大会」が初めて開催されました。参加者は6歳の園児から中学生までの27人。東京や大阪など県外からの参加者も7人いました。

ゲストは話題のMリーガー、EX風林火山の勝又健志プロ(日本プロ麻雀連盟)です。

勝又プロも交じり、参加者はメンバーを変えながら4回戦を戦い、総得点で順位を競いました。

大会には27人が参加 静岡県外からの参加者も
大会には27人が参加 静岡県外からの参加者も

大会では役満も飛び出して…

勝又プロは子ども相手に役満の「四暗刻」を上がるなど、プロの洗礼を浴びせます。しかし、負けじと「国士無双」を上がった子どももいて、大会は大いに盛り上がりました。

最終的に、役満を上がった勝又プロを抑えて優勝したのは、このカルチャースクールの受講生だったということです。

こどもにプロの洗礼を浴びせる勝又プロ
こどもにプロの洗礼を浴びせる勝又プロ

将来のMリーガーがいるかも

●勝又健志プロ
「僕は何度も子どもの大会や教室に参加させていただいていますが、とにかく楽しんでほしいという思いが一番です。麻雀は4人でやるゲームです。特に初めて会う友達と一緒にゲームをするときは、自分だけが楽しいのではなく、みんなで楽しくなることが大切です。そういった思いやりの気持ちを学んでほしい。終わった後に『楽しかった』という思い出が残る大会にできたらと思います。そして、こうした大会に参加していた子が将来プロになり、公式戦で僕と対戦して、試合後の打ち上げで『実はあのときの麻雀大会に出ていました』なんて思い出話ができたらうれしいですね」

EX風林火山 勝又健志プロ(日本プロ麻雀連盟)
EX風林火山 勝又健志プロ(日本プロ麻雀連盟)