暑すぎた夏の影響が「ネギ」に…そして「ラーメン」に


この夏の長引く暑さで静岡県内でもネギの生育に影響が出ています。ネギを必需品とするラーメン店は悲鳴を上げています。

 これからの季節、温かい料理に欠かせないのが”ネギ”。

 そんなネギに今、ある”異変”が起きているといいます。

栗田麻理アナウンサー:
「青々としたネギ畑が広がっています。こちらの畑では10月下旬ごろを目途に収穫する予定だったということですが、ネギの成長が遅れているため収穫時期も遅くなっているということです」

 磐田市にある後藤農園。

 年間およそ200tの白ネギを出荷しています。

 そんな農園でいま、1カ月近く収穫に遅れが出ているといいます。

後藤農園 後藤智一代表:
「9月に入って通常は夜の温度が下がって生育が旺盛になる時期だったが、9月がかなり高温だったことで生育が遅れた。(ネギは)生育適温というのが15℃~25℃と言われているので、そこを外れると生育しないわけではないが、生育が緩慢になるという現象になる」

 ネギの異変の理由は「暑さ」です。

 今年は全国20の地点で35℃以上の猛暑日が過去最多を更新しました。

 県内でも今シーズンは静岡市で84回、浜松市で87回といずれも過去最多記録を大きく更新しました。

 静岡市については、9月28日に最高気温35.8℃を記録。

 東海地方で最も遅い猛暑日を13年ぶりに更新していて、まさに「記録づくしの夏」となりました。

 暑い上に期間が長かった「今年の夏」。

 その暑さがネギの成長を妨げたといいます。

後藤農園 後藤智一代表
「この辺は太いですよね」

Q.一回り以上違う

「これもこれも(太さが)違う」

「これなんかも細いので、こういうものはスーパーに並ばないネギ」

 規格のサイズにならなければ出荷はできず、収穫量は去年に比べて30%ほど減ってしまっているといいます。

 また白ネギは日光に当てないことで”あの白い部分”が作られていきます。

 そのため通常は栽培過程で土を被せていくのですが、高温になった土を被せることは、ネギ自体の傷みの原因になってしまうため、そうした過程が滞ってしまったことも遅れが発生した要因となっています。

後藤農園 後藤智一代表
「売上がたっていない。1カ月ずれるということなので、その分の資金繰りが苦しくなったりだとか、従業員には給料を払わないといけないので、そういった影響が一カ月ずれるだけでかなり苦しくはなる。厳しい。一言で言えば厳しい」

そうしたネギの不作の影響は、飲食店にも出てきていました。

「はいすいません。おまちどうさま!」

 静岡市清水区のラーメン店。

 この店一番の人気メニューはネギラーメン青。

 濃厚なスープにさっぱりとした九条ネギが食欲をそそる一品ですが、この人気メニューにいま危機が訪れていました・・・。

全開屋! 横内英明店長
「九条ネギが産地から直送で送ってもらっているが、そちらから入ってこないので早めに売り切れたりしている」

 こちらの店では、九条ネギを京都から直接仕入れているということですが、満足に仕入れができないというのです。

 そのため、ラーメン店ではよく聞く「スープがなくなり次第終了」ならぬ、「ネギがなくなり次第終了」という異例の事態に─。

 さらに九条ネギだけではなく白ネギも…。

全開屋! 横内英明店長
「(白ネギの)仕入れ値がだいたい倍から3倍ぐらい。うちだと半分以上がネギラーメンが出るので、ネギが高いとそれだけ仕入れ値が高くなるので厳しい」

 こちらの店の人気メニューはすべてネギを使ったラーメン。

 しかしネギの仕入れ価格はおよそ1カ月前から上がりはじめ、
例年と比べて3倍近くになったといいます。

 1日に白ネギは20本以上、人気ナンバーワンメニューに使われる九条ネギはおよそ2キロを使用していて、”ネギの価格高騰”はこの店にとって死活問題だといいます。

 さらに値上がりはネギだけではなく…。

全開屋! 横内英明 店長
「(チャーシューに使う)肉の(仕入れ値が)結構上がっているのと、調味料全部も上がっているので大変」

 店では今年初め、原材料の高騰によりラーメンの価格を一度値上げしたということですが、今後はネギの仕入れ価格の高騰を受けて、2度目の値上げも視野にいれているといいます。

 暑すぎた今年の夏。

 ”残暑”は落ち着いたものの、暑さがもたらした影響は今後も残りそうです。

全開屋!
全開屋!