有害性指摘のPFAS対応策の公表を「大幅に延期」 水質検査の結果に「理解できないほどのバラツキ」 静岡市
静岡市 難波喬司市長(22日):「今の検討状況ということだが、少し状況を変えていかざるを得ないかなと。11月中に公表する予定としていましたが、かなり遅れるような状況にある」
22日の静岡市の定例会見で難波市長が言及したのは、静岡市清水区の化学工場周辺で高濃度の「化学物質」が検出されている問題についてです。
1日2回の調査
石上雄基ディレクター(14日):「清水区の工場からの排水を静岡市の職員が採取しています。この作業は1日2回行っているということです」
清水区にある化学工場では、「PFAS」と呼ばれる有機フッ素化合物の一種で、発がん性などが指摘される「PFOA」を2013年まで使用していて、市の調査では工場周辺の側溝や民家の井戸から、国の暫定目標値の最大26倍の「PFOA」が検出されていました。
そもそもこの化学物質はフライパンのいわゆる「テフロン」コーティングや防水加工の衣類など、日常的に使うものにも広く使われています。
一方で、人体への有害性も指摘されていて、2008年から2010年の間に工場が行った血液検査では、検査した従業員24人全員の体内から高濃度の化学物質が検出されていました。
静岡市環境保健研究所 佐藤弘和所長(14日):「毎日測ることによって数字の変動を見ていく。(結果は)市のホームページで随時更新していく」
市は10月末から、毎日、工場周辺の水質調査を行っていて、11月末までに市としての対応策を公表するとしていました。ところが、22日の会見で難波市長はその対応策について、突然、公表の予定を大幅に遅らせると明らかにしたのです。
検査結果に「ばらつきがある」
静岡市 難波喬司市長:(22日):「さまざまな検査結果が出てきてですね。それを私自身も見て評価をしたところ、どうも測定結果に理解できないようなデータがあるので、改めて、暫定値ではなくて、しっかりとした検査方法の信頼性のチェックを行うべきではないかというふうに思っています。要するに、ばらつきが結構あるというところですね」
こちらは、静岡市がホームページで公表している調査結果です。10月31日から始まった、工場前の水路の水の検査ですが、PFASの濃度は、1リットルあたり38ng(ナノグラム)から2700ngまでと、ばらつきがあります。
50ngという国の暫定目標値を下回る日もあれば、目標値指針値の54倍の日もある、ということになります。
このため静岡市は、検査方法の信頼性が確認できるまで、一時的に、結果の公表を取りやめることにしたのです。
静岡市 難波喬司市長(22日):「信頼度がないデータを出すことで、混乱を招くのはよろしくないので、しばらくの間、データの公表は控えたいと思っています」
Q.次の速報値が公表されるのは、いつぐらい?
A.「ちょっと、めどが今立たないんですけども、12月の中旬ぐらいにまではしたい。2週間遅れぐらいで、やりたいなと思っています」
工場周辺の住民は…
工場周辺の住民からは、さまざまな声が聞かれます。 意見が出ています。
近隣住民 80代:「(PFASを)地域に流すことだけは、住民としてやめてもらいたい」
近隣住民 80代:「薄まればいいけど、時を待つしかないんじゃない」
近隣住民(井戸水を農地に利用)50代:「今のところ ちょっと不安。その物質自体に、そもそもどういう毒性があるのか、こういう作物を作るのに井戸水を使った場合、どういうことが起こるのかというのが、まだ全然、未知のことなので、なんとも…」
難波市長は、11月中をめどに、工場、静岡市、地元自治会の、三者による連絡会を開くとしています。
(11月24日放送)