36cmのお椀に、「和」の遊び心を詰め込んで―　掛川市「煮ものや のら」

掛川市高御所。整然とした住宅街に、ひっそりと佇む一軒の和食店。その名も「煮ものや のら」。肩肘張らずに本格和食を楽しんでほしいという想いが込められている。遠方からも客が訪れる。その目的は、ランチ限定・完全予約制の「花子」だ。蓋付きの特注お椀は、なんと直径36cm。その蓋を開ける瞬間、誰もが「わあっ」と声を漏らす。見てびっくり、開けてびっくり、そして食べてまたびっくり。三拍子揃った食のエンターテインメントである。

刺身はその日の仕入れに応じて変わるが、常時5種類以上。脂の乗った旬魚が端正に並ぶ。低温でしっとり仕上げた自家製ローストビーフに、衣の軽やかなエビフライと気まぐれ揚げ物。ある日は大葉で巻いたアジフライが登場した。

煮物には、四川風に仕立てた鶏と大根のおでんが。ピリリとした辛味がじんわりと染みる。「厚焼き玉子」は出汁の香りがふくよかで、口に入れるとふわっと広がる甘じょっぱさ。脇を固めるのは、遠州のミニトマトをりんご酢に漬けた小鉢、ご飯と味噌汁、香の物。どれも手抜きなく丁寧に仕込まれている。食後にはプチデザートまで付いてくる。和のフルコースだ。

もう一つの人気メニューが、「のら おばんざいセット 肉チョイスプラン」。こちらも予約制で、記念日や自分へのご褒美にぴったりな構成だ。野菜中心の前菜盛り合わせから始まり、玉ねぎの丸焼きなど滋味深い料理が続く。玉ねぎは1時間かけてじっくり火を通すことで、驚くほどの甘みが引き出されている。

生麩を朴葉と共に焼く「半兵衛麩朴葉みそ焼き」は、香ばしい味噌ととろけるチーズが好相性。ご飯にのせると、まさにごちそうの完成だ。予約は前日まで。店の公式サイトから受け付けている。風景ごと記憶に刻まれる和の昼食を、ぜひ一度体験してほしい。

煮ものや のら
掛川市高御所78-7
電話番号：「煮ものやのら」←検索してください
営　11:30～14:30／18:00～22:00
休　 月曜日（祝日は営業）
Pあり